性欲がないと言い張る自称執事を拾ったら、最終的に押し倒されてしまいました

こうしき

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三度目 ~side she~

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 わたしがお風呂から上がると、下着姿の彼はリビングで髪を乾かし終えた所だった。長い髪をさっと一纏めに括り始める。
 これから再び裸になるのだとわかっていても、流石に下着姿で彼の傍に行くことは憚られた。パジャマを取りに行こうにも、結局は下着姿のままリビングに行かねばならない。考えたあげくわたしは、先程脱いだブラウスを着ることにした。何も着てないよりかはましだろう。

「あれ、ほたるさん服……」

 彼の隣に座り髪を乾かし始めると、不思議そうに見つめられた。下着一枚の彼からすれば、何故と思う所もあるのかもしれない。

「流石に何か着たいじゃないですか」
「どうしてですか?」
「だって、恥ずかしいじゃ……ないですか」
「何を今更」

 わたしの太股に頭を乗せた彼の長い指が、するりとブラウスの下から侵入する。腹を撫で腰を撫で──尾骨を撫でられ、ぞくりと身が震えた。

 後頭部を乾かし始めると、ここぞとばかりに彼は身を起こす。わたしの背に張り付き、首筋を這い始めた指がブラウスのボタンに伸びる。一つ、二つ、三つと外れたその隙間から入り込んだ手は、早々に胸の先端へと到達した。優しく愛撫され、後ろから耳たぶを甘噛される。

「髪、乾きました?」
「はい……」
「こっち向いて」
「──っん…………」

 テーブルの上にドライヤーを置き、スタンドミラーを伏せた。伸びてきた両手は、ブラウスのボタンを全て外し、わたしの背をベッドの側面へと追いやった。

「柊悟さん?」

 背中でベッドフレームを受け止める。立てた両膝の頭に彼の手が触れるや否や、ぐい、と足を開かれた。

「もっと足、開いて?」
「や……ぁ……」

 そっと口づけられ、真正面から顔を見つめられる。恐る恐る足を開くと、ショーツの隙間から彼の中指がするりと侵入した。ぷっくりと膨らんだ蕾をくりくりと弄くられ、愛液が溢れ始めるとひだの部分に指が伸びた。

「あああッ……」

「顔、背けないでこっち向いて?」

 顔を向けた刹那、わたしの中に彼の指が侵入した。その瞬間の歪んだ顔を見て、彼は満足そうに微笑んだ。

「ん、や……あ……ッ……見ないで……」

 彼の左手は中を犯し、右手はわたしの顎を固定している。こんな──こんな顔を明るい部屋で、真正面から見つめられるなんて。

「あッあぁ……柊悟、さッ……」

「何ですか?」

「恥ずかし……いッ……ああッ!」

 にこりと微笑んで華麗にわたしの言葉を躱した彼は、無抵抗のわたしからショーツを剥ぎ取った。そのままうずくまり、無理矢理に足を広げられ、その中央の──わたしの秘められた部分に顔を埋めた。

「──ッ!! ハァッ……んッ……ぁ……ぁ……」

 吸い付き、舐められ、時には弄くられ、腰から下がガクガクと震える。快感で崩壊しそうな上半身のブラジャーのホックを自ら外し、ブラウス共々脱ぎ去った。

「──ほたる」

 つられて下着を取り払った彼は、自分の膝の上にわたしを乗せた。床に敷かれたカーペットの上で、わたしたちは何度も何度も互いの唇を吸った。柔らかな手つきで頭を撫でられ、心地がよい。あまりの心地よさに睡魔が襲いかかっていたが、生憎まだ寝かせてもらえそうにもなかった。

 彼に跨がっている最中、その間で立ち上がったものに指を這わせた。敏感な部分を指でそっと摘まんでくりくりと弄くると、わたしを抱き寄せる彼の腕に力が込められた。

「もう、いい?」
「うん……」

 ベッドサイドのチェストに──避妊具に彼が手を伸ばす。一連の動きをじいっと見つめていると、恥ずかしそうに笑った彼と目が合った。

「なんですか?」
「いや、その……入るのかなって」
「さっきも、その前も入ってましたよ?」
「こんなに大きいのがですか?」
「ええ……まあ」

 一度目は夢中で愛し合ってしまったから、そんなことを気にする余裕なんてなかった。二度目はひたすらに後ろから攻められたので、彼のそこを見ていない。

「本当に入るの……?」
「さっきはもっと大きかったですって」
「……そんな」
「大丈夫ですよ」

 ベッドサイドに腰掛けた彼に手を引かれ、わたしは仰向けにベッドに転がった。両足をそろりと開かれ、彼の体が迫ってくる。

「あ……」

 刹那、目が合った。

 苦しそうに寄せられた眉。そして固さを増した熱い彼の体。

「ほたるさん」
「……うん」

 触れた先端が、ずんずんと少しずつ中に攻め入る。ゆっくりと──ゆっくりと一体になる、熱を孕んだ体。
 
「あ……あ……ああッ……」
「大丈夫」

 先の行為の時は本当に夢中で、一つになる直前の彼のそこなんてまじまじと見ていなかった。でも今は──それを目にしてしまった今、変に体が緊張してしまい、上手く力を抜くことが出来ない。

