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まだか、まだかと毎日カレンダーを見つめながら、指折り数えて週末を待った。とおやに会える金曜に近づくにつれ、仕事をこなす要領が良くなっていたらしい。自覚はなかったのだが、あの社内一怖いと言われる鬼の十紋字課長に褒められたことにより、それに気がついたのだ。
「頑張っているようだな、真戸乃君」
「先輩方のご指導のお陰です」
まさか週末に彼氏とお家デートをするから頑張れるんです、なんて口が裂けても言えるわけがない。眼鏡の奥──鋭い瞳のこの課長に、例え冗談だとしてもそんなことを話せるわけがなかった。
*
仕事帰りに買い物をし、家に帰ってすぐにキッチンに立った。とおやの仕事が終わり、ここに着くのが恐らく十九時半くらいだろう。食事を作っておくからと言った以上、出来れば彼が到着するまでに調理を終えておきたい。そう考えると、あまり手の込んだものは作れない。
買い物をしながら考えていたメニュー──豚の生姜焼にポテトサラダ、それに野菜スープが無事出来上がった。調理を終えてフライパンを洗っていた所でインターホンが鳴った。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
スーツ姿のとおやが、恥ずかしそうに笑う。どうしたの、と尋ねれば「エプロン姿が新鮮」だとのことだった。
「これ?」
明るい水色のリボンでウエストをキュッと締める、ワンピースのように裾の広がるエプロンだ。膝上で波打つ濃紺生地のエプロンは、わたしのお気に入りであった。
「下、何着てるんだ?」
「仕事着のままだけど」
エプロン脱ぎ去り配膳を進める。白いブラウスに真っ青なフレアスカートなんて、料理をするには不向きな服装だった。面倒臭がらず、部屋着に着替えておけばよかった。
「……いいじゃん」
「なにが?」
「別に」
キッチンでごそごそと準備をしていれば、とおやがテレビを着ける。バラエティー番組だろうか、人気のお笑い芸人の声が室内の静寂を破った。
「なあほたる、あれどこにしまった?」
「あれって?」
「格子さんにもらったやつ」
「あ……ベッドサイドの、チェスト……」
樹李さんにもらった精力剤。それを取り出したとおやは、パッケージをまじまじと眺めると丁寧に開封し、一気に飲み干した。
「どう?」
「味は……悪くない」
手にした瓶を片手に、わたしの背後に立つとおや。それをシンクに下げると、配膳を手伝ってくれた。
「美味そう。ありがとな」
「大したものは作れなかったけど」
「十分だっての、嬉しい」
そう言ってわたしの頭を撫で、軽く唇に触れてくれる。抱き締めて欲しくて身を寄せると、とおやは恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「何だよ」
「ぎゅーってして欲しいんだけど」
「うん……」
胸の辺りに抱き付き、彼の香りを吸い込む。ずっとこうしたかったというのに、最後に会った日から私たちは、電話の一つも交わさなかった。
「すごく……久しぶりな気がするの」
「少しの間だったじゃねえか」
「だけど」
「とりあえず食おうぜ、冷めるぞ」
再会のキスも抱擁もそこそこに、食事に手をつけるとおや。口に合ったようで、美味いと言われた時には思わず頬が緩んだ。
時折仕事の話を交えながらテレビを見つつ、三十分ほどで食事を終えた。引っ越しシーズンも終わり、ようやく仕事が落ち着いたのだと言うとおやを尻目に、わたしは食器を下げた。
「毎晩のように帰りが遅くなってさ、夜の十時とかだったんだよ」
「十時? 大変だったね」
「ま、もう落ち着いたし……つーか食器、俺が洗うから」
エプロンを身に付けるわたしの横で、とおやがシャツの袖を捲る。露になった筋肉質な腕を見て、胸の鼓動が早まってゆく。
「いいって、とおやは座ってて?」
「作ってもらったんだから、そんくらいするって」
「ありがとう。でも今日はわたしが洗うから、とおやはゆっくりしてて」
