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一度目 ~side she~
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雨に濡れていた。
今すぐにシャワーを浴びなければ風邪を引いてしまう、というほど濡れてはいなかったが、身に付けている浴衣が体に張り付いて、不快ではあった。
あれから──二人揃って夏祭りへ出かけ、帰宅した後に些細なことで揉めた。揉めたというよりも、わたしがただ一方的に居たたまれなくなり家を飛び出しただけなのだけれど。
雨が降りしきる中、裸足で外に飛び出したわたしを追いかけて来てくれた──わたしだけの執事 セバスチャン・クロラウト。
わたしのことを愛していると言ってくれた、偽りの執事。
汚れた足のわたしを、彼はアパートの駐車場から部屋まで横抱きで抱えてくれた。家の鍵を締めて明かりをつけ、そのまま洗面所へと向かう。わたしだけがお風呂場で足を洗い、それから手を洗った。
「寒くはありませんか? シャワーを浴びますか?」
手を洗っている背中に声をかけられる。わたしは振り返りもせず、首をふるふると横に振った。
「セバスさんこそ、寒くないんですか?」
セバスさん──セバスチャンさんと呼ぶのは長いからといって、わたしが彼につけたあだ名のようなものだ。いつまでこの偽りの名を呼ばなければならないのか。これから起こることの前に、ちゃんと彼の本当の名前を知りたい──。
場所を交代し、今度はわたしがその背に声をかけた。彼も振り返らずに首を横に振る。
そして沈黙。
「あの、セバスさん」
「はい」
「さっきの……さっきの言葉は、嘘じゃない……ですよね」
「さっきの、というのは?」
気持ちが不安定なせいで、意地の悪いことを言われると涙目になってしまう。それに気が付いた彼は「すみません」と言ってわたしを優しく抱きしめた。
「嘘なわけがありません」
「本当に、ですか」
「ええ」
「本当に……?」
「……私だって、ずっとこうしたかった」
「そんなの……わたしだって……」
声を振り絞り、彼の胸から顔を上げた。目が合うや否や、彼の唇が下りてくる。
「ん……ッ…………んッ…………んん……ぁ……」
もっと触れてみたいと思っていた彼の唇は、わたしの想像以上に乱暴だった。先程はあんなに控えめだったのに──彼は貪るようにわたしの唇を食らい、長い腕は抱え込むようにわたしの頭を抱き寄せる。
互いの体を求め、足が自然とベッドへと向いていた。
キスを交わしながら洗面所を出る。時折立ち止まっては離ればなれになった彼の唇が、わたしの欲求を掻き立てるように首筋や耳を激しく吸った。
「やっ……ぁ……ぁッ……」
苦しい。こんなにも苦しいなんて。男の身体を求めてここまで苦しくなるなんて、初めてだった。
壁に追いやられ、躊躇いがちにゆるりと開かれた浴衣の胸元に唇を押し当てられる。息が上がり、頬は熱い。そこじゃなくて、もっと──。
「セバス、さん……」
「はい」
「名前、あなたの……あなたの本当の名前を教えて下さい」
再び唇を重ねたあと、彼は遠慮がちに口を開いた。
「柊悟──立石 柊悟」
「柊悟さん」
「はい」
「やっと……やっと本当の名前で呼べました」
手を伸ばして頭を撫で、口の中で溶かすように彼の名を呼んだ。
「柊悟さん」
「はい」
「ここじゃなくって、もっと……もっと下を」
そう言ってわたしは、「ここです」と示すように自分の胸に手をあてた。
「…………あっ……」
刹那、肩を掴まれベッドに押し倒される。お互いの荒い息が重なる距離まで顔を近づけると、彼は──。
「や……ッ…………ぁ、ああッ……」
