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第一章 destinyー運命ー
第十七話 シナブルの想い
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部屋に残されたネスが振り返ると、そこにシナブルの姿はなかった。隠れているというより、跡形もなく消えてしまったように感じる。
「シナブルさーん」
返事はない。もう一度呼んでみる。
「シナブルさーん」
「何です?」
「うわ、びっくりした!」
突然ネスの背後から姿を現したシナブルは、早足でネスの正面に移動した。
「……ええっと」
「何です?」
目の前に立つと圧倒されるその鋭い眼光。ティリスは皆こんな目をしているのだろうか。
「えっと……どこに隠れていたんです?」
「必要時以外は呼ばないで下さい」
「はあ……」
「シナブル、と御呼び下さいネス様」
「様って……俺のことはネスでいいです」
様、と呼ばれたのに蔑まれたような気分になる、この視線はなんだ。ネスは警戒して全身が硬直した。
「ネス様」
(人の話全然聞かないなこの人……)
「なんですか?」
「歯を食いしばれ」
突然、シナブルの左拳がネスの右頬に直撃した。ネスは反動で後ろに飛ばされ、背中からバルコニーの窓に衝突した。窓ガラスはガシャン、と派手な音を立てたが、幸い割れてはいないようだった。
「いきなり何すんだよ!」
立ち上がり詰め寄るとシナブルに胸ぐらを掴まれた。顔色を変えないまま彼はネスを見つめる。
「お前には愛する女がいるか」
(……突然何を言い出すんだこの人は?!)
ネスは何も言えず、シナブルの突き刺すような視線から逃げた。彼の拳に付いた血を見つけると、そこからまた逃げるように視線を肩から腕へと移す。力任せにネスを殴ったからなのだろうか──腕の付け根辺りの上着が、少し裂けていた。
「答えろ」
掴まれている胸倉を揺すられ、睨まれる。
「……故郷にいるよ」
はっきり答えると、掴まれていた胸倉は乱暴に解放された。
「それならば……それならば我らの姫に勝手に恋をするな」
「こ、恋だって? 何を言い出すんだよ。俺がアンナに惚れているっていうのか?」
自分で口にして恥ずかしくなった。顔が赤らんでないか心配になり、シナブルに背を向けるようにして距離を取る。殴られた時に口の中が切れたようで、血の味がすることに今気が付いた。
「とぼけるな。俺が何十年あの御方に仕えていると思っている。その目──あの御方の美しさに心を奪われた者は皆、お前と同じような目をしていた」
「ばかばかしい。俺の心の中にいるのはサラだけだ」
ネスの脳裏に浮かび上がるサラの無垢で透き通った笑顔が、一度だけ見せたアンナのそれと重なった。
(──何故だ)
「まあいいさ。そのうち俺の言った意味がわかるようになるだろう。苦しみたくなければ、さっさとその想いを断ち切ることだな」
「その言い方……なんだか己に言い聞かせているように聞こえるぞ」
話を逸らすきっかけになればと、苦し紛れに一言吐いたつもりだったが、予想に反してシナブルは「黙れ」と一言呟き、もう一度ネスの胸倉を掴んだ。その瞳から感情を読み取ることは出来ない。
まさかとは思ったが図星なのだろうか。しかしこの人に愛だの恋だのという言葉はあまりにも不似合いだ。シナブルのアンナに対する感情はどちらかと言えば尊敬や崇拝に近い、ネスはそんな風に感じていた。
「……何を考えている」
何十年も仕えているこの人でさえ、アンナの濁り淀んだ瞳を、心の闇を払拭出来ないのだ。それなのに出会ってまだ数日のネスに一体何が出来るというのか。
「シナブルはアンナを救いたいと思わないのか」
「救う、だと?」
シナブルはネスから手を離した。
「一体何から救うと言うんだ。束縛された過去からか? 消し去れない罪からか? 呪われた運命からか? それとも忌まわしい兄からか?」
ネスはその時、初めてシナブルの瞳に感情を見た。
「俺には……俺には何も出来やしないんだ。あの御方にとって俺はそういうものなんだ」
顔上げたシナブルは一瞬恥ずかしそうな顔をして「すみません忘れて下さい」と言った。
