いつも穏やかなセックスをする彼 (元執事)が、酒に酔うとドS王子に変貌して大変だった夜

こうしき

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7 あんなに気持ちよかったのに……

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「柊悟くん? えっ、ど……どうしたの?」

 メイクを終え、俺の姿を見て目を丸くしたほたるに正面から抱きつく。俺のち上がったものが身体に触れ驚いた彼女は、ぴくん、と肩を跳ね上がらせた。

「なんでおっきくなったの……?」
「ごめん……ほたる、ごめん……俺」
「…………観たの?」
「ごめん……!」

 彼女から離れ、膝を折って頭を床につけた。困ったように「やめて」と言うほたるの声が何度も降ってくるが、構わず頭を下げ続けた。

「本当にごめん……俺は、ほたるを傷つけた」
「柊悟くん」
「いやだったよな。あんなことをされて……無理矢理撮って、縛り上げた上に中出しまでしてしまって……酔ってたとはいえ、俺は……」
「全然覚えてないの?」
「ほとんど覚えてない」
「あんなに気持ち良かったのに……」

 どれほどの快感だったのか、覚えていないのは少し惜しいが、今はそんなことを言っている場合ではない。ほたるを辱しめて、傷つけた俺の罪は深いのだ。

 にも関わらず、俺に目線を合わせるように屈み込んだほたるは、想定外の言葉を口にした。

「あのね……嫌だったけど、嫌じゃなかったの」
「……ん?」
「えっとね……撮られたのは恥ずかしかったし、一人でエッチしてる録音聴かれたのも、エッチな言葉を言うように迫られたのも恥ずかしかったけど……でもね、気持ちよかったし、斬新で少し楽しかったっていうか……」
「楽しかった?」
「新鮮で……悪くなかったかなって。それに、あの時言ってくれたことは嘘じゃないんだよね?」
「あの時?」
「責任とれるって、言ってくれたこと」
「嘘じゃない。嘘なわけがない、本心だ」

 動画の中で酔った俺が言っていたこと。ほたるに対して何があっても全部の責任を取れる、と言ったことだ。避妊具をつければ100%避妊が出来る訳でもないし、その逆も然りだ。いつ彼女が妊娠しても俺は全てに責任がとれる、取るつもりだし、当然のとだった。

「妊娠を期にほたるが仕事を辞めるっていうなら経済的にも十分支えられるし、続けるって言っても肉体的にも精神的にも全部……全部支えるから、だから」
「ありがとう……そんな風に言ってくれると嬉しい」
「本心だよ?」
「わかってる、だからもう謝らないで」

 優しく抱き寄せてくれたほたるの肩に、幼い子供のようにしがみついてしまう。

「もうこの話はおしまい、ね?」
「うん。惜しいけど……動画も消すよ」
「惜しいんだ」
「えっ、残しててもいい?」

 俺から身体を離して少し距離を取ったほたるは、顔を赤らめて「早めに消してよ」と消え入るような声で言った。

「ほたる、一つ訊きたいんだけど」
「なあに?」
「一人でエッチしてる録音ってなに?」
「えっ……」
「俺、動画しか観てないから……」
「あ、えっと、その……」

 動画を観ていて違和を感じたのだ。動画の中で俺は「さっきみたいに一人でやってごらん」と言ったのだ。ということは、ほたるは──つまり。

「これ?」
「え、あ……ちょっと!」

 フォルダ内の録音データを再生すると、物音の後にほたるの声が──。


『あッ…………ん、んッ!

