性欲がないと言い張る自称執事を拾ったら、最終的に押し倒されてしまいました

こうしき

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四度目 ~side she~

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「あッ…………あッ…………あッ…………柊悟さ、ん」

 わたしの願いを聞き入れてくれた彼は、先程までまでの交情とは打って変わってゆっくりと、わたしの中に入ってきた。根本までの全てが中に入り、繋がっている部分がぶつかると、彼はにこりと笑ってわたしを抱き締めた。

「大好き……」
「うん、好き……ッ…………ッ……だい、すき……ッ」 

 ぎゅうっ、と上半身を抱き寄せたまま、彼はゆっくりと腰を振る。今までのセックスはまるで全力疾走で駆けるようなものだったが、今は違う────はず──なんだけれど。

「あッ……あああッ、や──! ああんッ!」

 身を起こした彼の左手は、わたしの胸を愛撫する。ずり上がる腰は右手で押さえつけられ、ゆっくりだが──最後に突き上げる時に思い切りずんっ、と力強くわたしの中を突いている。

「ふぇ……えッ……あ、や──ああッ! は……ふ、ぅ──やあぁんッ!!」

 体を引き抜くときはゆっくりなので、気の抜けた変な声が出てしまう。それなのに力一杯中を突かれる時にはあまりの快感に大きな声が溢れてしまう。

「ゆっくり、って、柊悟さん、お願い、ゆっくり……ぃ……」
「ゆっくり、突いてますよ」
「でも、ずんって、最後、すごい、奥、突くじゃ……あ、ちょ────やぁッ!! あ……ふ……ぅ……」
「じゃあ、これなら?」

 伸びてきた右手も、左手と同様に胸を撫で回し始める。腰の動きは、ぱんッ──ぱんッ──とゆっくりとなり、やっと彼の顔を見つめることが出来た。

「……ん」

 目を閉じてキスをねだると、啄むような軽い口づけ。何度もそれを繰り返し、首筋に吸い付かれ、胸にも額にも唇を落とされた。

「柊悟、さん」
「なんですか?」
「大好き」
「そればっかりですね」
「だって!」

 ずっと好きだった。いつからかなんてはっきりとしたことはわからないし、彼の方がもっと昔からわたしのことを好いてくれていたのはわかっているけれど。

「私のほうが好きなのに」
「わたしですっ」

 好きだと頭が認識して、それからはいつかこんな風になれたら、なんて──考えなかった訳でもない。勿論、口に出すことなんてしないけれど。

「ねえ、ほたるさん」
「はい?」
「まだ、大丈夫ですか?」
「えっと……」

 言いたいことはそれとなく理解出来た。要は彼は物足りないのだ。わたしだって優しくしてほしいとは言ったけれど、それは──あの激しさには流石にずっと耐えられそうになかったからで。

「まだ激しいの、耐えられます?」
「……説明なくても大丈夫ですって」
「申し訳ありません……」
「大丈夫、いいですよ」
「本当に?」
「ええ」

 返事をすると、いい加減邪魔だったのか彼は長い髪を一纏めに緩く結んだ。腰を掴まれ、少しずつ彼の動きが早まってゆく。わたしの様子を伺いながらゆっくりと──体同士の衝突音が大きなってゆく。

「んッ……あッ、ああッ……あ……あ……ッ!」
「もう、とまれない……ですよ?」
「う、ん……ッ……とまらないで……あ……ッ、あッ……」

 息が上がり、思考も乱れ始めた。頭の中に靄が充満し、更に彼を求めて繋がっている部分に力が籠った。

「あッ! ああッ……ん……」

「……あッ……く、……ッ……あ……あ……あ……ッ!!」

「しゅう、ごさ……ん?」

「だめ……ほたる、キツい……ぃ、あ、イキそ、う…………ッ、う……」

 気持ち程度に隠していた顔から、手を取り払われた。掴まれた両手首はベッドに押し付けられ、もう顔を隠せない。ずり上がった頭が枕に埋もれ、降りてきた唇がでたらめに重なった。

「ほたる……ほたる……ッ……」

 わたしの叫び声と重なるように、彼が名を呼んでくれる。愛しい、愛しい彼の声。

 もういいか、と何かが切れた。彼になら──全てを曝け出せる。顔を隠すことも、声を堪えることも、もうしない。

「しゅ、うご……さ…………ッんッ、ん、あッ……あ、あ、すき、すきッ……すきッ……!」

「うん……すき……す、き……」

「ちょうだい、ぜんぶ、ぜんぶ、ちょうだ……い……ッ!」

「うん、うん……」

「や、あ、ああッ! あ、あッ……ああぁ……あ、やぁぁぁあッ! イ、ク、イクッ!!」

「あッ……あッ……イ……ク…………う、あ……ッ!!」

 かくん、と彼の腕が折れ、体重の全てがわたしに預けられる。上がった息の苦しさに加え、その重さ。

「……ッ、は……はッ……はッ……苦し……ぃ」 

「ッ……ごめ、ん」

 わたしの上から下りようと彼は腕に力を込めるが、どうにも上手くいかないようだ。荒い息が耳を撫でるので、そのままぎゅう、っと抱きしめた。

「いっぱい、出たかな」

「……多分。待って、下りる」

「ゆっくりで……大丈夫だよ」

 繋がっていた部分が離れる時の、わずかな刺激に体が跳ねる。わたしに背を向けて一人で片付けてしまった彼の背に、身を起こしてぴったりと張り付いた。

「……どうしたの?」
「どうもしない、ただこうしていたいの」
「そのまま寝ちゃうんじゃない?」
「……そうかも」

 壁にかけられた時計を見ると、ああ……もう三時を過ぎている。明日が──今日が日曜日でよかった。ゆっくり朝寝坊が出来る。

 振り向いた彼に抱き締められる。温かなその腕の中で、微睡みかけてしまう。

「おやすみ、ほたる」
「おやすみ……柊悟さん」

 頭を撫でてくれていた手は、ゆっくりとわたしの体を横たえた。チェストの上に置かれていた手鏡に手を伸ばし手渡すと、彼はそれを覗きながらコンタクトレンズを外した。

 隣に身を寄せる彼の腕が、スッと伸びてくる。それに応えるようにわたしも彼の体に腕を回すと、抱き合ったまま朝まで眠った。




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