わたしの浴衣の襟元を両手で掴み、帯から引き抜くように少し上に引き上げると、中に着ていた浴衣用の肌着もろとも一気に横に引いた。上半身は普段の下着を身に着けていないので、浴衣を横に引かれた瞬間、乳房がこぼれ落ちた。抵抗する間もなく左乳房の先端をめちゃくちゃに吸われ、右側の先端はくりくりと指で弄くられる。堪らずわたしの背は一気に仰け反ってしまう。
「ハァッ…………ハァッ…………んッ……んッ…………」
そんなに必死にならなくてもいいのに──と声に出したいが、如何せん気持ちが良すぎて、わたしの声は言葉にならない。
開いていた襟元を、肩が出るまで引き下げられる。帯はほどかれ、投げ捨てられた。浴衣の裾も太股まで引き上げられ、その内側も激しく吸われた。
「本当に、いいのですか?」
「どうして?」
「だって、その……夢みたいで」
「夢じゃ、ないです。言ったじゃないですか、わたしは、あなたが好きだって」
「そんなの、私だって」
そう言うと彼は、自分の浴衣の帯に手をかけた。全てを取り払い投げ捨てると、額にかかる髪を払いのけた。そしてわたしの浴衣の太股に手を這わせてゆき、ショーツの上からそろりと秘部に触れた。
「あ……ッ…………やぁッ…………ぁッ…………」
くるりと一撫でされた直後、ショーツの隙間から指を差し込まれる。濡れているのに熱いそこをくりくりと苛められ、わたしの顎はかくん、と上を向いた。
「あ…………あッ あッ あッ あッ……や、やぁぁぁ…………」
あまりの快感に浮いてしまうわたしの腰を、彼の大きな手が無理矢理に押さえ付ける。もぞもぞと暴れ出す足にそっとキスをされ、そのままするりと下ろされたショーツの、隠されたそこへ舌が伸びてきた。
「はぁ…………ッんッ…………んッ……ぁああ……ッ!」
じりじりと焦げるようにそこが熱い。もっと強い刺激が欲しいと思っていたところへ、彼の長く骨ばった指が差し込まれた。
「あッ……ああぁぁッ……やぁッ………んッ……ん……んッ……!」
堪らず大きな声が漏れた。恥ずかしくなって自分の右手で口元を抑えたが、どうしても声が漏れてしまう。
自分の中からとろとろと愛液が溢れてくるのがわかる。彼は一本だった指の隙間からもう一本、わたしの中に差し込み、その上わたしの右手を口元から取り払った。
「ッは……あ、あ、あああッ! あッあああッ! やッあ…………やぁぁぁ……! んっんっんっ! は……ぁ……」
目頭が熱い。いやいやと首を横に振っても、彼は許してくれなかった。時折唇を重ねながら、嬉しそうにわたしの顔を見つめている。
二本の指と薄い唇から解放され、体の右側を下にしてうずくまり肩で息をしていると、既に大きさを増した彼の秘部が視界の隅に入った──と同時に──。
「んっ……んっ……んっ………………ハァッ、ハァッ……」
わたしの太股の間に顔を差し込んだ彼は、荒い息を漏らしながら、またしてもそこに舌を這わせていた。堪らずわたしも彼のそこへ手を伸ばしそっと掴むと、先端からゆっくりと歯を立てながら口へ含んだ。
「あ……ぁ……そこ、は……あッ……あ、あ、あぁッ……」
思っていたよりも可愛らしい彼の反応が嬉しくて、ちろちろと舐めていたものを一気に根本まで口に含んだ。途端に彼の体はびくんと跳ね上がり、わたしはその反応をしばらく楽しむ。お返しだと言わんばかりに何度も激しく吸い付かれ、わたしのそこはもう、彼が欲しくて欲しくて堪らなくなっていた。
お互いのものを舐めあっていた余韻に浸っていたのも束の間、彼は起き上がり、わたしの上に覆い被さった。甘えるような瞳で、じいっとわたしの瞳を覗き込む。
「どうしたんです……か、って…………あっ……やっ……」
固くなった彼の先端が、避妊具越しにわたしの入口へと押しあてられていた。つんつんとつつかれ、ぬるりと前後になぞられる。その最中腰紐をほどかれ、浴衣を剥ぎ取られた。ようやく全裸になったわたしの全身を、彼は上から順にそっと撫でていく。