「痛い?」
「そんなこと、ない」
「でも、緊張してる」

 頭を優しく撫でてくれた彼は、一度わたしの中から体を出した。そして額から順に、下へ下へと体じゅうに口づけてくれる。おへそを舐められた時にはくすぐったくて、つい笑い声が漏れてしまった。

「怖い?」
「怖くない、もう、大丈夫です」
「……いい?」
「うん……」

 先程よりもゆっくりと足を開かれる。緊張が解(ほぐ)れたせいか、わたしの入口は彼を求めて熱を孕んでじりじりと痛む。

「ん……ぁ……ッ」

 触れた先端が、優しく入口を刺激する。撫で付けるようにくりくりと、わたしのそこが十分すぎるほどに濡れるまでそれは続き、わたしがこくりと頷いた刹那。

「ああ……あッ……あッ……あッあッあッ……!」

 最奥まで、ずぶりと挿し込まれる彼の体。始めのうちはわたしの様子を伺いながら、ゆっくりと突いてくれていたが、繋がっている部分の滑りが良くなるにつれ、彼の腰の動きが徐々に早まっていった。

「あ……あ……はッ、あ、あッん!」

 ベッドにぺたりと着いていた筈の足裏は、快感を感じる度に踵が少しずつ宙に浮いていった。突き上げられる度に膝から下が激しく揺れ動く。踵から爪先にかけてが、自分の体ではないかのように暴れ狂っていた。

「え……あッあッ……や、や……やッ!」

 ぐっと掴まれ押し上げられる両足。わたしの足裏は完全に天井を向いた。

「やッ、しゅ、ごさ……ん、やッ!」
「……なに?」
「おく、奥が……あああッあッ……」
「奥?」
「おく、すごいッ……いッあッ……あた、あたる、ああ……ッ……きもちい……ぃ……あッ!」

 力強い突きが、何度も、何度も、何度も繰り返しわたしを刺激する。最奥の最奥まで犯され、もう──。

「イキそ……ぁ……あッ!! やあ……イクッ…………あッ!」


 先程、後ろで絶頂に達した時には顔が見えなかったからよかったものの、前だとそうもいかない。乱れ、堕ちてゆくこの厭らしい顔を、彼に何度も見られたくなかった。堪らず右手で目元を覆う。左手は──駄目だ、力が入らず宙をさ迷ったままだ。

「顔、隠さないで見せて」
「や……だ、あッ……あ……だめ、やだッまた、イキそ……あああッ」
「俺の体で……気持ち良くなってる?」
「なって、る、きもち……いぃ……ああッ!!」
「ねえ、ほたるの顔、見せて」
「やだ、おねが、い……あああッ! い……やッ……ッッ……やぁッ、いやぁッ!!」
「かわいい……かわいいから……隠さないで」

 一度目の時に、恐らく何度も見られたのだと思う。けれどあのときは夢中でそんなことを考える余裕なんて本当になかった。だからこそ、今となってそれが非常に恥ずかしい。本気で嫌なわけではないが、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。

「あッ……あッ……ああッ、やだっ、イクッ……ぅ……あッ……!」

 掴まれた右手に唇を落とされた。眉頭が寄り、彼の呼吸は徐々に荒くなる。

「……くッ、う……ッあ………………いッ……!」

 わたしの名を何度も呼び堅く目を瞑った彼は、そこでようやく絶頂に達し、果てた。

「ハァッ…………ハァッ…………」

 荒々しい彼の息が、耳を撫でる。全身の力が抜けて動けないわたしの体を、彼は思い切り抱き締めた。

「……ほたるさん」
「なんですか?」

 繋がったままの体。彼の肩は未だ激しく上下していて、わたしの上から下りられないようだった。

「大丈夫、ですか」
「なにが、です?」
「すみません、感情に任せて……暴れすぎました。御腹とか……その、痛くありませんか?」
「大丈夫ですよ」

 彼の後頭部を優しい撫でる。「んっ」と可愛らしい声を上げるので、そっと耳に唇を落とした。

「今、何時──」

 首を捻って壁掛け時計を確認する。時刻は零時を少し過ぎたところだった。

「柊悟さん、大丈夫ですか?」
「う……ん……」

 流石に疲れたのか、うとうとと微睡む彼をごろんと横に退かせ、恐る恐る避妊具をそこから外す。小さく呻いた彼の体を舌で掃除し、枕元のティッシュに手を伸ばした。

「わぁ……」

 白濁のもので満たされたそれの口を縛り、先程手にしたティッシュにくるんでごみ箱へと落とす。

「……やばいな、ティッシュだらけだ」

 ごみ箱がなんとも恥ずかしいことになっている。振り返り彼を見ると、やはりというか眠りについていた。

「おやすみなさい」

 彼の体に夏掛けを被せ、その隣に転がった。

「トイレ行ってから寝よ……」

 静かに立ちあがり何も身に付けぬまま、わたしは忍び足でその場を離れた。

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