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第二章
第四十四話 喪失
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軽快な足取りで建物の外壁を蹴り上がり、男──ミカエル・フラウンは民家の屋根の上へと着地した。腕に抱えた血色の瞳の殺し屋は、かなり不満げな様子である。
「下ろせ。さもなくば殺す」
「やだ」
ミカエルの返答に眉間に皺を刻んだアンナは、無理矢理押さえつけられていた右手で、右太腿に差した短剣を抜いた。彼の首元に押し当て、再度静止をするよう忠告する。
「わかってないなあ。俺、君を助けたんだけど」
「頼んでいない」
「この国から正体を晒さず、出国する方法も知ってるんだけどな。情報、売ってもいいかなって思ってるんだけどな~」
「……」
ミカエルの提案に、アンナは苛立ちながらも短剣を退いた。鞘に戻そうと身を捩るが、かなり無理矢理抱きかかえられているので、身動きが取りづらい。彼の腕の中でもぞもぞと動くが、どうやら無理なようで。
「うわあ、太腿柔らか~い! 何のサービス?」
「はぁ!?」
「脇腹は筋肉質で固いのに、太腿の裏側柔らかすぎだね。胸はどうなの?」
腰に回されていた手が、胸へと伸びる。勿論抵抗など出来るはずもなく、ミカエルの指はアンナの右胸へと沈んでゆく。
「うわあ~! うわあ~!」
「……早く殺してしまいたい」
「今回の仕事引き受けてよかったあ! 断らなくてよかったあ!」
「何の話だ」
「ん、こっちの話。気にしないで」
屋根を駆けていたミカエルが、最後に大きく飛び上がり着地したのは立派なバルコニーだった。固くカーテンが閉じられ、明かりもついていない上、人の気配もない。
「俺が宿泊してる部屋だから安心してよ。結界も張っておくから」
アンナを片手で抱え直すと、ミカエルは窓に背を向け左腕を垂直に差し出す。白く光った左手からス──、と膜のような物が飛び出し、部屋一帯を取り囲んだ後に消え去った。
「お前……本当にあのミカエル・フラウンか?」
「本当にって、どういう意味?」
「聞いていた話と随分違う。凄腕の情報屋、ミカエル・フラウン……こんな軽薄な男という話は、聞いたことがない」
「情報屋が自分の情報を正しく広める訳がないじゃない」
バルコニーの戸を引くと、ミカエルは室内に滑り込んだ。部屋の照明をつけると、アンナをソファに下ろし、自身もその横に腰を下ろした。
「ん……お前、エルフだろ? 何だその髪の色は」
暗がりでよく見えていなかったが、ミカエルの肩に触れる程度の長髪は、エルフ特有の金髪ではなく銀髪であった。優顔に不似合いな細い煙草に火をつけ口に咥えると立ち上がり、身につけているペーブルーのつなぎの太腿部分を摘むと、仰々しくカテーシーのポーズを取った。
「これはねぇ、染めてるの。目立つだろ? 俺、顔も見目麗しいけど、こっちのほうが目立って女の子がわんさか寄ってくるんだよね」
「寄ってきてどうすると?」
「ん、頂くの」
「……頂く?」
言葉の本質がわからず、眉を寄せたアンナを見てミカエルの顔が輝く。メインディッシュがフルコースに変わったことを確信した彼の口角が、キュッと上に吊り上がった。
「それにしても、君が俺のことを知ってくれてるなんで嬉しいなあ」
「名前くらいはな。有名だろ、お前」
「名前だけなら君の方が有名だと思うけど?」
今やアンナは、世界に名を轟かせる殺し屋の一人。 緋鬼という二つ名は、殺し屋業界の中でも知らぬ者はおらぬ程。
「で、その有名な殺し屋様がこの国に一体何の用……だなんて、聞くだけ野暮かな」
「今宵の騒動で察せぬほど、お前も愚かではないだろ」
「まあね~。あ、黙っててほしいよね?」
「勿論だ」
「じゃあ料金上がるけどいい?」
「それは構わない」
「あ、あと怪我治してあげるよ」