とおやの肩を掴み無理矢理リビングに座らせる。不満げな表情の彼に「次に来たときにお願い」と告げると、わたしはキッチンに立った。どうやらとおやも納得してくれたようで、大人しくテレビの前に座った。
「あ、忘れてた! お風呂のお湯溜めないと」
食器を洗い終えてシンクの片付けをし、ハッとして顔を上げる。鼻唄混じりに明日のお昼は何を食べようか、なんて考え込んでいたら、ついお風呂のことを失念してしまった。
「お風呂すぐ入るでしょ? とおやー? わっ!」
振り返らずに彼の名を呼ぶと、唐突に後ろから抱きすくめられた。うなじに唇を落とされ、エプロンの上から両手で胸を撫で回された。
「と、とおや?」
「なんか色々妄想してたら勃った」
「色々って……?」
「エプロン、エロいなって」
「ん……」
身体を半分ほど捻り、無理矢理に唇を吸い合う。エプロンの隙間から入り込んだとおやの手が、ブラウスのボタンに伸びる。服の上から器用にブラジャーのホックを外し、インナーを引き上げた乱暴な手が、そろりと胸の先端に触れた。
「あッ……」
「温けえ……」
「あ……やッ……ちょっと……」
ファスナーとホックを外され、スカートがストンと床に落ちた。ストッキングを引き下げた手が臍を這い、ショーツの中へと侵入する。早々に固さを増した彼の身体がぐいぐいと尻に押し当てられている。後ろ向きのわたしは何も出来ないままシンクの淵を掴み、とおやにされるがままだ。
「濡れてる」
「……だって」
「……挿れていいか?」
「こ、ここで?」
「駄目か?」
「駄目じゃない……けど」
「ゴムならあっちから持ってきた」
そう言った彼の手の中には正方形の薄い包み。ベルトを外しズボンと下着を脱ぐとおやの体温を背中に感じながら、わたしもストッキングとショーツを足首まで下ろした。
「いいか?」
「ん……ッあ、あ、あッ!」
準備の整っていたわたしの身体は、とおやの身体をするりと受け入れた。背後からの突き上げる衝撃に、思わずシンクにしがみつく。
「あッあッあッあッ、う、あッぅ、んッ!」
「ほたる……」
「あ……あッ……とお、や……ッあ、ああんッ!」
後ろから腰の左側をがしりと掴まれ、右手がブラウスに伸びる。ボタンを全て外し終えると、とおやはそれを後ろに引き下げた。インナーとブラジャーだけが不格好に上半身に引っ掛かっているが、突かれる衝撃でブラジャーが肩から腕をすり抜け、床に落下した。
「それも脱げよ」
「む、無理ッ」
「なんで?」
「だって、動けな、いッ……あッ、ん、あああ……」
快感で腰から下がガクガクと震え始める。立っているのがやっとだというのに、お構いなしにとおやはわたしの中で激しく暴れ回る。
とうとうわたしの上半身は崩れ落ち、シンクに両腕でしがみついているような状態にまでなってしまった。そこまで来てようやく身体を外へ出したとおやは、乱暴にわたしの手を引いてリビングへと向かう。覚束無い足取りでカーペットの敷かれた所に到着すると、腰を下ろすよう促された。
「……あ、あ……ああぁッ! や、あ、あッ、ああッ!」
仰向けにカーペットに横たわると、すぐさまとおやが覆い被さる。未だ疲れ知らずの彼の身体は、わたしが絶頂に達しかけても尚、荒々しく膣を犯す。二人の間で弾ける水音と、耳元を掠める彼の息遣いがわたしの思考を支配する。
「とおや……とおやッ……あ、あ、あああだめえぇ……い、いッ、イッちゃう、あ、やああ……ああ! あ、イク、イク、イッ、ああぁぁッ!! や、ああ、だ、め、や……やだ、やだあ、とおやッ、とおや、やめッ、やめて、も……お、だめぇ……イク、イクの、や、ああッ!!」
「まだ……ハァ……ッ、まだ……!」
「ハァ……ハァ……ハァ……と……や……まだ? え、待って……待って……やだ、むり……む、り、むりッやめ……」
体勢を変えられ、今度は後背位。肘を真っ直ぐに伸ばす力すら残っていないわたしは、殆どうつ伏せに近い状態だ。それにも関わらず、とおやは後ろからわたしの腰を掴んで上へと引き上げる。
「うしろ、だめッ……だめ……」
「嫌か?」
「嫌じゃ、ない」
「気持ちいいんだろ?」