忘却しきるには難しい言葉の羅列だった。アンナリリアン・ F・グランヴィという一人の女性を形成している単語の数々──
彼女に触れることが許されないのは、肉体ではなく心の方なのかもしれない。ネスには計り知れないものをアンナは背負っているのだ──たった一人で。
このまま手の届かない闇の深い深い底へアンナが向かったきり、もうここへは帰ってこないかもしれないという漠然とした不安が、ネスの心の中に渦巻いていた。
*
足が大きくなったせいで窮屈になった靴は部屋に脱ぎ捨てて来た。ネスは裸足のまま、屋上へと続く階段を上がる。シナブルはその後を静々とついて行った。
屋上はなんの変鉄もない殺風景な場所だった。大きな貯水槽が隅っこに鎮座している以外は、本当に何もない。落下防止の柵さえなかった。
「早速ですがネス様、どの程度 神力が使えるのか見せて頂けますか」
階段を上りきり、両足が地に付くやいなやシナブルはネスを見据えながら言った。
「だからネス様って呼ばなくていいって……」
落ち着きを取り戻したシナブルに何度言っても、結局彼はネスのことをネス様と呼び続けた。
「 破壊者の御一人、その上我らが大恩人シムノン様の御子息を安易にお呼びするわけにはいきません」
「大恩人?」
ネスが聞くと「その話はまたの機会に」とはぐらかされてしまった。
吹き抜ける風を体の正面で受け止める。その風が止むのを待って、ネスは体の背面に意識を集中させた。背中から翼のように水が舞い上がり、もう少しだけ力を込めてみると、それはネスの背の五倍程に膨張した。
「荒いですね」
「荒い?」
ネスは神力を一旦しまった。
「密度の問題です」
シナブルの両掌にそれぞれ紅蓮の炎が渦巻いている。
「シナブルも神力が使えるんだな」
「ええ、ティリスは皆使えます。ネス様、水柱を二つ出して頂けますか?」
「ああ」
促されるまま二つの水柱を目の前に出現させる。この程度なら、もう呼吸をするのと同じくらい自然に出すことが出来る。
(──呼吸をするのと同じくらい?)
いつからそんなことが出来るようになったのか。体の成長と共に神力を操る力も自然に身に付いていたというのか。
(そういうものなのか、この力は?)
「ちょっと見ていて下さい」
シナブルの右手側の炎の球が、ネスから向かって左側の水柱に触れた。するとそれは一瞬で中心から消え去るように蒸発した。
「次はこちらです」
今度はシナブルの左手側の炎の球が、右側の水柱に触れた。先程とは違い炎の球は水柱に触れた途端、消失してしまった。
「違いがわかりましたか?」
シナブルは同じ様な炎の球を両手の上で器用に回転させながらネスに問うた。
「右手のは中心部から何だか強い力を感じた。左手のは弱々しくてふわふわしていたような……」
「概ね正解です。詳しく説明しましょう」
シナブルは回転させていた右手側の炎の球を空中に放った。同時に左手側の炎は消失する。
「こちらの球、簡単に言えば神力を凝縮させています。神力を凝縮すればするほど威力が上がるのは理解できますね?」
説明を一旦区切り、シナブルはネスを見た。
「ああ」
ネスが相槌を打つと、シナブルは説明を再開した。
「もちろん、質量が増幅してもそれなりに実力の伴う者ならば、威力を減少させずにその質量を保つことが出来ます」
そこまで言うとシナブルは空中に放っていた球を呼び寄せるかのように手首をくい、と捻った。掌の中で球は圧縮され爪の先程の大きさになった。
「上を見て下さい」
「上? ……うわ! なんだこれ、すげえな……」
ネスが空を見上げると、巨大な炎のカーテンが、ホテルの上空を覆いつくし揺らめいていた。
「この指先の神力と上空の神力。どちらの威力が強いと感じますか」
「どちらも同じように感じる」
圧倒的な神力だ。上空の炎はゆらゆらとその姿を変化させ、巨大な鷲の形になり、一度だけ大きく羽ばたき上昇した。それと同時に煙のように姿を消した。
「正解です。これだけ質量が違っても威力は同じです。しかしあのサイズの神力を形成するには、それなりの訓練や体力、精神力が必要です。それらの才能を全て生まれ持つ者も稀にいるようですが」
「こんな感じでいいのか?」
シナブルが顔を上げると、そこには先程自分が作り出した炎の鷲の二倍以上の大きさの水の鷲が、ネスの頭上に羽ばたいていた。それを作り出したネス本人は、あっけらかんと何事もなかったかのような顔をしている。