そして──不意に、体が一つになった。
「…………ッ……んッ…………ぁ……あッ!!」
あまりの快感に始めは声が出なかった。何度も奥を突かれるうちに声は漏れ始める。やっと──やっと彼と一つになれたことが嬉しいのか、それとも極上の快感に体が悦んでいるのか、わたしの目の端から涙が溢れた。
わたしの涙に気が付いた彼は、驚き体を外に出した。慌てた様子でわたしの上から下りると、「すみません」と言って頭を下げた。
「嫌、でしたか」
「違うんです……嫌とか、じゃなくて」
来て、と言って腕を引いた。戸惑いながらも彼は、再びわたしの上に覆い被さる。
「嬉しかったのと……その、気持ち良すぎて……なんだか、勝手に涙…………が…………やんッ……あッ……あッ!」
「安心しました」
先程よりも大きさを増した彼の体が、勢いよくわたしの中に突き上げた。
「嫌じゃ、ないッ……んですね」
「いやッ……じゃ……ぁッ……あ、ぁッ……ないッ、です……うれし、いッ……ぁ……ッ」
「じゃあ……」
言い終えた刹那、激しく、荒々しく、何度も、何度も中を突かれた。
「あ……ッあッあッあッあぁぁッ! そんな、にッ……やぁぁぁッ! おかしく、おかしくなっちゃうッ!」
「おかしくなったらいい……」
「まっ……待って、待って下さ……ぃ、あ、ああッッ! あ……あッ、あぁ、あんッ!」
「待てない、と言ったら」
「やッ、あッあッあッ……! ハァッ……ハァッ……あつい……あつ、い……」
「暑い?」
「うッ……あッ…………うん……あつ、い……あつぃよ……ハァッ、ハァッ……」
「承知しました」
そう言って枕元にあったリモコンで冷房を入れると、彼はそれをテーブルの下に放り投げた。
それからは時折互いの名を呼び合うだけで、言葉は交わさなかった。代わりに煌々と明かりの灯る部屋に響くのは、彼がわたしを突く時の、体の触れあう合う音。そして快楽の海に溺れる互いの嬌声だけだった。
互いに絶頂に達し動けなくなるまで愛し合った後、口づけを交わしながら抱き合って眠った。
今すぐにシャワーを浴びなければ風邪を引いてしまう、というほど濡れてはいなかったが、身に付けている浴衣が体に張り付いて、不快ではあった。
あれから──二人揃って夏祭りへ出かけ、帰宅した後に些細なことで揉めた。揉めたというよりも、わたしがただ一方的に居たたまれなくなり家を飛び出しただけなのだけれど。
雨が降りしきる中、裸足で外に飛び出したわたしを追いかけて来てくれた──わたしだけの執事 セバスチャン・クロラウト。
わたしのことを愛していると言ってくれた、偽りの執事。
汚れた足のわたしを、彼はアパートの駐車場から部屋まで横抱きで抱えてくれた。家の鍵を締めて明かりをつけ、そのまま洗面所へと向かう。わたしだけがお風呂場で足を洗い、それから手を洗った。
「寒くはありませんか? シャワーを浴びますか?」
手を洗っている背中に声をかけられる。わたしは振り返りもせず、首をふるふると横に振った。
「セバスさんこそ、寒くないんですか?」
セバスさん──セバスチャンさんと呼ぶのは長いからといって、わたしが彼につけたあだ名のようなものだ。いつまでこの偽りの名を呼ばなければならないのか。これから起こることの前に、ちゃんと彼の本当の名前を知りたい──。
場所を交代し、今度はわたしがその背に声をかけた。彼も振り返らずに首を横に振る。
そして沈黙。
「あの、セバスさん」
「はい」
「さっきの……さっきの言葉は、嘘じゃない……ですよね」
「さっきの、というのは?」
気持ちが不安定なせいで、意地の悪いことを言われると涙目になってしまう。それに気が付いた彼は「すみません」と言ってわたしを優しく抱きしめた。
「嘘なわけがありません」
「本当に、ですか」
「ええ」
「本当に……?」