スッと伸びて来たミカエルの金色に輝く右手が、アンナの額と耳朶に触れた。瞬間的、痛みが引いていることにアンナは驚く。
(こいつ……アリシアよりも良い腕をしてやがる)
ファイアランス王国グランヴィ王家専属医師、エルフのアリシア。アンナは大怪我を負う度に彼女の世話になっているのだが、腕の良い彼女を凌駕するほどのミカエルの力に目を丸くする。
「体の傷で他に消したい所があったらサービスするよ?」
「今のところないな。残したい傷は敢えて残している」
「へぇ……」
「御託はいい。お前、本当にこの国から出国する術を知っているんだろうな?」
「知ってるよ。俺、こういう立場だし? 招かれて何度もこの国に来てる身だから。その度に機密をサラッと盗んだりしちゃってるし」
「それで? お前はこのあたしにいくら払えというんだ?」
少女とは思えぬ、鋭い目つきにミカエルは一瞬身構える。が、先程触れたアンナの身体──は、正しく女と呼べるほどに成熟していた。組んだ腕の中に窮屈そうに押し込められている胸は、片手に収まりきらぬほど、豊満であったのだ。
「金なんて要らないよ。そんなもの、他の奴等からいくらでも搾取できる。その代わり、身体で払ってほしいんだよね」
アンナの腰掛けるソファの隣に、ミカエルは再び腰を下ろし滑るように体を寄せる。不快そうに舌を打つアンナの表情に、次第に欲情してゆく。
「ふん、肉体労働か。いいだろう、何人殺せばいいんだ」
「俺、殺したい奴くらい自分で殺すよ? 身体でって言っただろう?」
「……お前、まさか王族であるあたしに、汗水垂らして働けというんじゃないだろうな?」
アンナの目つきが一層鋭いものとなった。低く唸るような声色に気圧されないのか、ミカエルは飄々とした態度のまま彼女を煽りに煽る。
「……本当に君は何にも知らないんだね」
「馬鹿にしているのであれば、今すぐお前を殺すが」
「謝るから室内で抜刀するのは止してくれないか?」
腰の刀を抜いたアンナは、ミカエルの喉元に切っ先を押し付ける。このまま彼を殺すのは容易いが、仕事で入ったこの国で、助けられたこの命。おまけに出国の手引までしてくれるという彼の提案──の恩を仇で返すほど、彼女も落ちぶれてはいなかった。
「とりあえず、シャワーを浴びてくる? 俺はどちらでもいいけれど」
「……シャワー?」
「そう」
「何故だ?」
「まあ、面倒ならいいんだ」
「あたしも暇じゃないんだ。さっさと済ませて帰城しなければ、父上に叱られてしまう」
「……そ、なら、さっさと始めよう」
何が始まるのか、何を始めるのか。肉体労働と言いながら、部屋から一歩も出る様子のないミカエルに対し、アンナは不審感ばかりが募ってゆく。伸びてきた彼の手が、彼女の頬にスッと触れた所で、その手を叩き落とした。
「何すんだテメェっ!」
「いっ……たいんだけどっ!」
「気易く触るなお前……あたしを誰だと思っている!」
「ファイアランス王国第二王女、アンナリリアン・ F・グランヴィ様でしょ」
「うるせえよ!」
「言い忘れていたことがあるんだけど」
ミカエルは叩き落とされた手のひらを擦りながら、ゆらりと首を傾げる。肩まで伸ばした銀の髪がさらりと揺れる。
「身体で払って、と言ったけど、最中俺は君に触れます」
「先に言えよ!」
「先に言ったら触れてもよかった?」
「……慣れていない」
「それもそうか」
味方でなければ、触れられる前に斬り殺す。それが仕事──王族でありながら、殺し屋一族である彼女の仕事であった。
「あとねえ、俺に主導権があるんだから、逆らわないで? あっ、殺さないから大丈夫。殺そうともしないから安心して。四肢も斬らないし、内臓を取ることもない。命を脅かすことはない」
「……それなら」
「それなら、何をしてもいい?」
「いいが、待て」
「ん?」
「お前が……今からしようとしているそれに、名称はあるのか? 命を脅かすことはない、金も取らない、人を殺さなくてもいい報酬など何がある」
