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 互いに呼吸が乱れているので、しばらくはそのままの体勢で身を寄せ合っていた。いつの間に動画撮影を止めたのか、スマートフォンは床に転がり落ちていた。

「ほたる……」
「……な、に」

 むくりと起き上がった柊悟くんは、繋がっていた部分を抜きとり手で軽くしごいた。陰茎の先端からはまだ精液が出るようで、たらりと垂れたものがわたしの太股を伝い、シーツへと付着した。 

「もっと、エッチしたい」
「もっと?」
「そう、もっと──」

 辛うじて解けていなかったショーツの反対側の紐を、柊悟くんははらりと解く。床へ滑り落ちたそれを見送っていると、こじ開けられたわたしの足の間に、彼の顔が──舌が──吐息が──。

「あッ……あ……ん……ん、ん……」
「ほたる、ねちょねちょ」
「やめて……」
「いっぱいイッたもんね」
「あ──ああッ──!」

 ざらりとした舌全体が、わたしの秘部をぺろぺろと舐め回す。付着していたものが粗方取れたのか、顔を上げた彼はわたしの太股に吸い付き、吸い上げ、腹から胸へと上昇しながら、全身を舐め回した。

「……あッ!」
「またベタベタになってる」
「だ……だって」

 胸をちゅうちゅうと吸いながら、彼はわたしのなかへ指を差し込む。あっという間にぐちゃぐちゃになったそこは、彼のものを求めてまたしても熱を孕み始めた。

「しゅ……柊悟くん……」
「欲しいんでしょ?」
「えっ、あ、あ、あッああッ……!」
「んッ……と……」

 先程達し、出しきったばかりだというのに。彼の陰茎はわたしの中に入れる大きさにまで達し、おまけに勃ち上がっていた──のを確認したのも束の間、そのまますぐに挿入される彼の身体。

「あッ……あッ、ああッ……柊悟くん……」
「もっと、しよ」
「うんッ……うんッ……」

 背中とベッドの間に手を差し込まれ、わたしの身体は右側を下向きに横向きになった。ぐわんと開かれた左足は彼の目の前を通りすぎ、抱えられたまま側位の形をとった。

「あ──う、あぅッ──は、あッあああんッ!」

 こんな体位で挿入されるのは初めてのことだった。体感したことのない角度で挿入される彼の陰茎に、全身が快感し震えている。シーツを掴む手に力が籠り、腰から下がびくびくと跳ね始める。

「ハッ……ハッ……うッ……」
「あぁッ──きもち、いッ……あ、あぁッ!」

 安定感があるのか、彼の腰の動きも次第に早くなる。空いた方の手はわたしの蕾へと伸び、先ほどやめてと言ったばかりだというのに、彼はふにふにとそこをつつき始めた。

「や、いや、やめッ……て」

「なんで?」

「そこはだめッ──だ、め、あ、あああッ!ああッ、あ、ああんッ!いやあッ、や、こわれ──こわれるッこわれ、るッ」

「どこが……壊れるの?」

「は、ぅッ、あ、やめ、こわれちゃうッ!こわれちゃうからッ────あ、ああ──イク、イクッ!!」

「どこが壊れるのか……あッ……う、教えて……そしたらもっと、イかせてあげる」

「や、あ、い……あ、いやあッ!」

 腕を吸い上げられ、耳を甘噛みされる。達したばかりだというのに、尚も突き上げ続ける彼の身体のせいで溶けてしまいそうだ。

「ほたる、言って、早く……どこが壊れるの」

「あ あ あ あッ!あ、うッ……ああ、ああだめッこわれるッ、ああッ!おっきい……おっきいのが、あ、あ、奥が、あッああ、こわれるッ!」

「どこ?」

 思考が混乱する中、わたしは彼の求める言葉を叫ぶ。喜んだ彼が何度も聞き返すので、一度口にして吹っ切れてしまったわたしの口からは、何度もその言葉が零れた。

「ほたるのエッチ。そんなこと言うなんて」

「だって、だって……」

「いいよ、上手にたくさん言えたから……もっとあげる」

 一度身体を離し、柊悟くんはわたしに四つん這いになるよう促す。膝と手のひらをベッドについたわたしの背後から、ゆっくりと性器を挿入した。

「あッ……あッ……どう、するの……」
「ゆっくり、動かすよ」
「んッ……」

 背後から二の腕をぐいっ、と掴まれ、彼の身体の方へと引き上げられる。上半身が反るように起き上がり、彼の太股によってわたしの足は固定される形をとった──膝はベッドについたままだ。

「……いい?」

「ど、どうするの……?」

「耐えれる?」

「えっ……あ、あう、あッああッ!! あああッ!!」

 最奥まで届く彼の陰茎は、わたしに初めての快感をもたらした。膣の奥の、気持ちの良い部位に繰り返し──繰り返し、刺激を与え続ける。

「う、う、うああ、あッ……きもちいい……きもちいい……」

「そんなに?」

「すごいの、あッ、うッ、すごいの……きもちいいの、あッ!あッ!あ、だ、めえええぇイク、う、イク、イク、いッちゃう、イッちゃう!! ──あああッ!!」

 絶頂に達し、糸が切れたようにだらんと首がしなだれた。肩を掴んでいた柊悟くんの手はするすると滑り、わたしの手首をぐいと掴む。腰のあたりで拘束するように手首を固く掴まれたまま、激しく突き上げられた。