流石はシムノン・カートスとライル族の間に生まれた子だ、とシナブルは感心していた。純血のティリスである自分。グランヴィ王家の分家の身であり、直系のアンナやマリー、その他の臣下達と幼い頃から血を吐くほどの鍛練を重ねて漸く手にしたこの力。それをいとも簡単に越えていくこの男。
(──これが生まれ持った才能というやつか)
「ネス様、一つ伺ってもいいですか?」
シナブルはネスの神力を見て何の評価も告げないまま質問をした。
(けっこう頑張ったんだけどな……評価してくれないのか……)
「……何?」
「御母上はライル族と存じ上げております。御名前はなんとおっしゃるのでしょう」
「レノアだけど」
それかどうかしたのかとネスが言う前に、シナブルが見たこともない顔になったので、出かかったその言葉は喉の奥へと押しやられた。
「レノア……! レノア・ライル・ラハ!」
「いや、フルネームは知らないけど、昔陸軍にいたとかなんとか」
「なるほど……」
シナブルは少し俯き考え込むような姿勢を取った。
「……ま、まさか知り合いとか?」
「昔、一度殺されかけたことがあります」
「なんですと!」
ふと、母が「昔の戦争でアンナに家族を殺された」と話していたことと、もしかしたら関係があるのかもしれないという考えが一瞬脳裏を過ったが、それよりも気が付くとネスは、
「それは申し訳ありませんでした!」
頭を下げていた。九十度ほど腰を折って。
「よして下さい。もう二十年以上も前の話ですし、あなた様が謝るようなことではありません」
「でも……」
「そんなことよりもネス様、剣の腕前はどれ程でしょうか」
「け、剣の腕前?」
(この人は突然思いきり話を逸らすな、というより会話の流れがマイペースだな。いや、悪い意味ではないんだけれど)
「神力で 飛行盤を操りながら刀を振るうのは、修行としては一石二鳥ですよ。バランスよく極めることが出来ます」
「フ……飛行盤……」
「どうかしましたか?」
「いや、それがその……」
口ごもるネスをシナブルは不思議そうに見つめた。
「俺、その……」
ネスはシナブルに駆け寄り、耳元で事情を説明した。とても小さな声で。
「そんな、まさか……」
「そのまさかなんだな……」
アンナに貰った飛行盤を取り出し、実際に目の前で披露した。ふわりと体が宙に浮き、よろよろと二メートル程前進したところで、ネスの体は前方につっぷした。
「これでも成長したほうなんだよ」
体を起こして言い訳をしたが、どういうわけかシナブルは再び俯き、考え込むような姿勢を取っている。
「シナブル?」
「ネス様、もう一度お願いします」
「もう一度?」
「はい」
ネスは言われるがまま飛行盤に神力を集中させた。クリアカラーの神力が水渦の形を成し、飛行盤の周囲をぐるぐると回転し始める。その渦が大きくなったところで体を浮かせる。
「そこです、そのまま止まって下さい」
「このまま?」
シナブルに制されてネスはそのまま前進せず、体を二十センチほど浮かせたところで止まった。
「やはりネス様、神力を放出しすぎです。これでは空中でバランスが取れず乗りこなせないのも当然です」
そう断言するとシナブルは自身も飛行盤を取りだし、それを使ってネスと同位置まで浮いた。
「神力だけで飛行盤を乗りこなす場合、それほど神力を放出させる必要はありません。加速の際には放出量を増やしますが……難しいのです。恐らくあなたは、その膨大な神力をコントロールするのにまだ不慣れなだけかと」
「膨大な神力? 俺が?」
「気が付いていなかったのですか? というより……」
というより、何故アンナはネス本人にこの事実を伝えていないのだろうとシナブルは頭を捻る。なにか理由があるのか、それともただ面倒なだけなのか。後者の可能性が圧倒的に高い。
(あの御方は面倒なことが嫌いだからな……)
シナブルがこんなことを考えていると、ネスが不思議そうに首を傾げて自分を見つめてきた。
「どうかした?」
「いえ……」
「膨大な神力ってのを抑えれば上手く飛べるのか?」
「はい。しかし口で言うほど簡単なことではありませんよ」
「うーん、こんな感じでいいのかな」