「気持ちい……い……きもちい、い……とおや……とおや………………ああ……ああッ……!」
正面から突かれるのとは別の快感に、堪えきれず声が漏れる。とおやが動く度、溢れ出した愛液がくちゅくちゅと飛び散り身体を濡らす。交わっている部分だけで留めることのできぬそれは、だらりと太股を伝い膝を濡らした。
正常位と同じくらいの長さだっただろうか、後ろからわたしを犯したとおやは、わたしが何度も達した後にようやく達し、床に転がった。
「アレ、効きすぎでしょ……」
「まだイケそうだけど」
そう言った彼の下半身に目をやると、確かにまだ挿入出来そうな大きさではあった。上がった息の整ったわたしはそこに顔を近付けると、先端をちろりと舐め、右手を上下に這わせた。
「流石にゴム外した後だと不味いわ」
「ゴムくさい?」
「……ちょっとね。でもホント、けっこうまだ固いね」
手で触れた感じでは、直ぐにでも交わることの出来る固さではあった。しかしこれを口に含むことが好きなわたしとしては、少し楽しませてもらわねば気が済まない。そう口に出すこともなく、とおやに背を向けて屈み込むと、そろりと口に咥え、含んだ。
「ほた、る……あ、おま……ッ、う……あ…………!」
「ん、ちょっとは休憩してよ」
避妊具特有の匂いが鼻につくが、とおやの性器が唾液で塗れるうちに徐々にそれは気にならなくなっていった。彼の気持ちの良い部分を甘噛みしたときに漏れる、快感を伴った声が嬉しくて、数回それを繰り返しては離れ、また攻める。
「んッ……んッ……」
「……美味いの、か?」
「うん……おいし……」
じゅるっ、と啜り一度口を離し、再び根元まで舌で刺激をしながら口に含む。それを繰り返すうち、とおやの太股から先がぴくぴくと小刻みに動き始める。思いきって後ろ向きに彼の腰に跨がると、察したのか彼もわたしの秘部に舌先を伸ばした。
「あ……あッ、ゆび……あ、ん、ん……はぅ、あッ……」
「ほら、さぼらず咥えろよ」
「わかっ……て……る」
飴を舐めるように、とおやはわたしの蕾を舌先でちろちろと舐めては離し、腟に指を挿し込む。時折太股をぺろりと舐めては唇を落とし、撫で回す。先程までの交情で緩んだわたしの入口は、彼の二本の指ではもう満足出来なくなっていた。
「頑張っているようだな、真戸乃君」
「先輩方のご指導のお陰です」
まさか週末に彼氏とお家デートをするから頑張れるんです、なんて口が裂けても言えるわけがない。眼鏡の奥──鋭い瞳のこの課長に、例え冗談だとしてもそんなことを話せるわけがなかった。
*
仕事帰りに買い物をし、家に帰ってすぐにキッチンに立った。とおやの仕事が終わり、ここに着くのが恐らく十九時半くらいだろう。食事を作っておくからと言った以上、出来れば彼が到着するまでに調理を終えておきたい。そう考えると、あまり手の込んだものは作れない。
買い物をしながら考えていたメニュー──豚の生姜焼にポテトサラダ、それに野菜スープが無事出来上がった。調理を終えてフライパンを洗っていた所でインターホンが鳴った。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
スーツ姿のとおやが、恥ずかしそうに笑う。どうしたの、と尋ねれば「エプロン姿が新鮮」だとのことだった。
「これ?」
明るい水色のリボンでウエストをキュッと締める、ワンピースのように裾の広がるエプロンだ。膝上で波打つ濃紺生地のエプロンは、わたしのお気に入りであった。
「下、何着てるんだ?」
「仕事着のままだけど」
エプロン脱ぎ去り配膳を進める。白いブラウスに真っ青なフレアスカートなんて、料理をするには不向きな服装だった。面倒臭がらず、部屋着に着替えておけばよかった。
「……いいじゃん」
「なにが?」
「別に」
キッチンでごそごそと準備をしていれば、とおやがテレビを着ける。バラエティー番組だろうか、人気のお笑い芸人の声が室内の静寂を破った。
「なあほたる、あれどこにしまった?」
「あれって?」
「格子さんにもらったやつ」
「あ……ベッドサイドの、チェスト……」
樹李さんにもらった精力剤。それを取り出したとおやは、パッケージをまじまじと眺めると丁寧に開封し、一気に飲み干した。
