ヒメサマノヒメゴト1〜殺し屋の姫、淫猥な銀エルフに犯され~

こうしき

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「もしかしてイッた?」
「え……なに……」
「快感が頂点に達した感覚あった?」

 全身が浮遊し、吹っ切れたようなあの快感。今でも全身が痺れ、頭も身体もふわふわと覚束ないのは、快感が頂点に達したからだというのか。

「さあ……あったかもな」
「快感が頂点に達する、絶頂のことをさあ、イクって言うんだ」
「ふぅん……」
「だからさ、イキそうだなって感覚があったら『イク』って教えてほしいんだよ、いい?」
「ハァ……クソが」
「よろしくね」

 体勢を立て直し、ミカエルは更に激しく腰を打ち付ける。荒っぽい交情に、アンナの頭はまたしてもフラつき始める。

「しっかしさあ……『これ以上気持ちよくしないで!』なんて可愛いこというよね、君」
「あッ……う、るッ、さいっ……黙れ!」
「弱々しく怒鳴られると……もっと気持ちよくさせたくなる」
「い、やッ、あぁッ……! やだッあッあッ……! 激しく、うッ……突く……ハァ……あ、んッ……突くな!」
「最強の殺し屋が処女だなんて、ほんっと最高だよなあッ!」
「うるさい、うるさ、いッ……! やッ……やッ! そこダメッあッ! あ、ああッ……!」
「ほんっと、犯しがいがある! 」
「うぅッ、く、あッ……いやッ……! いやッ! いやあッ!」
「気持ちいいんでしょ……? いやいや言わない。ちょっと静かにしてもらうよ」
「あっ」

 床から起き上がり、フラつくアンナを今度はベッドへと引きずってゆく。乱暴に彼女の身を投げ、膝立ちになるとベッドフレームまで彼女を追いやった。

「見て」
「なっ……あ……」

 アンナの鼻先に突き付けた陰茎から、避妊具を取り外す。むわりと掠む匂いに眉をひそめたのも束の間、ちゅ、と唇に触れたその感覚に彼女は眉間に皺を寄せながら顔を上げる。

「どんな感じだった?」
「先端は……つるつるしてるな」
「だよね」
「ん゙ん゙ッ!」

 突然、口内に押し込まれる肉棒。何故こんなものを、とワケもわからず男を睨むと、当の本人はニタニタと嫌な笑みを称えている。

「咥えて、舐めて、甘噛して、吸って、んッ……ほら……握って、そう、 しごいて、もっと吸って」
「ん゙ーっ! ん゙!」
「なに?」
「なんでこんなもの……!」
「俺は気持ちいいんだよ。ほら早く」
「ん゙ぁッ……ん゙……んッ……んッ……」
「あ……あ……気持ちいいよアンナ…………そこ、先っぽのとこ、そう……あッ……歯を当てて、優しく…………あれ、泣いてる?」
「ん゙ーん゙!」
「なに?」
「泣いてない!」
「はいはい。ちょっと屈辱的過ぎたかなあ。お姫様にフェラさせるなんて」

 目を潤ませ、鼻息荒くミカエルを睨みつける。「怖い怖い」と言いながらも、男は終始楽しげであった。しばらく楽しんだ後、起き上がると背後から羽交い締めにし挿入を果たす。

「ちょっ……あッ……あッ……あッ……だめ、これッ……!」
「どうして?」
「体勢がクソだ……!」
「気持ち良いのかな」
「ちがッ……! あッあッあッだめ、だめ、やだ、また……ちょッ……や、やッ、あ、ああああッ! あぁッだめッ……」
「喘ぎすぎ。嬉しいな」
「ほんと、これッ……ハァッ、あッう……身体が変になるッ変になる、う、う、いッ……だめ、だめッ、やだ、やだッイクの、イクの、やッイヤ……あ、あ、あ、イク、イクッうッ、う、あッ……あ、あ、あああッ! イクッ……!!」
「あーあ、イッちゃった? もう少し突こうかな」
「や、や、だめッだめッだめ! だめぇッ! まって、まってよ、おねがい、おねがいッ、まって、イヤ! もう、やだッ、う……ぁぁあッやだぁ……イクッ……イ、クッ……イクッ……!!」
「……最っ高」

