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儀式1
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痛い!!
左足首が痛い!
『ヨケロ~!!』
人面瘡が叫ぶ。
私めがけて大きくしなりながら太い触手が
飛んでくる。
私は月神の剣でそれを斬り落とす。
次々に伸びてきては私に襲いかかる触手。
横に転がり避ければ地面が抉られる。
また人面瘡に助けられた。
カインありがとう。
いけない。
呆けている場合じゃない。
片手で涙を拭うと気合いを入れ直し
触手を斬り落としながら
大きな御使いへと駆け寄り本体へと思い切り
斬りつけた。
『ギャアアアアアアア!!」
嫌な臭いを発しながら斬りつけた箇所が
青白く燃え上がる。
御使いが悲鳴をあげる。
女の声だ。
御使いはイソギンチャクのように
シュっと一瞬で無数に伸ばしていた触手を
引っ込める。
実際、御使いはまるで青黒いイソギンチャク
のような姿をしている。
またそろそろと何本か触手が伸びてきて
焼け爛れた傷を撫でる。
しくしくと女の泣き声がする。
大きなイソギンチャクが大きな一つの
目玉から大粒の涙を溢す。
痛めつけられて御使いが泣いている。
あっけにとられ小山のような
イソギンチャクを見上げた。
この御使いはそんなに強くはない。
月神の剣がある限り
この大きな御使いを消し去るのはきっと
難しくはない。
でも、今年は追い払ってもきっと来年
また違う御使いが年初めの新月の夜に
やって来るに違いない。
これはきっと海神様との契約だ。
御使いはあくまでも御使い。
儀式を終えなければ永遠に続く。
私は月神殿の巨石に鎖で繋がれた王に
目を向ける。
触手から解放されぐったりと横たわり
ガタガタと震えながら
荒い息をしている。
走り寄りそっと体に触れるとびくり体を
強張らせる。
こんなに怯えて。
無理もない。あんなおぞましいモノに
犯されるなんて。
私は巨石に月神の剣を立て掛けると
王に被さる金色の仮面を外す。
涙と粘液で穢された美しい顔が現れる。
深い青い瞳が大きく見開かれる。
「フェリシア……なぜここに。外は危ないと
あれほど……」
私に声をかけながら新しく王の目から
涙が流れる。声を詰まらせ体を震わせる
王の肩に私はショールをかける。
王は顔を歪ませると私から顔を背けた。
「頼む……見るな。俺を見ないでくれ……」
弱々しくかすれた声で王が言う。
なんて可哀想なの。
毎年こんな目に遇わされて来たのね。
一体、いつから?
あんな育ち方をした上にこんな事まで……。
ごめんなさい。
私はそんなあなたに
さらに追い討ちをかけてしまう。
でも、今ここで終わらせなければ
命が尽きるまでずっと続く。
終わりにしよう。
私が終わらせてあげる。
王から外した仮面を見る。
思ったとおり仮面は二つに分かれる。
赤い石が左目に嵌め込まれた女神の仮面と
右目に窪みのある男神の仮面。
私は首から下げたペンダントから青い石を
取り外し仮面の窪みに嵌め込む。
カチリと音がしてピッタリと収まった。
神器の欠損。
そして巫覡の不在。
そもそもこの儀式は一人では成立しない。
王族の男と巫覡の女。
もしくはその逆の組み合わせ。
私は着ていた夜着を脱ぐ。
人魚の血で濡れて体に貼り付き脱ぎにくい。
「止せ!フェリシア一体何を!」
服を脱ぐ私に気がつき王が慌てて制止する。
だが私は構わず全て脱ぎ捨てた。
私は指笛を吹く。
低く高く不規則なリズム。
私はこの指笛がうまくない。
よくお姉様から下手くそだと怒られた。
どうか今だけでいい。
下手でもいいから神に届け!
……海神よ!降りたまえ!