「……私だって、ずっとこうしたかった」
「そんなの……わたしだって……」
声を振り絞り、彼の胸から顔を上げた。目が合うや否や、彼の唇が下りてくる。
「ん……ッ…………んッ…………んん……ぁ……」
もっと触れてみたいと思っていた彼の唇は、わたしの想像以上に乱暴だった。先程はあんなに控えめだったのに──彼は貪るようにわたしの唇を食らい、長い腕は抱え込むようにわたしの頭を抱き寄せる。
互いの体を求め、足が自然とベッドへと向いていた。
キスを交わしながら洗面所を出る。時折立ち止まっては離ればなれになった彼の唇が、わたしの欲求を掻き立てるように首筋や耳を激しく吸った。
「やっ……ぁ……ぁッ……」
苦しい。こんなにも苦しいなんて。男の身体を求めてここまで苦しくなるなんて、初めてだった。
壁に追いやられ、躊躇いがちにゆるりと開かれた浴衣の胸元に唇を押し当てられる。息が上がり、頬は熱い。そこじゃなくて、もっと──。
「セバス、さん……」
「はい」
「名前、あなたの……あなたの本当の名前を教えて下さい」
再び唇を重ねたあと、彼は遠慮がちに口を開いた。
「柊悟──立石 柊悟」
「柊悟さん」
「はい」
「やっと……やっと本当の名前で呼べました」
手を伸ばして頭を撫で、口の中で溶かすように彼の名を呼んだ。
「柊悟さん」
「はい」
「ここじゃなくって、もっと……もっと下を」
そう言ってわたしは、「ここです」と示すように自分の胸に手をあてた。
「…………あっ……」
刹那、肩を掴まれベッドに押し倒される。お互いの荒い息が重なる距離まで顔を近づけると、彼は──。
「や……ッ…………ぁ、ああッ……」
わたしの浴衣の襟元を両手で掴み、帯から引き抜くように少し上に引き上げると、中に着ていた浴衣用の肌着もろとも一気に横に引いた。上半身は普段の下着を身に着けていないので、浴衣を横に引かれた瞬間、乳房がこぼれ落ちた。抵抗する間もなく左乳房の先端をめちゃくちゃに吸われ、右側の先端はくりくりと指で弄くられる。堪らずわたしの背は一気に仰け反ってしまう。
「ハァッ…………ハァッ…………んッ……んッ…………」
そんなに必死にならなくてもいいのに──と声に出したいが、如何せん気持ちが良すぎて、わたしの声は言葉にならない。
開いていた襟元を、肩が出るまで引き下げられる。帯はほどかれ、投げ捨てられた。浴衣の裾も太股まで引き上げられ、その内側も激しく吸われた。
「本当に、いいのですか?」
「どうして?」
「だって、その……夢みたいで」
「夢じゃ、ないです。言ったじゃないですか、わたしは、あなたが好きだって」
「そんなの、私だって」
そう言うと彼は、自分の浴衣の帯に手をかけた。全てを取り払い投げ捨てると、額にかかる髪を払いのけた。そしてわたしの浴衣の太股に手を這わせてゆき、ショーツの上からそろりと秘部に触れた。
「あ……ッ…………やぁッ…………ぁッ…………」
くるりと一撫でされた直後、ショーツの隙間から指を差し込まれる。濡れているのに熱いそこをくりくりと苛められ、わたしの顎はかくん、と上を向いた。
「あ…………あッ あッ あッ あッ……や、やぁぁぁ…………」
あまりの快感に浮いてしまうわたしの腰を、彼の大きな手が無理矢理に押さえ付ける。もぞもぞと暴れ出す足にそっとキスをされ、そのままするりと下ろされたショーツの、隠されたそこへ舌が伸びてきた。
「はぁ…………ッんッ…………んッ……ぁああ……ッ!」
じりじりと焦げるようにそこが熱い。もっと強い刺激が欲しいと思っていたところへ、彼の長く骨ばった指が差し込まれた。
「あッ……ああぁぁッ……やぁッ………んッ……ん……んッ……!」
堪らず大きな声が漏れた。恥ずかしくなって自分の右手で口元を抑えたが、どうしても声が漏れてしまう。