 腰の動きを緩やかにすると、ミカエルはアンナの頭を掴み、ぐいと自分の方を向かせた。蕩けながらも必死に自分を睨みつける表情を、これでもかというほど目に焼き付ける。彼女が見せる初めての表情、それに声──それを今自分が独占しているという事実が、堪らなく男を興奮させるのだ。

「あー……駄目、もっとぐちゃぐちゃにしたくなってきた」
「ひっ……う、ぁ゙…………」
「もう少し楽しませて。そしたら出してあげるから」

 腕を離すと、アンナの体はベットに吸い込まれるようにうつ伏せに倒れた。背後から腹の下に手を入れ、四つん這いになるよう身体を引き上げると、再び挿入を果たす。

「あッ……あッあッあッ……!」
「ッは…………これで、もう少し奥までぐちゃぐちゃにしてあげるから」
「ハァ……ハァ……ハァ……や……やだあ……!」

 尻を撫で回しながら、激しく腰を打ち付ける。時折腰を掴んで激しく突けば、その度に彼女は絶頂に達するようで、最早戦いに敗れた獣のような呻き声が溢れるだけであった。

「ッ……ハァ……あ、あ、あぁッ……あぁ゙ッ!!」
「今イッたよね、何回目? 後ろが気持いいんだ?」
「気持ち良く、ない!」
「もう観念したらいいのに。そっか~……後ろが好きなら俺も、このまま出しちゃおうかな。出したくなってきたな。まだ出来るんだし、いっか……じゃ、出すね」
「えっ」

 腰を掴まれるとぐいと引き上げられ、押しつけられるように激しく腰を打ち付けられた。快感を通り越して、アンナの頭の中は滅茶苦茶であった。

「ハァッ……ハァッ……あ、あ、あ、ああッ……!」
「あー……出そう、う、ハァッ……いッ……イクッ……!!」

 堪えに堪え、漸く達したミカエルはアンナの上に覆い被さったまま、後ろから耳たぶを何度も噛んだ。首の後ろを吸い上げた後、彼女の身体をぐるりと仰向けに押し倒すと激しく唇を重ねた。

「どうだった~?」
「……最高に屈辱的だ」
「でも気持ち良かったでしょ?」
「それは……」
「初めての君に一つ忠告するけど……こういうことはね、普通は愛し合う者同士でするんだよ。まあ金銭が絡む取り引きでも利用されがちだけど。今回は後者のつもりで抱いたんだけど、いつかは前者にならないかな~なんて」
「……は?」

 ミカエルの意図することが理解できない──というよりかは、理解したくなかったのだ。

「お前は……あたしを騙したのか?」
「違うよ。これが情報屋としての俺のやり方なだけ。報酬としての金は男から頂けばいいし、女には身体を提供してもらうんだ」
「……それで、あたしにこんなことをしたってのか」
「結界は貼ってるから大丈夫だよ? それに人に言うこともしない」
「クズ野郎が。死ぬか?」

 ベッドサイドに立てかけてあった刀を取り、アンナ は抜刀した。切っ先をミカエルに突きつけるが、男は飄々とした態度を崩さなかった。

「随分と肝が座っているな」
「アンナ……君、わかってる? 俺を殺すってことは、今後一切、最高機密の情報を得られなくなるってことだよ? 俺がどれだけ凄腕の情報屋かわかってる?」
「それは……」
「わからないほど、愚かではないだろ? ならさっさとその物騒なものを片付けてくれ」

 仕方無しに刀を鞘に戻すと、ミカエルはアンナを再び押し倒した。何事かと彼女は男を睨みつけるが、何度も唇を塞がれるだけであった。

「覚えてる? さっき俺が右手の指を何本立てたか」
「…………三本だったか」
「正解~! ということは?」
「……ということは」

 ミカエルの口元が厭らしく歪む。嫌な予感しかせず、アンナは無理矢理男を突っぱね、蹴り飛ばし、立ち上がると壁際に逃げた。

「逃げないでよ。あ……結界張ってるって言ったよね? 外には出れないから」
「ミカエル、お前……!」
「あと二回。あと二回楽しませてよね。こっちに来てくれないのなら、立ったまま犯しちゃうよ?」


(……立ったまま? どうやってするというんだ)