「うッ、あ、あ、あぅ──あ、あぅッ……はぁッ……はぁッ……ああッ……あッ!!」

 びくん、と全身が跳ね上がった直後、彼はわたしの身に付けているネグリジェを剥ぎ取った。薄手のそれで器用にわたしの手首を縛ると、身体を前方にゆっくりと押し倒す。手首は後ろで拘束されているので、右側の頬と肩、それに両膝がベッドと接する形となった。 

「はぁッ……はぁッ……はぁッ……柊悟くん……」

「挿れるよ」

「あ、ああぁッ……!」

 腕の自由が利かず、肩がベッドと接しているせいで、通常の後背位よりもかなり尻を突き上げている。そのせいもあって、すぐに最奥まで達した彼の陰茎のせいで、わたしは何度も啼き声を上げてしまう。

「ああッ!あッ!あ、あ、あ、だめぇッイッちゃう、いッ、イッちゃう、や、あ、柊悟く……ん、しゅう……ご、くん、あ、ああッ!イク、イク、イクの、イクの、あ、あ、ああだめイク……!!」

「またイッたあ……」

「あ、あ、だって、だってえッ……あぅ、あ、ぅ、う、う、んッんッん、あ──は、あ、いッ……やああッイクッ!!」

「もっとイク?」

「だ、め……ッ、 もう、奥が、奥がッ!あッ!きもち、よすぎて、あ、あ、ああッ、おっきい、柊悟くんの……柊悟くんの、お……ちんッ、ちん、気持ちいいの、あッあッ、おっきい、から、だめ壊れる、こわれるッ……!」

「ダメだよまだ……もっとぐちゃぐちゃになってよ」

「やああ……や、しゅう……ごくん……んッ、あ、ああッ、あ!おっきい、おっきいよおぉ……だめ、だめ、だめえぇ……」

 膝から崩れ落ち、横向きの体勢となったが、構うことなく彼はわたしの膣を突く。名前を呼ばれ視線を投げると、いつから撮っていたのだろう、彼はまたスマートフォンで動画を撮影していた。

「はぁッ……はぁッ……はぁッ……はぁッ……」

「疲れたの?」

「もう、だめえ……だめえ……」

「仕方ないな」

 ここでようやくわたしの手首は解かれ、自由となった。仰向けに寝転ぶとすぐに彼の唇が下りてきて、何度も何度もキスをしてくれた。

「柊悟くん……」

なかに出すけど、いいかな」

「え──あ、あッ、ちょ──あ、ぅッ!」

 わたしが仰向けになり向かい合う体勢となってきいた所に、彼は足を押し広げながら膣に侵入してきた。自らも絶頂に達するためなのだろう、スマートフォンを脇に置きわたしの腰を強く掴むと、激しく早く──腰を振り始める。

「だめって……言ったのに、い……!」

「はぁッ……はぁッ……あ、ああッ……はぁッ……あ、あ、あう、う……」

「柊悟くん……?」

「ほたる……ッ!ほたる……」

「はぁッ……あ、出……そう?」

「うん……うんッ……あッ……、出すよ、ほたる、なか、に出すよ……ッ!」

「うんッ……あ、ああッ! 奥ッ……奥がッあ、あ、しゅうごく、ん、あッ!」

「はぁッ……はぁッ……あ、あ、あッ……イッ……出るッ……あ──ほたるッ、ほたるッ!」

「出して……だして、ぇ、わたし──あ、いッ、いッちゃう、やあ、いッちゃう……イッ──イク、ああッ!!」

「ッああ……!イクッ────うッ!」

 どくん──と彼のものがわたしの中に押し出され、温かな感覚が広がる。力の入らない腕で彼を抱き締めると、動けないままわたしの上に覆い被さったままの彼は、わたしの唇を小鳥のように何度もそっと吸い上げた。

「柊悟くん……?」
「気持ち良い……」
「気持ち良い?」
「ほたるの中、気持ち良い」

 繋がったまま、ごろんと横に転がった柊悟くんの腕に力がこもる。そのまま眠りに落ちてしまいそうだったので、わたしは身を捩り彼の陰茎をそっと抜き取った。

「んッ……あ……」
「ほたる……」
「ちょ……待って、拭かないと」
「無理。駄目」

 繋がっていた部分が離れた瞬間、膣(なか)からとろとろと彼のものが溢れ出た。股の間もシーツも、彼の性器もわたしのものでべたべただ。

「ティッシュ!」
「駄目」
「柊悟くんってば!」
「離さない」

 もぞもぞと動いた彼の行動に期待をしたが、全く予期していなかった行動に、わたしは声を上げてしまった。

「やッぁ……ちょっと……」
「んッ……んッ……」
「しゅ、柊悟く……ッ」

 少しだけ下降した柊悟くんは、わたしの胸の先端を、ちゅうちゅうと吸い上げ、目を閉じる。まさかこのまま眠るつもりなのだろうか。

「柊悟くん、ちょっと……もう、吸っちゃいや……」
「……うん」
「寝ちゃうでしょそのまま!やッ、だめって、ちょっと……」


 結局、彼の腕の中に閉じ込められたままのわたしも、そのまま眠りに誘われてしまう。なんとか引き上げたタオルケットで二人の身体をすっぽりと覆い、目を閉じ──朝まで、目を覚ますことはなかった。




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