「そうです、って、えっ……!」
ネスは見事なまでに神力の調節に成功し、屋上を走り回っていた。
「よっと!」
片足の出力を高めて転回したり、その体勢から空中に飛び上がったり。
「コツを掴んだら意外と簡単だな!」
ネスは自由自在に空中を駆け巡る。今まで乗りこなせなかったのが嘘のような上達ぶりであった。
「信じられない……」
まるで昔、アンナがまだ『 戦姫』と呼ばれる以前、『 緋鬼』と呼ばれていた頃、『彼』に神力の扱いを教え込まれた直後の姿を見ているようだ。独学と抜群のセンスでその力を極め、過去にその名声を轟かせた『彼』。それを吸収したアンナは強さを一段と増し、そしてあの頃から人らしく変化していった──
(──十九年前の、あの頃が懐かしい)
シナブルは飛び回るネスから視線を逸らし、その背後に広がる空を見つめた。
ネスはシナブルの人格を自分が崩しつつあるような気がして、心中申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。冷静で冷徹、どんな事が起きても微動だにしないその仮面のような表情。 主に忠実で自身の意思などなく、主の意思こそが自身の意思──というのが、ネスが抱いたシナブルに対するイメージだった。
そんな彼は今、ポカンと口を開けネスの動きに合わせて首を振り回している。そうかと思ったらふと空一点を見つめて、ゆっくりと柔らかな表情になった。ネスは自分の中のシナブルの設定を、大きく書き換えなければならなくなった。
(──なんだか、何かを懐かしんでいる様な顔だな)
シナブルの眼中にネスなどいないことは一目瞭然だった。今の彼は本当に柔らかで優しい顔をしていた。
ネスが再び彼のこの表情を見るのは、これからまだだいぶ先のことになる。
「ネス様」
平常心に戻ったシナブルは抜刀し飛行盤で飛び上がると、飛び回るネスに向かって刀を振り下ろした。
きいん、と刃と刃がぶつかり合う音。
「……これを止めますか」
ギリギリと鍔迫り合いをした刹那、シナブルは身を後方へ引いた。ネスが刀を引いた直後、全身に神力を纏ったからである。
「やるならそう言ってくれよ!」
「姫に少しは鍛えられているみたいですね」
そう言ってシナブルはネスとの間合いを詰める。
「正直驚いています」大きな一歩でその間合いを完全に詰めるシナブル。「ここまで成長が早いと教え甲斐があります」そして刀を振り下ろす。
振り下ろされたそれをネスは懸命に受け止める。自ら攻撃に出ることなく守りの姿勢。というよりも反撃する隙が無い。
「少し手を抜きましょう」
ふ、とシナブルがその手の力を抜いた拍子にネスの体が前のめりに倒れ込む。
「おっとっと!」
シナブルにぶつかりそうになったが彼はそれをひらりとかわす。反撃はしない。
「ネス様、あなたはもっと自分に自信を持つべきです」
「自信?」
「そうです。あなたにはもっと潜在能力を引き出してもらわなければなりません」
「……俺にそんな力が?」
「俺がそれを引き出すお手伝いをします」
そう言って唇を少しだけ引き上げて笑った口元は、あとから考えてみれば──その笑い方はアンナによく似ていた。
「だから強く、強くなって下さい、ネス様」
*
ムーンパゥルホテルから二キロほど離れた、この町のランドマークとも言える時計塔。
その頂上──文字通りドーム型の屋根のてっぺんに一人の男が腰掛けていた。
「ふうん……あれがねぇ」
母がエルフということもあり、彼はティリスでありながらエルフ並みの視力と聴力を持っている。この距離ならばスコープチューブを使わずとも、はっきりとその光景をとらえることができる。
「ネス・カートス。想像以下だな」
少し伸ばしたミントグリーンの髪が風に遊ばれ、その表情を隠している。
「さてと」
彼は立ち上がると、できるだけ人の少ない場所を探してその場から地上に飛び降りた。
すとん、と。
着地すると左耳に付けた雫型の金色のピアスと、同じ色のペンダントが胸の上で揺れた。ボタンを開けて着崩したシャツの襟を、彼は軽く整えた。
辺りの通行人達は彼がどこから降ってきたのか不思議がったが、まさか時計塔のてっぺんから降りてきたとは思わない。
──風が止んでその顔が露になる。