自分の中からとろとろと愛液が溢れてくるのがわかる。彼は一本だった指の隙間からもう一本、わたしの中に差し込み、その上わたしの右手を口元から取り払った。
「ッは……あ、あ、あああッ! あッあああッ! やッあ…………やぁぁぁ……! んっんっんっ! は……ぁ……」
目頭が熱い。いやいやと首を横に振っても、彼は許してくれなかった。時折唇を重ねながら、嬉しそうにわたしの顔を見つめている。
二本の指と薄い唇から解放され、体の右側を下にしてうずくまり肩で息をしていると、既に大きさを増した彼の秘部が視界の隅に入った──と同時に──。
「んっ……んっ……んっ………………ハァッ、ハァッ……」
わたしの太股の間に顔を差し込んだ彼は、荒い息を漏らしながら、またしてもそこに舌を這わせていた。堪らずわたしも彼のそこへ手を伸ばしそっと掴むと、先端からゆっくりと歯を立てながら口へ含んだ。
「あ……ぁ……そこ、は……あッ……あ、あ、あぁッ……」
思っていたよりも可愛らしい彼の反応が嬉しくて、ちろちろと舐めていたものを一気に根本まで口に含んだ。途端に彼の体はびくんと跳ね上がり、わたしはその反応をしばらく楽しむ。お返しだと言わんばかりに何度も激しく吸い付かれ、わたしのそこはもう、彼が欲しくて欲しくて堪らなくなっていた。
お互いのものを舐めあっていた余韻に浸っていたのも束の間、彼は起き上がり、わたしの上に覆い被さった。甘えるような瞳で、じいっとわたしの瞳を覗き込む。
「どうしたんです……か、って…………あっ……やっ……」
固くなった彼の先端が、避妊具越しにわたしの入口へと押しあてられていた。つんつんとつつかれ、ぬるりと前後になぞられる。その最中腰紐をほどかれ、浴衣を剥ぎ取られた。ようやく全裸になったわたしの全身を、彼は上から順にそっと撫でていく。
そして──不意に、体が一つになった。
「…………ッ……んッ…………ぁ……あッ!!」
あまりの快感に始めは声が出なかった。何度も奥を突かれるうちに声は漏れ始める。やっと──やっと彼と一つになれたことが嬉しいのか、それとも極上の快感に体が悦んでいるのか、わたしの目の端から涙が溢れた。
わたしの涙に気が付いた彼は、驚き体を外に出した。慌てた様子でわたしの上から下りると、「すみません」と言って頭を下げた。
「嫌、でしたか」
「違うんです……嫌とか、じゃなくて」
来て、と言って腕を引いた。戸惑いながらも彼は、再びわたしの上に覆い被さる。
「嬉しかったのと……その、気持ち良すぎて……なんだか、勝手に涙…………が…………やんッ……あッ……あッ!」
「安心しました」
先程よりも大きさを増した彼の体が、勢いよくわたしの中に突き上げた。
「嫌じゃ、ないッ……んですね」
「いやッ……じゃ……ぁッ……あ、ぁッ……ないッ、です……うれし、いッ……ぁ……ッ」
「じゃあ……」
言い終えた刹那、激しく、荒々しく、何度も、何度も中を突かれた。
「あ……ッあッあッあッあぁぁッ! そんな、にッ……やぁぁぁッ! おかしく、おかしくなっちゃうッ!」
「おかしくなったらいい……」
「まっ……待って、待って下さ……ぃ、あ、ああッッ! あ……あッ、あぁ、あんッ!」
「待てない、と言ったら」
「やッ、あッあッあッ……! ハァッ……ハァッ……あつい……あつ、い……」
「暑い?」
「うッ……あッ…………うん……あつ、い……あつぃよ……ハァッ、ハァッ……」
「承知しました」
そう言って枕元にあったリモコンで冷房を入れると、彼はそれをテーブルの下に放り投げた。
それからは時折互いの名を呼び合うだけで、言葉は交わさなかった。代わりに煌々と明かりの灯る部屋に響くのは、彼がわたしを突く時の、体の触れあう合う音。そして快楽の海に溺れる互いの嬌声だけだった。
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