性欲がないと言い張る自称執事を拾ったら、最終的に押し倒されてしまいました

こうしき

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bath time ~side she~

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 いつも物腰穏やかで優しい人だったから、まさかこんなにも激しいセックスをするだなんて全く想像していなかった。

 後ろから突かれるとやはり早々に達してしまうのは相変わらずだった。けれどあんなに何度も──何度も何度も何度も達したのは、初めてのことだった。

 それに──冷静になって考えると、こんな綺麗な男の人とセックスをしているということが、なんだか恥ずかしかった。彼はわたしのことを「可愛いのに」と言ってくれたが、そんなことは全くないのだから。




「初めて一緒にお風呂に入った時のこと、覚えていますか?」

 湯船のお湯がまだ溜まりきらないので、わたしは風呂椅子に座り頭を洗っている。体を洗い終えた彼は、後ろでボディタオルを洗っているようだった。

「覚えていますよ」
「わたしの胸を見て『形も色も最高ですね』って言いましたよね」
「……覚えていますよ」

 シャンプーを流しながら、鏡に写る彼を見つめる。わたしの泡だらけの体に、彼の手がスッと伸びてきた。

「やッ! なにッ、ちょっと」
「だって」
「だって、なッ……んですかぁ……」
「思い出して」
「あッ……なに、を」

 髪を濡らした彼が、わたしの背後にぴたりと身を寄せた。首筋にぱくりと食らい付き吸い上げ、後ろから伸びてきた両手は、泡だらけのわたしの両胸を優しく愛撫し始めた。

「触れたくて触れたくて仕方がなかったことを、思い出したんです」

 体じゅうの力が抜け、シャワーヘッドを握る手がだらりと床に着く。

「お湯がまだ溜まりませんし、ちょっとだけ」
「だめです!」
「どうして?」
「どうしてって……だって、その……」
「その?」

 言って彼は、右手をするすると胸から腹へと滑らせ──。

「ん……あッあッあッ…………!」

──わたしの秘部へと触れた。

「ちょ……しゅう、ご、さん」
「なんでしょうか?」
「なんでしょうか、じゃなくてッ……や……だ、ぁ……ッ! 声が……」

 くりくりと弄くられ、早々に溢れ出した愛液のせいでわたしのそこは熱を孕みびしょびしょになっていた。彼はわたしの耳を舐め、そこから無理矢理に唇を吸う。

「ん……んんッ…………ハァ…………ん……シャンプー、まだ、流して……ないッ、のに」
「私に構わず流して下さい」
「やッあ……むりッ……ぃ」

 腕が絡み合い、互いに立ち上がる。それでも尚わたしの秘部を苛め続ける彼の長い指。空いた左手はわたしの髪を撫で付けつつ時折肩を抱き、崩れそうになる腰を支える。

「あッ……あッあッあッ! だめッ! や、んッ、あ……! 声っが……ぁ……」

 刹那、空いた左手がわたしの口に伸びてきた。零れ落ちる嬌声は彼によって塞き止められる──が、塞がれた唇の隙間からはどうしても声が漏れてしまう。浴室の壁に体を押しやられ、頬と胸、腹がびたんと壁にくっつき、背中で彼の体温を受け止める。

「や……ぁ……だ、めぇ……だめッ……入れちゃ、だめ……ぇ」
「わかっていますよ」
「いじわる、いじわる……ッ!」
「気持ちいい?」
「う、ん……ああッ……や、んんんんッ! んーんッ!! んッ! んッ!」

 わたしの中にずぶりと彼の指が差し込まれるのと同時に、完全に口元が塞がれた。声はどうにか塞き止められたが、指の動きが激しさを増してゆく。

「んーッ! んッんんッ! ん……ッんんんぁッ!」

 指だけで達してしまった。頭のてっぺんから爪先までがぴりぴりと痺れ、ぞわりと冷たい感覚が体を撫でる。ガクガクと震えた膝が床につき、思考が吹き飛んでしまう。

「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……も、う……」

「すみません、苛めたくなってしまって、つい」

「つい、じゃ……ないですよ……ッ! もうッ!」

 お湯が出っぱなしになっていたシャワーヘッドを彼の顔に向ける。仕返しだと言わんばかりに顔面にお湯をかけてやると、屈み込んだ彼はわたしの胸の先端に食らいついた。

「やッ! ちょっと!」

 腰を抱き寄せられ、敏感な部分をべろりと舐め回された。ざらりとした舌の感覚に、体の力が抜けてゆく。音をたてながら吸い上げられている最中、お風呂の湯が溜まりきったことを知らせるアラーム音が鳴った。

「……お湯、溜まりましたよ」
「ん……っと」

 先に湯に浸かるのかと思いきや、彼はそのままわたしの体を抱き締めた。何度かキスを交わすとようやく湯に浸かり、にこにことしながらこちらを見ている。その姿を見てわたしは唇を尖らせながら彼を睨む。

「イタズラする人とはもうえっちしませんよ」
「ほたるさんはしたくないんですか?」
「そんなことはありませんっ!」

 頭を洗い追えると、大袈裟にざぶんっ、とお湯に浸かった。跳ね上がった飛沫が彼の顔を濡らした。

「怒ってます?」
「怒ってます!」

 勿論、本気で怒っているわけではないがわたしは腕を組み頬を膨らませる。唇を尖らせてそっぽを向いてやった。

「すみません……以後気を付けますので」
「家のお風呂でこういう事は駄目ですっ!」
「承知しました。家じゃなければいいってことですね、よかった」
「そういう意味じゃなくて!」
「先に上がりますね。ほたるさんはゆっくり浸かられて下さい」

 小さく笑った彼は、立上り湯船から出る。長い髪をタオルでサッと拭くと、風呂場から出ていってしまった。

「もう! 絶対反省してないでしょ!」


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