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真の勇者の力
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カツン
「…………は?」
カツンカツン
「…………ははぁ?」
カツンカツンカツンカツン!
「…………はああああああああぁぁぁ!?」
「うわぁ。百発も撃ってくるんだ」
俺はすべて頭に当ててくる矢にドン引きしながら言った。
そして、そんな俺を見てハデスはさらに素っ頓狂な声を上げる。
「な、な、なんで!? なんで頭に矢が当たってるのに無事なんですか!?」
森の茂みに隠れていたハデスは顔だけひょっこり出して叫ぶ。
俺はそんなハデスを見て苦笑いしをしながら答える。
「だって…………俺、元勇者だし」
「いやいや…………」
この狙撃精度はエルフであろう。少し前にハデスから両種族の特性を聞いていた。
ゴブリンは汚らしい手を使ってくらしく、弓など通常戦では戦わないらしい。
まぁエルフも奇襲をかけてきたのだ。普通の人間なら即死である。それを正々堂々と言えるのかは置いておこう。
「だってレンは中の上ぐらいだって…………実力不足で勇者パーティーを追放されたって言ったじゃないですか!」
「うん。でもこのぐらいの攻撃なら効かないよ」
「…………うそぉ」
俺は落ちている矢を拾いながらハデスの問いに答えた。
俺はそこまで強くないため、矢も俺も無傷である。
しかし、カルマやエリスなら矢の方が砕けてしまうだろう。
「レイがそんなんだから敵も固まってるんですよ」
「…………ん?」
俺は落ちていた矢を抱え、矢が飛んできた方に視線を移す。
すると、木の上で隠れていたはずのエルフたちが棒立ちで俺を見ていた。
中には自分の頬をつねっている少女も…………あら可愛い。赤くなった頬を少し涙を出しながら押さえている。
「ここからは我に任せてください」
「そりゃそうだ。まだハデス何もしてないもんな」
「…………うぐっ!」
ハデスは俺の指摘に変な声を出した。そして頭をかきながらハデスは茂みの中から出てくる。
そして俺の前に堂々とお座り? をした。ハデス自身は威厳を出しているつもりなのだろうが、一ミリも欠片がない。
「おっほん!」
そのわざとらしい咳でエルフたちの視線が一堂にハデスに集まる。
そして、ハデスは大きく肺に空気を吸い込む。
「ふぅ…………はぁ…………」
何を口にしようとしているのだろうか。何故か少し空気がピリつき始める。
溜めに溜めまくったハデスは少し歪な笑みを浮かべて言った。
「エルフリア」
「…………ん? 何それ?」
ハデスの言葉に俺はそんな問いを返してしまう。
しかし、数秒してから気づいた。その言葉がどれだけエルフにとって重大だということに。
「「「…………ッ!」」」
木の上に乗っていたはずのエルフたちは音も立てずに地に足をつける。
話に乗ってくれるのだろうか。エルフたちは弓をその場に投げ捨てた。
「ねぇねぇ! 見てくださいよ! レイ! これが我の実力ですよ!」
その様子をハデスはドヤ顔をして俺に言ってくる。
そして、ハデスの背後で並んでいるエルフたちは声を揃って言った。
「「「死ねやああああああぁぁ!!」」」
「……………は?」
エルフたちは全員懐刀に持ち替え、俺たちに突進してくる。
エルフは可憐で清楚でおしとやか。なんて言った奴どいつだ。メンヘラ系じゃないか。
「は? じゃねぇよ! 悪化してるじゃん!」
流石の俺でも刺されたら血も出るし、死ぬかもしれない。
こうしてエルフ対俺と自称魔王の鬼ごっこが始まったのだった。
「…………は?」
カツンカツン
「…………ははぁ?」
カツンカツンカツンカツン!
「…………はああああああああぁぁぁ!?」
「うわぁ。百発も撃ってくるんだ」
俺はすべて頭に当ててくる矢にドン引きしながら言った。
そして、そんな俺を見てハデスはさらに素っ頓狂な声を上げる。
「な、な、なんで!? なんで頭に矢が当たってるのに無事なんですか!?」
森の茂みに隠れていたハデスは顔だけひょっこり出して叫ぶ。
俺はそんなハデスを見て苦笑いしをしながら答える。
「だって…………俺、元勇者だし」
「いやいや…………」
この狙撃精度はエルフであろう。少し前にハデスから両種族の特性を聞いていた。
ゴブリンは汚らしい手を使ってくらしく、弓など通常戦では戦わないらしい。
まぁエルフも奇襲をかけてきたのだ。普通の人間なら即死である。それを正々堂々と言えるのかは置いておこう。
「だってレンは中の上ぐらいだって…………実力不足で勇者パーティーを追放されたって言ったじゃないですか!」
「うん。でもこのぐらいの攻撃なら効かないよ」
「…………うそぉ」
俺は落ちている矢を拾いながらハデスの問いに答えた。
俺はそこまで強くないため、矢も俺も無傷である。
しかし、カルマやエリスなら矢の方が砕けてしまうだろう。
「レイがそんなんだから敵も固まってるんですよ」
「…………ん?」
俺は落ちていた矢を抱え、矢が飛んできた方に視線を移す。
すると、木の上で隠れていたはずのエルフたちが棒立ちで俺を見ていた。
中には自分の頬をつねっている少女も…………あら可愛い。赤くなった頬を少し涙を出しながら押さえている。
「ここからは我に任せてください」
「そりゃそうだ。まだハデス何もしてないもんな」
「…………うぐっ!」
ハデスは俺の指摘に変な声を出した。そして頭をかきながらハデスは茂みの中から出てくる。
そして俺の前に堂々とお座り? をした。ハデス自身は威厳を出しているつもりなのだろうが、一ミリも欠片がない。
「おっほん!」
そのわざとらしい咳でエルフたちの視線が一堂にハデスに集まる。
そして、ハデスは大きく肺に空気を吸い込む。
「ふぅ…………はぁ…………」
何を口にしようとしているのだろうか。何故か少し空気がピリつき始める。
溜めに溜めまくったハデスは少し歪な笑みを浮かべて言った。
「エルフリア」
「…………ん? 何それ?」
ハデスの言葉に俺はそんな問いを返してしまう。
しかし、数秒してから気づいた。その言葉がどれだけエルフにとって重大だということに。
「「「…………ッ!」」」
木の上に乗っていたはずのエルフたちは音も立てずに地に足をつける。
話に乗ってくれるのだろうか。エルフたちは弓をその場に投げ捨てた。
「ねぇねぇ! 見てくださいよ! レイ! これが我の実力ですよ!」
その様子をハデスはドヤ顔をして俺に言ってくる。
そして、ハデスの背後で並んでいるエルフたちは声を揃って言った。
「「「死ねやああああああぁぁ!!」」」
「……………は?」
エルフたちは全員懐刀に持ち替え、俺たちに突進してくる。
エルフは可憐で清楚でおしとやか。なんて言った奴どいつだ。メンヘラ系じゃないか。
「は? じゃねぇよ! 悪化してるじゃん!」
流石の俺でも刺されたら血も出るし、死ぬかもしれない。
こうしてエルフ対俺と自称魔王の鬼ごっこが始まったのだった。
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