ミカエルの口角がキュッと持ち上がる。両の手でアンナの頬を包み込んだ刹那、見開かれる彼女の血色の瞳。その瞼に軽く口付け、彼は彼女の耳許に口を寄せ囁いた。
「それは──」
「それは?」
「性行為」
「……せい……?」
「まあうん、ルールを無視してこの国から出るのって、普通の奴じゃ無理だからね……口止め料も含めてこのくらいは貰わないと」
ミカエルは右手の指を三本立て、アンナに見せつける。意味がわからぬままの彼女をトン、とソファに押し倒す。驚き肩を縮こませた彼女の唇をすかさず塞ぎ、舌を滑り込ませる。びくん、と全身が跳ね上がったのを無理矢理に抑え込み、瞳と同じ色の髪に指を絡ませた。
「んッ……くッ、う、んぅ…………ぁ…………ハァッ……!」
「口づけられるのも初めてなの?」
「な……ちょッ……!」
「てっきりあの王子か臣下あたりに手を付けられてるかと思ってた」
べろりと伸びる赤い舌が、アンナの首筋を濡らす。鎖骨を舐め胸元を舐め、右手を取るとその中指を口に咥えて吸い取り、一旦彼女の様子を伺った。
「性行為、セックス、知らない?」
「……以前、姉上に聞かされたことがある」
「……ふうん。ひょっとして君の姉の出産時期に?」
「……何故」
「情報屋の勘を舐めない方がいい」
殺し屋の彼女の、赤面し恥じらいに満ちた顔を見たことがある者はミカエルが初めてであった。それが堪らなく嬉しいのか、ペラペラと舌ばかりが動く。
「快楽を得るための行い……まあ、これ大人の遊戯だからね。知らないままだと子供っていうか」
「挑発してんのか、いい加減に──」
「乗るんでしょ? それしか選択肢ないもね」
「貴様……!」
「はい、逆らわない」
「……くそが」
「続けるけど?」
好きにしろ、と言わんばかりに、アンナはそっぽを向き目を閉じた。これを好機と高揚するミカエルは、彼女の黒いライダースーツの胸元のファスナーを一気に下ろした。
────────
こちらの続きはR18版として公開しています。ムーンライトまたはアルファポリスにて「ヒメサマノヒメゴト1~殺し屋の姫、淫猥な銀エルフに犯され~」というタイトルで公開しています
「下ろせ。さもなくば殺す」
「やだ」
ミカエルの返答に眉間に皺を刻んだアンナは、無理矢理押さえつけられていた右手で、右太腿に差した短剣を抜いた。彼の首元に押し当て、再度静止をするよう忠告する。
「わかってないなあ。俺、君を助けたんだけど」
「頼んでいない」
「この国から正体を晒さず、出国する方法も知ってるんだけどな。情報、売ってもいいかなって思ってるんだけどな~」
「……」
ミカエルの提案に、アンナは苛立ちながらも短剣を退いた。鞘に戻そうと身を捩るが、かなり無理矢理抱きかかえられているので、身動きが取りづらい。彼の腕の中でもぞもぞと動くが、どうやら無理なようで。
「うわあ、太腿柔らか~い! 何のサービス?」
「はぁ!?」
「脇腹は筋肉質で固いのに、太腿の裏側柔らかすぎだね。胸はどうなの?」
腰に回されていた手が、胸へと伸びる。勿論抵抗など出来るはずもなく、ミカエルの指はアンナの右胸へと沈んでゆく。
「うわあ~! うわあ~!」
「……早く殺してしまいたい」
「今回の仕事引き受けてよかったあ! 断らなくてよかったあ!」
「何の話だ」
「ん、こっちの話。気にしないで」
屋根を駆けていたミカエルが、最後に大きく飛び上がり着地したのは立派なバルコニーだった。固くカーテンが閉じられ、明かりもついていない上、人の気配もない。
「俺が宿泊してる部屋だから安心してよ。結界も張っておくから」
アンナを片手で抱え直すと、ミカエルは窓に背を向け左腕を垂直に差し出す。白く光った左手からス──、と膜のような物が飛び出し、部屋一帯を取り囲んだ後に消え去った。
「お前……本当にあのミカエル・フラウンか?」