ティリスらしい端正な顔立ち。瞳のエメラルドグリーンと髪のグリーンの対比が美しく、その容姿はすれ違う通行人の目を奪う。
「待つとしよう──舞台が整うまで」
彼は細く微笑むと、人混みの中に消えた。
「シナブルさーん」
返事はない。もう一度呼んでみる。
「シナブルさーん」
「何です?」
「うわ、びっくりした!」
突然ネスの背後から姿を現したシナブルは、早足でネスの正面に移動した。
「……ええっと」
「何です?」
目の前に立つと圧倒されるその鋭い眼光。ティリスは皆こんな目をしているのだろうか。
「えっと……どこに隠れていたんです?」
「必要時以外は呼ばないで下さい」
「はあ……」
「シナブル、と御呼び下さいネス様」
「様って……俺のことはネスでいいです」
様、と呼ばれたのに蔑まれたような気分になる、この視線はなんだ。ネスは警戒して全身が硬直した。
「ネス様」
(人の話全然聞かないなこの人……)
「なんですか?」
「歯を食いしばれ」
突然、シナブルの左拳がネスの右頬に直撃した。ネスは反動で後ろに飛ばされ、背中からバルコニーの窓に衝突した。窓ガラスはガシャン、と派手な音を立てたが、幸い割れてはいないようだった。
「いきなり何すんだよ!」
立ち上がり詰め寄るとシナブルに胸ぐらを掴まれた。顔色を変えないまま彼はネスを見つめる。
「お前には愛する女がいるか」
(……突然何を言い出すんだこの人は?!)
ネスは何も言えず、シナブルの突き刺すような視線から逃げた。彼の拳に付いた血を見つけると、そこからまた逃げるように視線を肩から腕へと移す。力任せにネスを殴ったからなのだろうか──腕の付け根辺りの上着が、少し裂けていた。
「答えろ」
掴まれている胸倉を揺すられ、睨まれる。
「……故郷にいるよ」
はっきり答えると、掴まれていた胸倉は乱暴に解放された。
「それならば……それならば我らの姫に勝手に恋をするな」
「こ、恋だって? 何を言い出すんだよ。俺がアンナに惚れているっていうのか?」
自分で口にして恥ずかしくなった。顔が赤らんでないか心配になり、シナブルに背を向けるようにして距離を取る。殴られた時に口の中が切れたようで、血の味がすることに今気が付いた。
「とぼけるな。俺が何十年あの御方に仕えていると思っている。その目──あの御方の美しさに心を奪われた者は皆、お前と同じような目をしていた」
「ばかばかしい。俺の心の中にいるのはサラだけだ」
ネスの脳裏に浮かび上がるサラの無垢で透き通った笑顔が、一度だけ見せたアンナのそれと重なった。
(──何故だ)
「まあいいさ。そのうち俺の言った意味がわかるようになるだろう。苦しみたくなければ、さっさとその想いを断ち切ることだな」
「その言い方……なんだか己に言い聞かせているように聞こえるぞ」
話を逸らすきっかけになればと、苦し紛れに一言吐いたつもりだったが、予想に反してシナブルは「黙れ」と一言呟き、もう一度ネスの胸倉を掴んだ。その瞳から感情を読み取ることは出来ない。
まさかとは思ったが図星なのだろうか。しかしこの人に愛だの恋だのという言葉はあまりにも不似合いだ。シナブルのアンナに対する感情はどちらかと言えば尊敬や崇拝に近い、ネスはそんな風に感じていた。
「……何を考えている」
何十年も仕えているこの人でさえ、アンナの濁り淀んだ瞳を、心の闇を払拭出来ないのだ。それなのに出会ってまだ数日のネスに一体何が出来るというのか。
「シナブルはアンナを救いたいと思わないのか」
「救う、だと?」
シナブルはネスから手を離した。
「一体何から救うと言うんだ。束縛された過去からか? 消し去れない罪からか? 呪われた運命からか? それとも忌まわしい兄からか?」
ネスはその時、初めてシナブルの瞳に感情を見た。
「俺には……俺には何も出来やしないんだ。あの御方にとって俺はそういうものなんだ」
顔上げたシナブルは一瞬恥ずかしそうな顔をして「すみません忘れて下さい」と言った。
忘却しきるには難しい言葉の羅列だった。アンナリリアン・ F・グランヴィという一人の女性を形成している単語の数々──
彼女に触れることが許されないのは、肉体ではなく心の方なのかもしれない。ネスには計り知れないものをアンナは背負っているのだ──たった一人で。
