雪と灼熱

こうしき

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前編

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 ましろの肌は名前の通り、雪のように白い。炎天下の下でも日焼け知らずで、長い黒髪を揺らしながらいつも涼しげな顔で俺の隣を静々と歩く。
 サッカー部の俺はといえば日焼けしやすい体質なのか、年中肌が浅黒い。すぐにカッとなる所や喧しい性格のせいもあり「灼熱の男」だなんて意味不明なあだ名をつけられたのは中二の夏……実に中二らしい。二人並べばオセロのようだとからかわれたのは高一の夏だった。

「オセロの白っ!」

 からかわれていたましろは、嫌な顔一つせずににこりと微笑むばかり。オセロの黒、灼熱の男と指を指される俺はぎゃーぎゃーと相手を追いかけ回す。ましろは年不相応に大人だった。

 幼稚な俺がそんな彼女に惹かれていったのは、まあガキらしい理由で「足が細くて顔が可愛かったから」。必死にアタックしてなんとか付き合う所まで漕ぎ着け、周りに話したのはそんな理由だけ。実際俺が惹かれたのは、彼女が常に帯びているあの大人びた空気と、にこりと微笑んだ時に細くなるあの美しい瞳だった。




「本当にするの?」

 高二の秋から交際を始めて、もうすぐ一年。受験だ就職だと周りが騒ぐ中、俺の頭の中を埋め尽くすのはましろの白い肌のことばかり。高校最後の夏休みにましろと大人の階段を登りたいと、ずっとそう考えていた。

「……嫌?」
「ううん。でも、大丈夫なの?」
「親は二人とも仕事だし、準備と予習はばっちり」
「予習って、まさかエッチな動画とか、そんなのじゃないよね?」
「うっ……」

 最高気温は三十三度だと気象予報士のグラマラスなおねぇさんが言っていた。俺の部屋ではエアコンを二十六度に設定中。窓の外では照りつける太陽の下、駆けてゆく小学生たちの声、蝉の大合唱、自転車のベルの音──。食べかけのアイスキャンディーをぺろりと舐めるましろの舌が厭らしく、背筋がぞくぞくと震えてしまう。

「ちゃんと事前に言ってくれてたから、私も準備はしてきたけど……」
「けど?」
「なんていうか……」

 らさないでくれ、と叫びたくなる衝動を抑え、ましろの手を握った。びくり、と跳ね上がった彼女の肩を抱き、そっと顔を近づけてゆく。

「ま……待って、アイス溶けちゃうっ……!」
「アイスぅ~! てめぇ~!」

 ましろの手の中で溶け始めた空色の塊を恨めしく思う。だが、焦っては駄目だ。あまり責めすぎるときっとましろを傷つけてしまう。ただでさえガサツでちゃらんぽらんな俺と、大人しくて清楚なましろが付き合っているというだけで周りからあぁだこうだと言われ彼女を傷つけてしまうことが多いというのに。彼女の身体も心も傷つけないように、余裕のある大人な対応をしなければならない。

「あ~ぁ、溶けちゃうっ……やだ、ベタベタ……」

 食べることも喋ることものんびりなましろの、棒切れのような手首を溶けたアイスが這い、垂れてゆく。拭くものが見当たらず、かといってこのままにしておけば彼女の制服のスカートにアイスが落下してしまう。

「許せましろ!」
「ひぅっ……!」

 舌先でべろんと、溶けゆくアイス──と、ましろの手首を舐めとった。ほんのりと甘い香りはアイスか、はたまたましろの肌の香りか。

「ごめんっ! つい舐めてしもうた……濡れタオル持ってくるから……」
「ましろ?」
「だめ……」
「どうした?」

 アイスにまみれてベタベタな手で、俺の手首を掴んで離さないましろは、不思議と頬が真っ赤だった。林檎のように染まったその頬に触れたことすらないというのに、俺は今から彼女の素肌の、恥ずかしい所も含めて全てに触れようとしているのだ。

「なめ……舐めたからっ……その……」
「わかった~! もっと舐めて欲しかった? アイス美味しかったからなぁ、いいぜ! って、冗談冗談! んなわけ…………ましろ?」

 ふるふると首を横に振るましろは、何か言いたげに俺を見つめる。うっすらと化粧の施されたくりくりな瞳は困惑した色に染まり、唇は何か言いたげに薄く開いていた。

りつくん、我慢してるの俺だけ、とか思ってる……?」
「……ましろ?」
「準備っ……準備してきたって言ったでしょ……?」
「じゅんび……とは?」
「色々っ……身体のメンテナンスとかです」
「後は?」
「可愛い下着とか……」
「俺のために?」

