【完結しました】こんなに好きになるつもりなんて、なかったのに~彼とわたしの愛欲にまみれた日々~

こうしき

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1/再会の予感

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 所謂幼馴染という関係は、いつまで続くのが一般的なのだろうか。思春期に突入した途端切れてしまうものもあれば、結婚までいってしまうものもあるらしい。

 私の場合は──そうだな……大人になって再会して、新たに別の関係が始まった、とだけ言えばいいだろうか。恥ずかしいというよりも惨めすぎて、こんなこと誰にも話せないんだから、この場で口を濁すことくらい許して欲しい。





「もしもし、葵? 久しぶり、どうしたの?」

 大学を卒業して、就職先は地元を選んだ。折角都会の大学に進学したのにどうして地元に帰るのかと聞かれたら、単純に地元が好きだったからという理由に他ならない。
 
 都会過ぎないほどに田舎な、この空気がわたしは好きなのだ。とは言っても実家からはある程度離れた場所にアパートは借りたし、会社も一つ隣の、少しだけ都会な町の会社。

「え、来週の土曜?」

 仕事から帰宅し、食事とお風呂を終えて電話が鳴った。相手は昔馴染みの葵だ。

『そーそー。たまたまさぁ、夕実ゆみに会って、久しぶりだし飲まないって話になってさ』
「ゆーちゃん元気だった?」
『変わらずだったよ』
「そっか」
『で、都合は?』
「大丈夫だと思う」
『ならまた連絡するわー』

 挨拶を交わして電話を切ると、ベッドに仰向けに転がった。


(葵も変わらないな──)


 彼女とは小学生の頃からの付き合いだ。何でも話せる一番の親友──それが菱川ひしかわ あおい。最後に会ったのは去年のお盆だったから、約一年ぶりの再会になる。看護師をしている彼女の休みは不定期で、電話で話すことはあっても直接会うのはなかなか難しい。

「ふゎ……ぁ…………寝よっかな……」

 入社してまだ一ヶ月。慣れない仕事のせいでまだ二十二時だというのに睡魔が襲う。


(駄目だ、洗濯物干さなきゃ……)


 無理矢理体を起こし手早く洗濯物を干すと、その日は早めに就寝をした。
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