このまま手の届かない闇の深い深い底へアンナが向かったきり、もうここへは帰ってこないかもしれないという漠然とした不安が、ネスの心の中に渦巻いていた。
*
足が大きくなったせいで窮屈になった靴は部屋に脱ぎ捨てて来た。ネスは裸足のまま、屋上へと続く階段を上がる。シナブルはその後を静々とついて行った。
屋上はなんの変鉄もない殺風景な場所だった。大きな貯水槽が隅っこに鎮座している以外は、本当に何もない。落下防止の柵さえなかった。
「早速ですがネス様、どの程度 神力が使えるのか見せて頂けますか」
階段を上りきり、両足が地に付くやいなやシナブルはネスを見据えながら言った。
「だからネス様って呼ばなくていいって……」
落ち着きを取り戻したシナブルに何度言っても、結局彼はネスのことをネス様と呼び続けた。
「 破壊者の御一人、その上我らが大恩人シムノン様の御子息を安易にお呼びするわけにはいきません」
「大恩人?」
ネスが聞くと「その話はまたの機会に」とはぐらかされてしまった。
吹き抜ける風を体の正面で受け止める。その風が止むのを待って、ネスは体の背面に意識を集中させた。背中から翼のように水が舞い上がり、もう少しだけ力を込めてみると、それはネスの背の五倍程に膨張した。
「荒いですね」
「荒い?」
ネスは神力を一旦しまった。
「密度の問題です」
シナブルの両掌にそれぞれ紅蓮の炎が渦巻いている。
「シナブルも神力が使えるんだな」
「ええ、ティリスは皆使えます。ネス様、水柱を二つ出して頂けますか?」
「ああ」
促されるまま二つの水柱を目の前に出現させる。この程度なら、もう呼吸をするのと同じくらい自然に出すことが出来る。
(──呼吸をするのと同じくらい?)
いつからそんなことが出来るようになったのか。体の成長と共に神力を操る力も自然に身に付いていたというのか。
(そういうものなのか、この力は?)
「ちょっと見ていて下さい」
シナブルの右手側の炎の球が、ネスから向かって左側の水柱に触れた。するとそれは一瞬で中心から消え去るように蒸発した。
「次はこちらです」
今度はシナブルの左手側の炎の球が、右側の水柱に触れた。先程とは違い炎の球は水柱に触れた途端、消失してしまった。
「違いがわかりましたか?」
シナブルは同じ様な炎の球を両手の上で器用に回転させながらネスに問うた。
「右手のは中心部から何だか強い力を感じた。左手のは弱々しくてふわふわしていたような……」
「概ね正解です。詳しく説明しましょう」
シナブルは回転させていた右手側の炎の球を空中に放った。同時に左手側の炎は消失する。
「こちらの球、簡単に言えば神力を凝縮させています。神力を凝縮すればするほど威力が上がるのは理解できますね?」
説明を一旦区切り、シナブルはネスを見た。
「ああ」
ネスが相槌を打つと、シナブルは説明を再開した。
「もちろん、質量が増幅してもそれなりに実力の伴う者ならば、威力を減少させずにその質量を保つことが出来ます」
そこまで言うとシナブルは空中に放っていた球を呼び寄せるかのように手首をくい、と捻った。掌の中で球は圧縮され爪の先程の大きさになった。
「上を見て下さい」
「上? ……うわ! なんだこれ、すげえな……」
ネスが空を見上げると、巨大な炎のカーテンが、ホテルの上空を覆いつくし揺らめいていた。
「この指先の神力と上空の神力。どちらの威力が強いと感じますか」
「どちらも同じように感じる」
圧倒的な神力だ。上空の炎はゆらゆらとその姿を変化させ、巨大な鷲の形になり、一度だけ大きく羽ばたき上昇した。それと同時に煙のように姿を消した。
「正解です。これだけ質量が違っても威力は同じです。しかしあのサイズの神力を形成するには、それなりの訓練や体力、精神力が必要です。それらの才能を全て生まれ持つ者も稀にいるようですが」
「こんな感じでいいのか?」
シナブルが顔を上げると、そこには先程自分が作り出した炎の鷲の二倍以上の大きさの水の鷲が、ネスの頭上に羽ばたいていた。それを作り出したネス本人は、あっけらかんと何事もなかったかのような顔をしている。
流石はシムノン・カートスとライル族の間に生まれた子だ、とシナブルは感心していた。純血のティリスである自分。グランヴィ王家の分家の身であり、直系のアンナやマリー、その他の臣下達と幼い頃から血を吐くほどの鍛練を重ねて漸く手にしたこの力。それをいとも簡単に越えていくこの男。
