短編小話

kuro

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ヤンデレ後輩ちゃん

囚われた少年は今

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俺はあの後、条件付きで家の中を歩き回っていいことになった。相変わらず手には手錠がはめられているため、楽にとは言わないが…それでもあの暗闇と比べたらマシだと思ってしまった。

家には家族がいないので、おそらく俺は突然学校を休み出したヤバいやつ…っていう認識になっているだろう。課題とか、そういうのは大丈夫だろうか……

「ただいまです~」

一葉が帰ってきた。俺は行けないが、一葉は学校に行くように言っている。さすがにこいつまで行かないというのはまずいからだ。勉強はしてもらいたい。

「言ってた参考書とか買ってきましたよ」

そう言って一葉はリュックから大量の参考書などを出して俺に渡した。
俺はそれを確認して「ありがとう」と言ってページをパラパラと開いた。

「勉強するんですか?」

「一応な。受験の時に困らないように家でもやらないといけない。」

それにここから逃げだしてから何も理解できない…なんてことだけは避けたい。

「一応、お前にも教えてやるつもりだから…分からないことがあったら聞いてくれよ」

「でもテストまで結構日数ありますよ?」

「早いうちからやっておいたら1日漬けでやる必要も無いだろ。」

「確かにそうかも」

「ま、ゆっくりやることにするよ。ありがとうな」

これでペンも持てるようになるな。早く逃げ出せるようにしなければ……
俺は密かに勘づかれないようにそう思うのだった。




「あれ……遅いな」

いつもなら帰ってくる時間に帰ってこない。何かあったのか?
あいつは毎日最低でも誤差5分の間には帰ってくるくらい時間をしっかりと守る。だが何故かわからないが今日は30分経過した今でも帰ってくる様子がない。

「…なんで俺……心配してるんだ?」

まさかこれまでのここでの生活で何か変なことでも…
いやまさかそんな……等と考え込んでいると玄関の扉が開いた。
帰ってきた一葉は何故か怒っているような様子で、黙ってこちらに歩いてきて

「先輩…何かしましたか?」

と尋ねられた。なんの話しか分からなかったので
「何がだ?」と聞き返すと

「さっき先輩と同じ学年の人が近くまで来てました。もしかしたら何か情報を流したのかなと」

「そんなことできないだろ…ここには固定電話もないから外のの連絡方法はお前の携帯だけだ」

「うーーん…でも一応一週間くらいは行動を制限しますね」

どうやら信用は足りなかったらしい。

「わかった…仕方ない」

「一週間の我慢ですから…ね。」

今すぐに逃げ出せる筈なのに……なんで俺はこうもここから逃げ出せないのだろうか。
そう思えてくるのだった。
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