「どう?」
「味は……悪くない」
手にした瓶を片手に、わたしの背後に立つとおや。それをシンクに下げると、配膳を手伝ってくれた。
「美味そう。ありがとな」
「大したものは作れなかったけど」
「十分だっての、嬉しい」
そう言ってわたしの頭を撫で、軽く唇に触れてくれる。抱き締めて欲しくて身を寄せると、とおやは恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「何だよ」
「ぎゅーってして欲しいんだけど」
「うん……」
胸の辺りに抱き付き、彼の香りを吸い込む。ずっとこうしたかったというのに、最後に会った日から私たちは、電話の一つも交わさなかった。
「すごく……久しぶりな気がするの」
「少しの間だったじゃねえか」
「だけど」
「とりあえず食おうぜ、冷めるぞ」
再会のキスも抱擁もそこそこに、食事に手をつけるとおや。口に合ったようで、美味いと言われた時には思わず頬が緩んだ。
時折仕事の話を交えながらテレビを見つつ、三十分ほどで食事を終えた。引っ越しシーズンも終わり、ようやく仕事が落ち着いたのだと言うとおやを尻目に、わたしは食器を下げた。
「毎晩のように帰りが遅くなってさ、夜の十時とかだったんだよ」
「十時? 大変だったね」
「ま、もう落ち着いたし……つーか食器、俺が洗うから」
エプロンを身に付けるわたしの横で、とおやがシャツの袖を捲る。露になった筋肉質な腕を見て、胸の鼓動が早まってゆく。
「いいって、とおやは座ってて?」
「作ってもらったんだから、そんくらいするって」
「ありがとう。でも今日はわたしが洗うから、とおやはゆっくりしてて」
とおやの肩を掴み無理矢理リビングに座らせる。不満げな表情の彼に「次に来たときにお願い」と告げると、わたしはキッチンに立った。どうやらとおやも納得してくれたようで、大人しくテレビの前に座った。
「あ、忘れてた! お風呂のお湯溜めないと」
食器を洗い終えてシンクの片付けをし、ハッとして顔を上げる。鼻唄混じりに明日のお昼は何を食べようか、なんて考え込んでいたら、ついお風呂のことを失念してしまった。
「お風呂すぐ入るでしょ? とおやー? わっ!」
振り返らずに彼の名を呼ぶと、唐突に後ろから抱きすくめられた。うなじに唇を落とされ、エプロンの上から両手で胸を撫で回された。
「と、とおや?」
「なんか色々妄想してたら勃った」
「色々って……?」
「エプロン、エロいなって」
「ん……」
身体を半分ほど捻り、無理矢理に唇を吸い合う。エプロンの隙間から入り込んだとおやの手が、ブラウスのボタンに伸びる。服の上から器用にブラジャーのホックを外し、インナーを引き上げた乱暴な手が、そろりと胸の先端に触れた。
「あッ……」
「温けえ……」
「あ……やッ……ちょっと……」
ファスナーとホックを外され、スカートがストンと床に落ちた。ストッキングを引き下げた手が臍を這い、ショーツの中へと侵入する。早々に固さを増した彼の身体がぐいぐいと尻に押し当てられている。後ろ向きのわたしは何も出来ないままシンクの淵を掴み、とおやにされるがままだ。
「濡れてる」
「……だって」
「……挿れていいか?」
「こ、ここで?」
「駄目か?」
「駄目じゃない……けど」
「ゴムならあっちから持ってきた」
そう言った彼の手の中には正方形の薄い包み。ベルトを外しズボンと下着を脱ぐとおやの体温を背中に感じながら、わたしもストッキングとショーツを足首まで下ろした。
「いいか?」
「ん……ッあ、あ、あッ!」
準備の整っていたわたしの身体は、とおやの身体をするりと受け入れた。背後からの突き上げる衝撃に、思わずシンクにしがみつく。
「あッあッあッあッ、う、あッぅ、んッ!」
「ほたる……」
「あ……あッ……とお、や……ッあ、ああんッ!」
後ろから腰の左側をがしりと掴まれ、右手がブラウスに伸びる。ボタンを全て外し終えると、とおやはそれを後ろに引き下げた。インナーとブラジャーだけが不格好に上半身に引っ掛かっているが、突かれる衝撃でブラジャーが肩から腕をすり抜け、床に落下した。