 こくん、と頷くましろは、青いプリーツスカートの裾をジリジリと引き上げてゆく。正座をしている彼女の、まっしろな太腿の更に奥。はらりと裾を上に捲り上げたその奥に、レースとリボンの施された光沢のある白いショーツが──。

「眩しいっ!」
「えっ、白って眩しい?」
「いや……全部眩しい! 良いのかなあ……良いのかなあ、いきなり下から……? キスもまだなのに下からいっちゃうのか……?」
「声に出てるよ」
「いやんっ! 漏れてた!?」
「漏れてた。とりあえず、キス、する?」
「うん……」

 照れ隠しなどしている時間が煩わしい。先程見たばかりの真っ白なセクシーショーツを脳裏に刻みながら、ましろの肩に手を添える。ゆっくりと、ゆっくりと顔を近づけて、呼吸を止めてそっと唇を重ねた。──けれど、このあとどうすればいいのかがわからない。セックス動画はうんと沢山観たものの、キスシーンなんてすっ飛ばして交わる所ばかり観ていたものだから、キスの終わり方なんて全く予習していなかった。そのうちだんだん呼吸は苦しくなって、後退するように唇を離す頃には二人ともゼエゼエと息は荒く。

「キス、難しいな……」
「そうだね……。あっ、触る、舐める、のほうが出来そうじゃないかな」
「触る、舐める……」

 何処を?と声に出そうになったのを堪え、ましろの身体を見つめる。華奢でほっそりとしている彼女だが、胸はそれなりにあるように見える。胸……俺は胸を触って、舐める……のか?

「いいのか……?」
「触って、舐めないと最後まで出来ないんじゃ……」
「わかった、とりあえずやってみようか」
「うん」

 三十分程前──俺がアイスを取りにキッチンに下りていた間、ましろは「恥ずかしいから」とカーテンを閉めていた。アイスを食べ始める直前から電気も消しているが、室内の暗さはほんの気持ち程度で、恥ずかしげに顔を伏せるましろの表情も──何もかもがはっきりと見える。

 躊躇いながらセーラー服の上を脱ぎ始めるましろに釘付けになっていると、「どうして私だけ?」と首を傾げられた。フェアじゃないなと納得し、俺もカッターシャツを脱ぎ去れば、剥き出しの黒い筋肉にましろは口許を抑えてパニクってしまった。

「こんなに、筋肉……あったの?」
「一応、サッカー部なんで鍛えてます」
「わあっ……」

 「ましろも、こんなに胸あったの?わぁっ……」と触りたい衝動をを抑えじぃーっと谷間を見つめる。水色のリボンの奥に秘められた胸!乳!おっぱい!見ているだけで勃起しそうである。いや、既に勃っている。

「俺も触って……いいですか?」
「忘れてた……いいよ?」
「おわっ…………これが……おっぱい……」

 向かい合って座り、ブラの落下したましろの胸を両手で包み込む。ふわふわで指が沈む……これが……ましろの身体……。白い白いとは思っていたけれど、実際に素肌を見ると本当に雪のように白く、儚げで、美しい。白い肌の上では乳首の色がはっきりと浮かび上がり、なんとも言えない厭らしさがあった。

「痛くない?」
「だいじょぶ……」
「もっと、触っていい? その、乳首とか……いいですか」
「それなら、私も一緒に触る」
 
 向かい合ったまま乳首を触りあう俺たちは変態なのかもしれない。俺は少しくすぐったい程度だが、ましろはぴくぴくと身体が跳ね、次第に声を漏らし始めた。

「あッ……あッ……う、ぅ……うぁッ……」
「ましろさん、喘いでらっしゃる……?」
「ち、ちがッ……ちがうッ……あぁ、あッ……!」

 親指の腹で、そろりそろりと小鳥の頭でも撫でるように乳首に触れれば、ましろの足がもじもじと動き出す。滴り、ぽたりと垂れてきたましろの唾液が俺の指先を濡らし、ぬるりと指が滑ってしまう。

「はぅぅッ……!」
「う……駄目だ!もう駄目だ! ごめんましろ、おっぱい吸います!」
「えッ…………あ……吸うって、あ……や、や、や、やあんッ!」

 赤ん坊がするように、ちゅうっ──と吸い付けば正座をしていたましろの足がぺたんと開き、腰が後退してしまった。どんどん遠ざかる乳首を逃がしたくなくて、彼女の腰を抱き寄せて身を屈め、またしても吸い付いた。