 は……は、ぁ……あ、あッ、んッんッ……』


 甘い声が漏れるのを我慢しているのか、控えめなほたるの嬌声が、スマートフォンのスピーカーから流れる。

 
『ああッ……ん、あ、あッ、いッいッ……あッ!』


 顔を上げてほたるをちらりと見ると、両手で顔を覆い、膝を立てて縮こまっていた。
 

『あッあッあッ──あ、しゅうご、く…………ッ! んッ、んッあ、イッ、イクッ、ぅ、ああッ……!!』


「……イク時に俺の名前呼んでる」
「いやあ……」

 
『……ッ、ッん……ハァ……イッ……!! ああ……も、う………………んッ、イッくぅ、あ……あ……』


 物音の後再生が終了するので、再び頭から再生する。少し音を大きくしてしっかりと聞き入ると、ほたるは部屋の隅に逃げてしまっていた。


「やだ……恥ずかしい……」
「すごく、エッチな感じがした」
「いやぁ……っ」
「ほたる、きて」

 嫌がるほたるを無理矢理抱き寄せ、カーペットの上まで連れて行く。向かい合うが視線が合わないので、俺はひとり言のように口を開く。


「ほたる、俺……我慢しようと思ってたんだ。ほたるを傷つけて、辱しめて……。でも、こんなの……こんなの聴いたら俺、もう──」

 ぎちぎちに固まった己の性器を見下ろす。ほたると交わりたい、交わりたくて仕方がないのに、耐えなければ彼女に顔向け出来なくなってしまう。

「ごめん……ちょっと、一人で処理してもいいかな」
「えっ」

 ほたるに背を向け、ベルトに手をかける。バックルを外したところで後ろからその手にほたるが触れた。

「一人でするくらいなら、わたしが口でしたい」
「え」
「今からエッチするとお出掛けする時間が……ね、だから……んっ……」

 首を捻ってほたるの唇を塞ぐ。そっと吸い上げると、彼女はゆるりと俺の正面に腰掛けた。

「罰ゲームのときみたいに、わたしが口で気持ちよくしてあげる。柊悟くん、反省してるなら、罰ゲームを受けるのもいいんじゃない?」
「受けます……」

 ほたるの言う罰ゲームというのは、俺たち二人が休日に時々行う「敬語で話すday」という遊び──ゲーム開始から終了まで、敬語が崩れた回数の多いほうが負け──の、負けたほうが受ける罰ゲームのことだ。どういう経緯でこれがバツゲームになったのかは割愛するが、罰ゲームというのはつまりは──敗者は一切の手出しを許されず、勝者に口と手で絶頂に達するまで犯される、というものなのだ。おまけに半裸という条件付き。これがなかなかに恥ずかしい。

「ねえ、ほたる」

 リビングのカーペットの上、俺はズボンと下着を下ろしながら口を開く。

「なに?」
「動画観て改めて思ったんだけど……ほたる、いつもいっぱいイってるよね 」
「そ……そうかな」
「そうだよ」
「だって、だって……柊悟くんは……その、上手だし、それに……」
「上手?」
「うん、上手」

 自分のセックスの上手い下手など、気にしたことがなかった。ほたるが上手いというのだから、そうなのかもしれない。

「それに、なに?」
「その……おっきいし」
「大きい?」

 ほたるの視線は俺の下半身の──真ん中、ズボンと下着の取り払われた俺の性器に釘付けだ。

「変なこと言ってごめんっ……おっきいっていうか、多分、平均よりはおっきいと思うの」
「そう、なのかな」
「そう、だと思うの」

 スッと伸びてきたほたるの舌先が、俺の先端につつ、と触れる。胡座をかいた足がぴくんと小刻みに跳ね、前屈みになり両手でそこを包み込んだほたるの頭をそっと撫でた。

「いい?」
「うん……」
「んッ……あ、んッ……」
「あぁッ……!!」

 指先に力を込め、カーペットを握り締める。ほたるの温かな口内に誘われた俺の身体はあっという間に溶けてしまいそうになる。

「あ……ほたる、あッ……あッ……!」
「ここが……ッ、ん、気持ち良いんだよね」
「は……ぅ、あ、あ、あ……!」

 先端をしつこく舐め回され、括れの部分を甘噛みされた後、裏筋にそっと歯を立てられる。そこを吸い上げられたかと思いきや、ざらりとした舌全体に舐め回され身体がぴくんと跳ねてしまった。祈るように指を組んだ両手に、棹の部分をぎゅっと包み込まれ、何度も手で扱(しご)かれる。上下する際に自由なままのほたるの親指が、陰茎の先端をくりくりと優しく刺激する──堪らなく、心地がよい。