私の指笛につられ、小さな人魚達が
集まって月神殿を取り囲む。
大きなイソギンチャクのような御使いは
指笛の音にうっとりと目を閉じる。
御使いの小山のような体がどんどん小さく
なっていく。
やがて私とそう変わらない大きさになると
青白く輝く光の塊に変化し私と王の周りを
ぐるぐると回る。
私は青い石の嵌め込まれた仮面を
そっと王に被せる。
そして赤い石の嵌まった仮面を自分に
被せた。
王は右半分を私は左半分が仮面で隠される。
王の青い左目と私の紫色の右目が互いを
見つめる。
不安そうな王に声をかける。
「ごめんなさい。私の事は嫌ってくれて
かまわないから。許さなくてもいい。
でも、これで終わるからね?」
「フェリシア……何をする気だ?」
私は御使いの光の塊に近寄ると招くように
両手を広げた。
すると待ちかねたように
私の腹部に御使いの光が吸い込まれる。
途端に体が熱い。
ああ。変な感じ。酩酊感がある。
頭がフワフワする。
じんじんと下腹が疼く。
ああ、熱い。
意識はあるのに体か勝手に動き始める。
今の私は御使いと同化している。
この身に海神様の力が流れ混んで来る。
感覚も感触もむしろ鋭敏になっている
のに体の自由がきかない。
完全に操られている。
どうか王にあまり酷い事をしないで。
私は心の中で海神様にお祈りした。
王よ。ごめんなさい。
今から私はあなたを犯します。
この儀式は子成しの儀式。
神の力の宿る子供を孕むためのもの。
誰がいつ、何のために始めた事かは
分からないけれど、すでに報酬を先取り
している。
だから約束の対価である子供を孕むまで
御使い達が督促に来るのだ。
約束の履行を求め。
そしておそらくは事の発端は王族だろう。
己の血肉を賭けて願った海神様との契約。
いつまでも約束を違えるゴードルの王族に
海神様がお怒りだ。
御使いが王の子種を絞り取っても
依り代になる巫女がいない。
神器である仮面の青い石を紛失した事も
儀式を妨げた。
だから巫覡の私を依り代に王と交わる。
すでに私の体は御使いに委ねた。
神事だ。
きっと一度の交わりで子ができるだろう。
私が契約の子供を産めばそれで終る。
この忌々しい御使いの訪れはもう二度と
なくなるはずだ。
王に近づき頬に両手で添えて引き寄せると
そのまま口付けた。
戸惑い逃げようとする王の舌に自分の舌を
容赦なく絡め擦り合わせる。
気持ちいい。
下腹の熱がさらに強まる。
キスだけで蕩けそうだ。
自分の秘所からトロリと何かが滲み
出てくる。
さらに深く王の口腔を犯す。
王は両手を鎖で繋がれているし
先程までの触手による凌辱ですでに
抵抗する力が残っていないようだ。
私のいいように、なすがまま。
身動ぎ一つしない。
体を撫で回しながら長い長い
口付けを終えると王の生殖器に目をやる。
赤黒く血管を浮き上がらせて反りかえり
今にも腹に付きそうだ。
こんなに美しい体に何でこんなに
グロテスクなモノがぶら下がって
いるのだろう。
こんなに大きなモノが私の体に入るの?
──怖い。でも、もう引き返せない。
私の意思とは関係なく、勝手に体が動き
王の男根に舌を這わす。
嘘でしょ?こんなモノを舐めるなんて。
閨の講義で確かに口での行為の事を
習ったけれど……こんなの無理!
「止せ!やめろ……駄目だ!」
王が腰を引いて逃げる。
ごめんなさい。無理矢理こんな事を。
きっともうこの人が私に笑いかける事は
ないだろう。
無理矢理自分を凌辱した女なんてきっと
顔を見るのも嫌だろう。
元の冷たい王に戻るだけ。
でも言い様のない悲しみが胸を締め付ける。
ああ、この人に好かれたかったな。
もう叶う事のない望み。
ごめんなさい。
リチャード様。
私は海神の御使いに身を委ね
王を凌辱して子を成す。
ひどい事をしてごめんなさい。
でもこれであなたは解放される。
私の目から涙が流れ落ちた。
左足首が痛い!