 無知な彼女は、立ったままだとどうなるのか── 一瞬興味が湧いた。そうこうしているうちに、男と壁に挟まれてしまう。

「じゃあ……前からね。次は後ろだから」
「う……」

 ぐい、とアンナの片足を引き上げる。濡れたままの入口に吸い込まれるように挿入を果たすと、彼女の矯声が零れ落ちた。

「あッ……あ、あ、あ、あッぁ゙……! ん゙ッ……!」

 唇が重なり、堪らず男を睨みつけた。抵抗はしないと約束をしてしまった以上、彼女ができるのは男を睨みつけることだけであった。

「はぁッ……はぁッ……はぁッ……!」
「目の前でさ、揺れてるこの胸がさ……堪んないんだよ」
「いやッ……あ……!」

 たゆたう乳房に顔を埋め、甘噛し、吸い上げる。鼻のぶつかる距離で乱れる彼女の顔を見つめ、瞼に唇を落とした。

「かっわいいよねえ……ほんとさ……」
「くッそ……! あッ、あッ、あッ……!」
「名残惜しいけど後ろね」
「はぁッ……はぁ……あ、あぅ゙ッ……!」

 壁に手をつき、抵抗などできるはずも無く。後ろから腰を掴まれ、激しく何度も打ち付けられる身体。ぱんっぱんっ──と肉のぶつかる音に、いい加減目眩と吐き気がしてきたが、この体勢では喘ぐことしかできないのであった。

「どう?」
「なにが……」
「この体位。俺はさあっ……うッ……後ろからこうやって……犯してると、蹂躙してるようで……最高に気分がいい……!」
「……最っ低」
「ふうん?」
「やだっ……ちょ、そんな、激し、い゙ッ! やめッ……!」
「主導権がどちらか、わかってる?」
「あッ! やッ! やだ、待っ……あああッ! やめてッあ゙、あああッ! だめ、え、おかしくなるッ! おかしくなる……!」
「おかしくなればいい」
「ゔ、あ゙、あッゔぅ……く、あ、いやぁぁぁッ……!」

 そのまま意識が朦朧とするまで突かれ、アンナが気が付いたときにはベッドに仰向けの体勢であった。

「あッ……あッ……あッ……やだ……!」
「なにが?」
「それ……指っ……なか、掻き回すの、やッ……!」
「気持ちよくない?」
「きもちい、い、けど……!」

 激しく抜き差しされる長い指はアンナの最奥にまで達していた。腰をがくがくと震わせ、目には涙を浮かべる様を見て、ミカエルは満足げに口元を歪ませる。

「やだ……やだ……あ、あ、あッんッ!」
「駄目だよ口元抑えたら……声が聞こえないじゃん」
「んぁッ……あッ! やッ! ちょっ、と……うッぁ……あ……い゙、くいく、イク……や、やだ、もうやだ……!」
「ほらー、イッて?」
「あッあッあッあッイクッイクッ……ぅッ……!!」
「ちょっと、濡れすぎだよ。一旦拭くから待って」
「あ……あ……ぅ……」

 拭き取るのはミカエルの舌。ぺろりと何度か愛液を舐め取ると、男はアンナに覆いかぶさり唇を塞いだ。

「俺まだ二回目出してないから……今からが二回目の本番だから」
「だ……す……?」
「まだ射精してない。さっき俺、イクッて言って出しただろ?」
「しゃ……せい」

 アンナが思い出すのは、先程ミカエルに激しく腰を打ち付けられた時のこと。快感と絶望で、頭がおかしくなりそうであった、あの時のこと。

「君の 膣内なかに俺の精液を出すんだよ」
「でも、せ、せいえき……精液って、お前、それは……!」
「ああ、大丈夫。さっきみたくちゃんと避妊はするよ。俺が膣内に射精した数で、回数カウントしてるからよろしくねぇ」

 サッと全身の血が引いてゆく。先程のアレをあと二回も受け入れなければならないのかと恐怖し、下唇をぐっと噛み締めた。

「やだ……待って、やだ……!」
「震えてるの? 大丈夫だから」
 
 行為自体が震えるほど嫌という訳ではなかった。アンナが恐れているのは、この淫らな行為に飲み込まれ、自分自身が変わってしまいそうであることなのだった。


(今日初めて会ったばかりの男に……こんなことをされて、あたしは。こんなことになるのならば、出国に失敗して、父上の拷問を受けるほうが、まだマシだった……)


 知りたくもなかった、淫靡な沼。こんな男に犯されるくらいならば、まだ何も知らぬ幼いままの少女でいたかったと、固く目を瞑ることしか出来なかった。
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