「……どう?」
「ッはぁ…………!あッ……あッあッあッ……!」
「……ここは、どうかな?」
「うあ、あ…………だめ……あ……ほた、る……」
「もうちょっと、食べさせて」
「ああッ……」

 先端をちゅうちゅうと吸い上げ、そのままじゅる──と根元まで一気に口に含まれる。その動きはだんだんと早くなり、ほたるの唇が先端に触れた瞬間、彼女の指先が裏筋をくりくりと、苛めあげる。

「はぁッ……はぁッ……あ、う、やば……あッ……」
「今日……ッ、早くない……?」
「そんなこと、言われても……」
「待ってね、もっと……気持ちよくしてあげる」

 目が合った刹那、ほたるの口の動きが更に早まった。先端から括れまでを歯がほんの少し──触れるか触れないか、という角度で何度も何度も行き来する。激しく吸い付き、吸い上げられ──そして。

「あ……あ……あ……ああッ……イク、イク、イク……!」
「んッ……はあッ……いいよ、イッて──」
「ああッ……!!」

 ほたるの口から解放された俺の性器の先端から、精液がどくどくと溢れ出す。腰から下に力が入らず動けないでいると、中のものを全て出すように、ほたるがべたべたな俺の性器に上下に手を這わせる。

「いっぱい出たよ」
「はあッ……う……ぅ……」
「ちょっと拭こっか」

 ティッシュでサッと拭いた後、項垂れたそこに何度もちゅ、と唇を押し当ててくれる。キスに満足するとほたるは、舌先でぺろぺろと何度も優しく舐め回しながら、陰嚢をふにふにと撫で回した。それだけのことですら、少しずつ起き上がる気配のある己の性器に目をやると、上目遣いのほたると目が合った。

「なあに?」
「いや……別に……」
「ちょっとおっきくなったね」
「……うん」
「もっと、食べて欲しいの?」
「……うん」
「ん」

 ぱくん、と根元まで咥えられ、ほたるの口内でじゅるじゅると舌に弄ばれる。彼女の口から俺の性器が出てきた頃には、自分でも呆れてしまうくらい固さを増し、勃ち上がりかけていた。

「だめ、柊悟くん……」
「どうした?」
「これ以上は……わたし、欲しくなっちゃう」
「欲しいの?」
「でもね、いっぱいしたからかな、ちょっとお腹痛いんだ……」
「それなら、だめだよ」
「うん、わかってる……」

 もじもじと顔を伏せたほたるは、俺の性器を掴む手と反対側の手を己の股の間に押し当てる。小さく唸ると、おずおずと顔を上げた。

「夜まで我慢、出来るよ。その頃にはきっと治ってるから」
「でも、欲しいの?」
「我慢できる……もん……ちょ、あ、柊悟く──」

 ほたるの両手を掴むと、無理矢理に唇を塞いだ。舌を絡ませ唇を甘噛みして目を開けると、とろんと潤んだ彼女の瞳に釘付けになった。

「しゅうごくん……」

 もたれ掛かるように抱きついたほたるは、俺の首筋をちゅうちゅうと吸い上げる。指先で優しく髪を鋤いてやると、そっと唇を重ねられた後、ほたるはゆっくりと俺から離れた。

「これ以上はだめ……ほんとに」
「大丈夫?」
「大丈夫だもん……。柊悟くん、シャワー浴びてきて? 出掛ける準備しておくから」

 そう言うとほたるはトイレを済ませ、クローゼットを開けるとバッグを選び始める。その背中に声を掛け、俺は一人浴室へと向かった。



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