『ヨケロ~!!』
人面瘡が叫ぶ。
私めがけて大きくしなりながら太い触手が
飛んでくる。
私は月神の剣でそれを斬り落とす。
次々に伸びてきては私に襲いかかる触手。
横に転がり避ければ地面が抉られる。
また人面瘡に助けられた。
カインありがとう。
いけない。
呆けている場合じゃない。
片手で涙を拭うと気合いを入れ直し
触手を斬り落としながら
大きな御使いへと駆け寄り本体へと思い切り
斬りつけた。
『ギャアアアアアアア!!」
嫌な臭いを発しながら斬りつけた箇所が
青白く燃え上がる。
御使いが悲鳴をあげる。
女の声だ。
御使いはイソギンチャクのように
シュっと一瞬で無数に伸ばしていた触手を
引っ込める。
実際、御使いはまるで青黒いイソギンチャク
のような姿をしている。
またそろそろと何本か触手が伸びてきて
焼け爛れた傷を撫でる。
しくしくと女の泣き声がする。
大きなイソギンチャクが大きな一つの
目玉から大粒の涙を溢す。
痛めつけられて御使いが泣いている。
あっけにとられ小山のような
イソギンチャクを見上げた。
この御使いはそんなに強くはない。
月神の剣がある限り
この大きな御使いを消し去るのはきっと
難しくはない。
でも、今年は追い払ってもきっと来年
また違う御使いが年初めの新月の夜に
やって来るに違いない。
これはきっと海神様との契約だ。
御使いはあくまでも御使い。
儀式を終えなければ永遠に続く。
私は月神殿の巨石に鎖で繋がれた王に
目を向ける。
触手から解放されぐったりと横たわり
ガタガタと震えながら
荒い息をしている。
走り寄りそっと体に触れるとびくり体を
強張らせる。
こんなに怯えて。
無理もない。あんなおぞましいモノに
犯されるなんて。
私は巨石に月神の剣を立て掛けると
王に被さる金色の仮面を外す。
涙と粘液で穢された美しい顔が現れる。
深い青い瞳が大きく見開かれる。
「フェリシア……なぜここに。外は危ないと
あれほど……」
私に声をかけながら新しく王の目から
涙が流れる。声を詰まらせ体を震わせる
王の肩に私はショールをかける。
王は顔を歪ませると私から顔を背けた。
「頼む……見るな。俺を見ないでくれ……」
弱々しくかすれた声で王が言う。
なんて可哀想なの。
毎年こんな目に遇わされて来たのね。
一体、いつから?
あんな育ち方をした上にこんな事まで……。
ごめんなさい。
私はそんなあなたに
さらに追い討ちをかけてしまう。
でも、今ここで終わらせなければ
命が尽きるまでずっと続く。
終わりにしよう。
私が終わらせてあげる。
王から外した仮面を見る。
思ったとおり仮面は二つに分かれる。
赤い石が左目に嵌め込まれた女神の仮面と
右目に窪みのある男神の仮面。
私は首から下げたペンダントから青い石を
取り外し仮面の窪みに嵌め込む。
カチリと音がしてピッタリと収まった。
神器の欠損。
そして巫覡の不在。
そもそもこの儀式は一人では成立しない。
王族の男と巫覡の女。
もしくはその逆の組み合わせ。
私は着ていた夜着を脱ぐ。
人魚の血で濡れて体に貼り付き脱ぎにくい。
「止せ!フェリシア一体何を!」
服を脱ぐ私に気がつき王が慌てて制止する。
だが私は構わず全て脱ぎ捨てた。
私は指笛を吹く。
低く高く不規則なリズム。
私はこの指笛がうまくない。
よくお姉様から下手くそだと怒られた。
どうか今だけでいい。
下手でもいいから神に届け!
……海神よ!降りたまえ!