「本当にって、どういう意味?」
「聞いていた話と随分違う。凄腕の情報屋、ミカエル・フラウン……こんな軽薄な男という話は、聞いたことがない」
「情報屋が自分の情報を正しく広める訳がないじゃない」
バルコニーの戸を引くと、ミカエルは室内に滑り込んだ。部屋の照明をつけると、アンナをソファに下ろし、自身もその横に腰を下ろした。
「ん……お前、エルフだろ? 何だその髪の色は」
暗がりでよく見えていなかったが、ミカエルの肩に触れる程度の長髪は、エルフ特有の金髪ではなく銀髪であった。優顔に不似合いな細い煙草に火をつけ口に咥えると立ち上がり、身につけているペーブルーのつなぎの太腿部分を摘むと、仰々しくカテーシーのポーズを取った。
「これはねぇ、染めてるの。目立つだろ? 俺、顔も見目麗しいけど、こっちのほうが目立って女の子がわんさか寄ってくるんだよね」
「寄ってきてどうすると?」
「ん、頂くの」
「……頂く?」
言葉の本質がわからず、眉を寄せたアンナを見てミカエルの顔が輝く。メインディッシュがフルコースに変わったことを確信した彼の口角が、キュッと上に吊り上がった。
「それにしても、君が俺のことを知ってくれてるなんで嬉しいなあ」
「名前くらいはな。有名だろ、お前」
「名前だけなら君の方が有名だと思うけど?」
今やアンナは、世界に名を轟かせる殺し屋の一人。 緋鬼という二つ名は、殺し屋業界の中でも知らぬ者はおらぬ程。
「で、その有名な殺し屋様がこの国に一体何の用……だなんて、聞くだけ野暮かな」
「今宵の騒動で察せぬほど、お前も愚かではないだろ」
「まあね~。あ、黙っててほしいよね?」
「勿論だ」
「じゃあ料金上がるけどいい?」
「それは構わない」
「あ、あと怪我治してあげるよ」
スッと伸びて来たミカエルの金色に輝く右手が、アンナの額と耳朶に触れた。瞬間的、痛みが引いていることにアンナは驚く。
(こいつ……アリシアよりも良い腕をしてやがる)
ファイアランス王国グランヴィ王家専属医師、エルフのアリシア。アンナは大怪我を負う度に彼女の世話になっているのだが、腕の良い彼女を凌駕するほどのミカエルの力に目を丸くする。
「体の傷で他に消したい所があったらサービスするよ?」
「今のところないな。残したい傷は敢えて残している」
「へぇ……」
「御託はいい。お前、本当にこの国から出国する術を知っているんだろうな?」
「知ってるよ。俺、こういう立場だし? 招かれて何度もこの国に来てる身だから。その度に機密をサラッと盗んだりしちゃってるし」
「それで? お前はこのあたしにいくら払えというんだ?」
少女とは思えぬ、鋭い目つきにミカエルは一瞬身構える。が、先程触れたアンナの身体──は、正しく女と呼べるほどに成熟していた。組んだ腕の中に窮屈そうに押し込められている胸は、片手に収まりきらぬほど、豊満であったのだ。
「金なんて要らないよ。そんなもの、他の奴等からいくらでも搾取できる。その代わり、身体で払ってほしいんだよね」
アンナの腰掛けるソファの隣に、ミカエルは再び腰を下ろし滑るように体を寄せる。不快そうに舌を打つアンナの表情に、次第に欲情してゆく。
「ふん、肉体労働か。いいだろう、何人殺せばいいんだ」
「俺、殺したい奴くらい自分で殺すよ? 身体でって言っただろう?」
「……お前、まさか王族であるあたしに、汗水垂らして働けというんじゃないだろうな?」
アンナの目つきが一層鋭いものとなった。低く唸るような声色に気圧されないのか、ミカエルは飄々とした態度のまま彼女を煽りに煽る。
「……本当に君は何にも知らないんだね」
「馬鹿にしているのであれば、今すぐお前を殺すが」
「謝るから室内で抜刀するのは止してくれないか?」
腰の刀を抜いたアンナは、ミカエルの喉元に切っ先を押し付ける。このまま彼を殺すのは容易いが、仕事で入ったこの国で、助けられたこの命。おまけに出国の手引までしてくれるという彼の提案──の恩を仇で返すほど、彼女も落ちぶれてはいなかった。