(──これが生まれ持った才能というやつか)
「ネス様、一つ伺ってもいいですか?」
シナブルはネスの神力を見て何の評価も告げないまま質問をした。
(けっこう頑張ったんだけどな……評価してくれないのか……)
「……何?」
「御母上はライル族と存じ上げております。御名前はなんとおっしゃるのでしょう」
「レノアだけど」
それかどうかしたのかとネスが言う前に、シナブルが見たこともない顔になったので、出かかったその言葉は喉の奥へと押しやられた。
「レノア……! レノア・ライル・ラハ!」
「いや、フルネームは知らないけど、昔陸軍にいたとかなんとか」
「なるほど……」
シナブルは少し俯き考え込むような姿勢を取った。
「……ま、まさか知り合いとか?」
「昔、一度殺されかけたことがあります」
「なんですと!」
ふと、母が「昔の戦争でアンナに家族を殺された」と話していたことと、もしかしたら関係があるのかもしれないという考えが一瞬脳裏を過ったが、それよりも気が付くとネスは、
「それは申し訳ありませんでした!」
頭を下げていた。九十度ほど腰を折って。
「よして下さい。もう二十年以上も前の話ですし、あなた様が謝るようなことではありません」
「でも……」
「そんなことよりもネス様、剣の腕前はどれ程でしょうか」
「け、剣の腕前?」
(この人は突然思いきり話を逸らすな、というより会話の流れがマイペースだな。いや、悪い意味ではないんだけれど)
「神力で 飛行盤を操りながら刀を振るうのは、修行としては一石二鳥ですよ。バランスよく極めることが出来ます」
「フ……飛行盤……」
「どうかしましたか?」
「いや、それがその……」
口ごもるネスをシナブルは不思議そうに見つめた。
「俺、その……」
ネスはシナブルに駆け寄り、耳元で事情を説明した。とても小さな声で。
「そんな、まさか……」
「そのまさかなんだな……」
アンナに貰った飛行盤を取り出し、実際に目の前で披露した。ふわりと体が宙に浮き、よろよろと二メートル程前進したところで、ネスの体は前方につっぷした。
「これでも成長したほうなんだよ」
体を起こして言い訳をしたが、どういうわけかシナブルは再び俯き、考え込むような姿勢を取っている。
「シナブル?」
「ネス様、もう一度お願いします」
「もう一度?」
「はい」
ネスは言われるがまま飛行盤に神力を集中させた。クリアカラーの神力が水渦の形を成し、飛行盤の周囲をぐるぐると回転し始める。その渦が大きくなったところで体を浮かせる。
「そこです、そのまま止まって下さい」
「このまま?」
シナブルに制されてネスはそのまま前進せず、体を二十センチほど浮かせたところで止まった。
「やはりネス様、神力を放出しすぎです。これでは空中でバランスが取れず乗りこなせないのも当然です」
そう断言するとシナブルは自身も飛行盤を取りだし、それを使ってネスと同位置まで浮いた。
「神力だけで飛行盤を乗りこなす場合、それほど神力を放出させる必要はありません。加速の際には放出量を増やしますが……難しいのです。恐らくあなたは、その膨大な神力をコントロールするのにまだ不慣れなだけかと」
「膨大な神力? 俺が?」
「気が付いていなかったのですか? というより……」
というより、何故アンナはネス本人にこの事実を伝えていないのだろうとシナブルは頭を捻る。なにか理由があるのか、それともただ面倒なだけなのか。後者の可能性が圧倒的に高い。
(あの御方は面倒なことが嫌いだからな……)
シナブルがこんなことを考えていると、ネスが不思議そうに首を傾げて自分を見つめてきた。
「どうかした?」
「いえ……」
「膨大な神力ってのを抑えれば上手く飛べるのか?」
「はい。しかし口で言うほど簡単なことではありませんよ」
「うーん、こんな感じでいいのかな」
「そうです、って、えっ……!」
ネスは見事なまでに神力の調節に成功し、屋上を走り回っていた。
「よっと!」
片足の出力を高めて転回したり、その体勢から空中に飛び上がったり。
「コツを掴んだら意外と簡単だな!」