「それも脱げよ」
「む、無理ッ」
「なんで?」
「だって、動けな、いッ……あッ、ん、あああ……」
快感で腰から下がガクガクと震え始める。立っているのがやっとだというのに、お構いなしにとおやはわたしの中で激しく暴れ回る。
とうとうわたしの上半身は崩れ落ち、シンクに両腕でしがみついているような状態にまでなってしまった。そこまで来てようやく身体を外へ出したとおやは、乱暴にわたしの手を引いてリビングへと向かう。覚束無い足取りでカーペットの敷かれた所に到着すると、腰を下ろすよう促された。
「……あ、あ……ああぁッ! や、あ、あッ、ああッ!」
仰向けにカーペットに横たわると、すぐさまとおやが覆い被さる。未だ疲れ知らずの彼の身体は、わたしが絶頂に達しかけても尚、荒々しく膣を犯す。二人の間で弾ける水音と、耳元を掠める彼の息遣いがわたしの思考を支配する。
「とおや……とおやッ……あ、あ、あああだめえぇ……い、いッ、イッちゃう、あ、やああ……ああ! あ、イク、イク、イッ、ああぁぁッ!! や、ああ、だ、め、や……やだ、やだあ、とおやッ、とおや、やめッ、やめて、も……お、だめぇ……イク、イクの、や、ああッ!!」
「まだ……ハァ……ッ、まだ……!」
「ハァ……ハァ……ハァ……と……や……まだ? え、待って……待って……やだ、むり……む、り、むりッやめ……」
体勢を変えられ、今度は後背位。肘を真っ直ぐに伸ばす力すら残っていないわたしは、殆どうつ伏せに近い状態だ。それにも関わらず、とおやは後ろからわたしの腰を掴んで上へと引き上げる。
「うしろ、だめッ……だめ……」
「嫌か?」
「嫌じゃ、ない」
「気持ちいいんだろ?」
「気持ちい……い……きもちい、い……とおや……とおや………………ああ……ああッ……!」
正面から突かれるのとは別の快感に、堪えきれず声が漏れる。とおやが動く度、溢れ出した愛液がくちゅくちゅと飛び散り身体を濡らす。交わっている部分だけで留めることのできぬそれは、だらりと太股を伝い膝を濡らした。
正常位と同じくらいの長さだっただろうか、後ろからわたしを犯したとおやは、わたしが何度も達した後にようやく達し、床に転がった。
「アレ、効きすぎでしょ……」
「まだイケそうだけど」
そう言った彼の下半身に目をやると、確かにまだ挿入出来そうな大きさではあった。上がった息の整ったわたしはそこに顔を近付けると、先端をちろりと舐め、右手を上下に這わせた。
「流石にゴム外した後だと不味いわ」
「ゴムくさい?」
「……ちょっとね。でもホント、けっこうまだ固いね」
手で触れた感じでは、直ぐにでも交わることの出来る固さではあった。しかしこれを口に含むことが好きなわたしとしては、少し楽しませてもらわねば気が済まない。そう口に出すこともなく、とおやに背を向けて屈み込むと、そろりと口に咥え、含んだ。
「ほた、る……あ、おま……ッ、う……あ…………!」
「ん、ちょっとは休憩してよ」
避妊具特有の匂いが鼻につくが、とおやの性器が唾液で塗れるうちに徐々にそれは気にならなくなっていった。彼の気持ちの良い部分を甘噛みしたときに漏れる、快感を伴った声が嬉しくて、数回それを繰り返しては離れ、また攻める。
「んッ……んッ……」
「……美味いの、か?」
「うん……おいし……」
じゅるっ、と啜り一度口を離し、再び根元まで舌で刺激をしながら口に含む。それを繰り返すうち、とおやの太股から先がぴくぴくと小刻みに動き始める。思いきって後ろ向きに彼の腰に跨がると、察したのか彼もわたしの秘部に舌先を伸ばした。
「あ……あッ、ゆび……あ、ん、ん……はぅ、あッ……」
「ほら、さぼらず咥えろよ」
「わかっ……て……る」
飴を舐めるように、とおやはわたしの蕾を舌先でちろちろと舐めては離し、腟に指を挿し込む。時折太股をぺろりと舐めては唇を落とし、撫で回す。先程までの交情で緩んだわたしの入口は、彼の二本の指ではもう満足出来なくなっていた。
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