「あぅ、うぅ……」
「体勢、辛くない?」
「ちょっときついっ……かも」
「ベッド……行ってもいい?」
「……うん」

 自力でベッドへ這い上がったましろは、ころんと仰向けに転がりサッと胸を隠した。その両手首を掴まえて頭の上で拘束し、舌先でツンツンと乳首をつつき、ぺろりと優しく舐めとる。恐る恐る前歯を押し当てると、びくん、と肩を弾ませたましろの口から一際大きな声が漏れた。

「ごめん!痛かった?」
「ちがうっ……の。気持ちいい感じがして、びっくりして」
「ほう、ほほう……」

 名残惜しげに胸を揉み上げ、スカートの中に手を這わせてゆく。一応、触っても大丈夫かましろに確認をとり、つるつるなショーツに触れた。

「捲って、いい?」
「スカート?」
「うん……」
「ショーツ、下げるよ?触るよ?」
「ん……」

 そろりそろりと白い布地を引き下げれば、ましろの身体とショーツの間に透明のものがたらりと糸を引いた。ましろの身体から放たれるエロい香りに吸い寄せられるように、俺の舌はその糸を舌に乗せ、咀嚼し、嚥下した。

「味、えっろ……」
「えっ……なに? 味?」
「ましろの、お股から出てる、とろとろのやつ」
「やだぁっ……」
「足、ちょっと開くよ?」
「恥ずかしいぃ……恥ずかしいよ……」
「綺麗だ……」

 ねっとりと濡れたましろの陰部は、毛も薄く綺麗なピンク色をしていた。こんな色、AV女優の中でも選りすぐりの戦士だけかと思っていたが、いやはや……実在するものなのか。

「触るけど、痛かったらすぐ言って」
「……うん」
「どこから触ろうか……ましろ、どこが気持ち良いん?」
「そ……そんなこと聞くの!? 予習の意味は!?」
「ちょっとここは予習不足でしてぇ……」
「もうっ……それなら上から……触ってみて」
「上、とは」

 ぷっくりと膨らんだクリトリスから攻めろということか。中指でつつつ、と触れればびくびくとましろの腰が跳ね上がる。

「あッあッあッ……んぁッ……あ、ああぁ……!」
「気持ち良い感じ?」
「きもちぃ、きもちいい、いぁ、あ、ぁッ……!」
「クリトリスやべぇ……」

 親指の腹を優しく押し当てると、コリコリとした触感。優しく触れすぎるとぷりん、と滑り逃げてしまうので少し力を込めて親指を上下に這わすと、次第にましろの声が甲高くなっていった。

「すげっ……とろんとろんしてきた」

 クリトリスの下──膣口から溢れだす愛液でぐしょ濡れになったましろの秘部は、俺が触れれば触れるほど赤みを帯び、エロさを増してゆくばかり。シーツまで濡れてしまいそうな勢いなので、舌を伸ばし愛液を舐めとった。

「あッああぁ……はぅ、あ……あぅ、は、あうぅッ……!」

 同時に膣口横の襞のような箇所もペロペロと舐め回すと、ましろの足がびくびくと激しく跳ね始めた。少し口を開いた膣口に、そろそろ頃合いかと思いきって指先を挿しこむと、案外すんなりと吸い込まれるように指の根元まで膣内に拐われてしまった。

「痛くない?」
「だいじょ、ぶ……う、ぁ……あ、あ、だ、だめ、ぇそのッ……触りかた、だめッ……あああぁぁ……!」
「……痛い?」
「ちがぅうッ……きもちい、い゛、あ゛ッ……はぁッ!」

 一瞬、獣のように呻いたかと思いきや、聴いたこともないような甘ったるい声でましろは俺の名前を何度も呼んだ。それに応えるように俺はくるくると優しく捏ねるように膣内を掻き回した。

「いッああ……あ、あ、あッああぁ……なんか、なんかへん……や、や、なにッ……あ、あぁッ……きもちいぃ……い……はあッ……あ、あぁぁんッ……!!」

 びくん、と全身を震わせたましろは、ぐったりと息を荒らげヒィヒィとか細い声を出した。明らかに今までとは違うその反応に、俺は期待を込めながら彼女の状態が落ち着くのを待った。


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