「とりあえず、シャワーを浴びてくる? 俺はどちらでもいいけれど」
「……シャワー?」
「そう」
「何故だ?」
「まあ、面倒ならいいんだ」
「あたしも暇じゃないんだ。さっさと済ませて帰城しなければ、父上に叱られてしまう」
「……そ、なら、さっさと始めよう」
何が始まるのか、何を始めるのか。肉体労働と言いながら、部屋から一歩も出る様子のないミカエルに対し、アンナは不審感ばかりが募ってゆく。伸びてきた彼の手が、彼女の頬にスッと触れた所で、その手を叩き落とした。
「何すんだテメェっ!」
「いっ……たいんだけどっ!」
「気易く触るなお前……あたしを誰だと思っている!」
「ファイアランス王国第二王女、アンナリリアン・ F・グランヴィ様でしょ」
「うるせえよ!」
「言い忘れていたことがあるんだけど」
ミカエルは叩き落とされた手のひらを擦りながら、ゆらりと首を傾げる。肩まで伸ばした銀の髪がさらりと揺れる。
「身体で払って、と言ったけど、最中俺は君に触れます」
「先に言えよ!」
「先に言ったら触れてもよかった?」
「……慣れていない」
「それもそうか」
味方でなければ、触れられる前に斬り殺す。それが仕事──王族でありながら、殺し屋一族である彼女の仕事であった。
「あとねえ、俺に主導権があるんだから、逆らわないで? あっ、殺さないから大丈夫。殺そうともしないから安心して。四肢も斬らないし、内臓を取ることもない。命を脅かすことはない」
「……それなら」
「それなら、何をしてもいい?」
「いいが、待て」
「ん?」
「お前が……今からしようとしているそれに、名称はあるのか? 命を脅かすことはない、金も取らない、人を殺さなくてもいい報酬など何がある」
ミカエルの口角がキュッと持ち上がる。両の手でアンナの頬を包み込んだ刹那、見開かれる彼女の血色の瞳。その瞼に軽く口付け、彼は彼女の耳許に口を寄せ囁いた。
「それは──」
「それは?」
「性行為」
「……せい……?」
「まあうん、ルールを無視してこの国から出るのって、普通の奴じゃ無理だからね……口止め料も含めてこのくらいは貰わないと」
ミカエルは右手の指を三本立て、アンナに見せつける。意味がわからぬままの彼女をトン、とソファに押し倒す。驚き肩を縮こませた彼女の唇をすかさず塞ぎ、舌を滑り込ませる。びくん、と全身が跳ね上がったのを無理矢理に抑え込み、瞳と同じ色の髪に指を絡ませた。
「んッ……くッ、う、んぅ…………ぁ…………ハァッ……!」
「口づけられるのも初めてなの?」
「な……ちょッ……!」
「てっきりあの王子か臣下あたりに手を付けられてるかと思ってた」
べろりと伸びる赤い舌が、アンナの首筋を濡らす。鎖骨を舐め胸元を舐め、右手を取るとその中指を口に咥えて吸い取り、一旦彼女の様子を伺った。
「性行為、セックス、知らない?」
「……以前、姉上に聞かされたことがある」
「……ふうん。ひょっとして君の姉の出産時期に?」
「……何故」
「情報屋の勘を舐めない方がいい」
殺し屋の彼女の、赤面し恥じらいに満ちた顔を見たことがある者はミカエルが初めてであった。それが堪らなく嬉しいのか、ペラペラと舌ばかりが動く。
「快楽を得るための行い……まあ、これ大人の遊戯だからね。知らないままだと子供っていうか」
「挑発してんのか、いい加減に──」
「乗るんでしょ? それしか選択肢ないもね」
「貴様……!」
「はい、逆らわない」
「……くそが」
「続けるけど?」
好きにしろ、と言わんばかりに、アンナはそっぽを向き目を閉じた。これを好機と高揚するミカエルは、彼女の黒いライダースーツの胸元のファスナーを一気に下ろした。
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