私の指笛につられ、小さな人魚達が
集まって月神殿を取り囲む。
大きなイソギンチャクのような御使いは
指笛の音にうっとりと目を閉じる。
御使いの小山のような体がどんどん小さく
なっていく。
やがて私とそう変わらない大きさになると
青白く輝く光の塊に変化し私と王の周りを
ぐるぐると回る。
私は青い石の嵌め込まれた仮面を
そっと王に被せる。
そして赤い石の嵌まった仮面を自分に
被せた。
王は右半分を私は左半分が仮面で隠される。
王の青い左目と私の紫色の右目が互いを
見つめる。
不安そうな王に声をかける。
「ごめんなさい。私の事は嫌ってくれて
かまわないから。許さなくてもいい。
でも、これで終わるからね?」
「フェリシア……何をする気だ?」
私は御使いの光の塊に近寄ると招くように
両手を広げた。
すると待ちかねたように
私の腹部に御使いの光が吸い込まれる。
途端に体が熱い。
ああ。変な感じ。酩酊感がある。
頭がフワフワする。
じんじんと下腹が疼く。
ああ、熱い。
意識はあるのに体か勝手に動き始める。
今の私は御使いと同化している。
この身に海神様の力が流れ混んで来る。
感覚も感触もむしろ鋭敏になっている
のに体の自由がきかない。
完全に操られている。
どうか王にあまり酷い事をしないで。
私は心の中で海神様にお祈りした。
王よ。ごめんなさい。
今から私はあなたを犯します。
この儀式は子成しの儀式。
神の力の宿る子供を孕むためのもの。
誰がいつ、何のために始めた事かは
分からないけれど、すでに報酬を先取り
している。
だから約束の対価である子供を孕むまで
御使い達が督促に来るのだ。
約束の履行を求め。
そしておそらくは事の発端は王族だろう。
己の血肉を賭けて願った海神様との契約。
いつまでも約束を違えるゴードルの王族に
海神様がお怒りだ。
御使いが王の子種を絞り取っても
依り代になる巫女がいない。
神器である仮面の青い石を紛失した事も
儀式を妨げた。
だから巫覡の私を依り代に王と交わる。
すでに私の体は御使いに委ねた。
神事だ。
きっと一度の交わりで子ができるだろう。
私が契約の子供を産めばそれで終る。
この忌々しい御使いの訪れはもう二度と
なくなるはずだ。
王に近づき頬に両手で添えて引き寄せると
そのまま口付けた。
戸惑い逃げようとする王の舌に自分の舌を
容赦なく絡め擦り合わせる。
気持ちいい。
下腹の熱がさらに強まる。
キスだけで蕩けそうだ。
自分の秘所からトロリと何かが滲み
出てくる。
さらに深く王の口腔を犯す。
王は両手を鎖で繋がれているし
先程までの触手による凌辱ですでに
抵抗する力が残っていないようだ。
私のいいように、なすがまま。
身動ぎ一つしない。
体を撫で回しながら長い長い
口付けを終えると王の生殖器に目をやる。
赤黒く血管を浮き上がらせて反りかえり
今にも腹に付きそうだ。
こんなに美しい体に何でこんなに
グロテスクなモノがぶら下がって
いるのだろう。
こんなに大きなモノが私の体に入るの?
──怖い。でも、もう引き返せない。
私の意思とは関係なく、勝手に体が動き
王の男根に舌を這わす。
嘘でしょ?こんなモノを舐めるなんて。
閨の講義で確かに口での行為の事を
習ったけれど……こんなの無理!
「止せ!やめろ……駄目だ!」
王が腰を引いて逃げる。
ごめんなさい。無理矢理こんな事を。
きっともうこの人が私に笑いかける事は
ないだろう。
無理矢理自分を凌辱した女なんてきっと
顔を見るのも嫌だろう。
元の冷たい王に戻るだけ。
でも言い様のない悲しみが胸を締め付ける。
ああ、この人に好かれたかったな。
もう叶う事のない望み。
ごめんなさい。
リチャード様。
私は海神の御使いに身を委ね
王を凌辱して子を成す。
ひどい事をしてごめんなさい。
でもこれであなたは解放される。
私の目から涙が流れ落ちた。
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