ネスは自由自在に空中を駆け巡る。今まで乗りこなせなかったのが嘘のような上達ぶりであった。
「信じられない……」
まるで昔、アンナがまだ『 戦姫』と呼ばれる以前、『 緋鬼』と呼ばれていた頃、『彼』に神力の扱いを教え込まれた直後の姿を見ているようだ。独学と抜群のセンスでその力を極め、過去にその名声を轟かせた『彼』。それを吸収したアンナは強さを一段と増し、そしてあの頃から人らしく変化していった──
(──十九年前の、あの頃が懐かしい)
シナブルは飛び回るネスから視線を逸らし、その背後に広がる空を見つめた。
ネスはシナブルの人格を自分が崩しつつあるような気がして、心中申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。冷静で冷徹、どんな事が起きても微動だにしないその仮面のような表情。 主に忠実で自身の意思などなく、主の意思こそが自身の意思──というのが、ネスが抱いたシナブルに対するイメージだった。
そんな彼は今、ポカンと口を開けネスの動きに合わせて首を振り回している。そうかと思ったらふと空一点を見つめて、ゆっくりと柔らかな表情になった。ネスは自分の中のシナブルの設定を、大きく書き換えなければならなくなった。
(──なんだか、何かを懐かしんでいる様な顔だな)
シナブルの眼中にネスなどいないことは一目瞭然だった。今の彼は本当に柔らかで優しい顔をしていた。
ネスが再び彼のこの表情を見るのは、これからまだだいぶ先のことになる。
「ネス様」
平常心に戻ったシナブルは抜刀し飛行盤で飛び上がると、飛び回るネスに向かって刀を振り下ろした。
きいん、と刃と刃がぶつかり合う音。
「……これを止めますか」
ギリギリと鍔迫り合いをした刹那、シナブルは身を後方へ引いた。ネスが刀を引いた直後、全身に神力を纏ったからである。
「やるならそう言ってくれよ!」
「姫に少しは鍛えられているみたいですね」
そう言ってシナブルはネスとの間合いを詰める。
「正直驚いています」大きな一歩でその間合いを完全に詰めるシナブル。「ここまで成長が早いと教え甲斐があります」そして刀を振り下ろす。
振り下ろされたそれをネスは懸命に受け止める。自ら攻撃に出ることなく守りの姿勢。というよりも反撃する隙が無い。
「少し手を抜きましょう」
ふ、とシナブルがその手の力を抜いた拍子にネスの体が前のめりに倒れ込む。
「おっとっと!」
シナブルにぶつかりそうになったが彼はそれをひらりとかわす。反撃はしない。
「ネス様、あなたはもっと自分に自信を持つべきです」
「自信?」
「そうです。あなたにはもっと潜在能力を引き出してもらわなければなりません」
「……俺にそんな力が?」
「俺がそれを引き出すお手伝いをします」
そう言って唇を少しだけ引き上げて笑った口元は、あとから考えてみれば──その笑い方はアンナによく似ていた。
「だから強く、強くなって下さい、ネス様」
*
ムーンパゥルホテルから二キロほど離れた、この町のランドマークとも言える時計塔。
その頂上──文字通りドーム型の屋根のてっぺんに一人の男が腰掛けていた。
「ふうん……あれがねぇ」
母がエルフということもあり、彼はティリスでありながらエルフ並みの視力と聴力を持っている。この距離ならばスコープチューブを使わずとも、はっきりとその光景をとらえることができる。
「ネス・カートス。想像以下だな」
少し伸ばしたミントグリーンの髪が風に遊ばれ、その表情を隠している。
「さてと」
彼は立ち上がると、できるだけ人の少ない場所を探してその場から地上に飛び降りた。
すとん、と。
着地すると左耳に付けた雫型の金色のピアスと、同じ色のペンダントが胸の上で揺れた。ボタンを開けて着崩したシャツの襟を、彼は軽く整えた。
辺りの通行人達は彼がどこから降ってきたのか不思議がったが、まさか時計塔のてっぺんから降りてきたとは思わない。
──風が止んでその顔が露になる。
ティリスらしい端正な顔立ち。瞳のエメラルドグリーンと髪のグリーンの対比が美しく、その容姿はすれ違う通行人の目を奪う。
「待つとしよう──舞台が整うまで」
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