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ピクニック
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柔らかい陽射しが降り注ぐ。
雲一つない快晴。
目の前には大きな湖。
透き通るようにきれいな水。小魚が泳いで
いるのが見える。
キルバンはアルトリアより暖かい。
初冬の寒さのアルトリアから、春から初夏の
陽気のキルバンへ。
やっぱり、寒いより暖かい方が体が楽だ。
北辺境で生まれ育ったくせに軟弱だよね私。
「何でアーサーと乗るんだ……」
ロイシュタール様がうざい。
今日は姫様がアーサー様との約束を
守るためにピクニックに来た。
十二年ぶりに果たされる約束。
一緒にお馬でピクニック。
幼いアーサー様と馬で遠乗りピクニック。
楽しみだった日は、悪夢の日になった。
オズワルドのせいで果たせなくなった約束。
妊婦のアルマさんと付き添いの私は馬車。
なぜか黒竜も同じ馬車に乗り込んでいる。
『お、本当だ。キルバンの王様の馬車は
乗り心地が最高だ。うん。中も豪華だ』
そう言って満足そうに馬車の中を
色々触りまくる黒竜。
あ~以前青竜がキルバンの王様の馬車は
乗り心地が良いと言っていたから、
黒竜……乗ってみたかったんだね。
馬車が大好きな竜……やっぱり黒竜変な奴。
他の人達は馬で移動。青竜は馬だ。
乗馬する竜。
なんで当たり前のように竜が二人とも
ピクニックに参加しているのでしょうか。
──謎だわ。
男装に慣れきった姫様はドレスではない
乗馬服にご満悦だ。
この湖へのピクニックは、王宮から
そう遠くない場所で景色が良いからと
ロイシュタール様が姫様とアーサー様の
ために計画して下さった。
私とアイリスさんは明日、キルバンを離れ
辺境へと向かう。
私達との思い出作りにもいいだろうとの
事だった。
うん。ここまでは素晴らしい。
でも、湖に到着したらボートに乗りたいと
姫様が言い出した。二人乗りのボート。
アーサー様とロイシュタール様のどちらが
姫様とボートに乗るか揉める。
それはみっともなく揉めた。
アーサー様はまだ十代。まだいい。
ロイシュタール様は三十路だ。
大人げないわ。
もう、ロイシュタール様。心が狭いな。
義弟に譲ってあげなさいよ。お義兄様?
結局姫様が『アーサーと乗る!』と
一言で片付けた。
恨みがましい顔でロイシュタール様が
楽しそうにボートに乗る二人を眺める。
──うざい。
湖に浮かぶボートに姫様と満面の笑顔の
アーサー様が乗っている。
オールを手に無邪気に笑うアーサー様。
こんな表情もされるのですね。
仲の良い姉と弟。果たされた約束。
お二人とも良かったですね。
……ところでなんで私がボートを漕いで
いるのでしょうか。
姫様から離れたくないロイシュタール様。
別のボートで姫様達のすぐ近くにいる。
うざい。
しかもボートの漕ぎ手は私だ。
まあ、彼は国王陛下だから身分的に私が
漕ぐのは当たり前ですけれど。
それが分かっていてわざわざ女性に漕が
せるのは、どうなのよ。
しかも他のお付きの家臣や護衛と乗れば
いいのに、女の子と乗りたいと私を指名した
のはロイシュタール様だ。
嫌がらせでしょうか。ふん。やっぱり嫌い。
「清々しいほど嫌われたな。あははは!」
おや、顔にでてました?
失礼、失礼。
ロイシュタール様が私の顔を見て笑う。
「いや、権力を持った今、人に嫌われる事
が新鮮でね!今さら取り繕う必要のない
人間がいるのもいいものだね。
しかもそれがグレンのお嫁さんだ。うける!
いや、君はそのままで変わらずにいてくれ。
面白いから!あはははは!!」
……やだよ。この人絶体に病んでる。
姫様、趣味悪いよぅ。
まあ、でも姫様第一で絶体に大事にして
くれるだろうからいいけれどね。
姫様が幸せなら私は言う事はない。
彼は十二年かかって王女宮を自分の国に
転移させちゃうぐらい執念深い。
案外、これぐらい振り切れた奴の方が
安心してまかせられるかも、姫様は、
何せオズワルドみたいな粘着系のどクズに
狙われているから。
私とアイリスさんは姫様のお側を離れる。
この王様に託したのだから。
私はため息をつくとロイシュタール様に
頭を下げる。
「姫様をよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いされました。
今までありがとう。正直、彼女が変わらず、
こんなに健やかなままでいてくれたのは
君達のお陰だと思う。
それにグレン。あいつを頼むよ。
なんでかな?昔からあれが俺は可愛くてね。
ようやくあいつに添い遂げてくれる相手が
出来た。それがこんなに面白い娘だなんて
ふふ。人生何があるか分からないもんだね」
グレン様が可愛いか。
本当に面白い感性をしてますねこの王様。
魔王様が可愛いか。うん。それは良い。
好感度を少し上方修正する。
「それにしてもアーサーの奴。ボートを漕ぐ
のが下手じゃないか?さっきから同じ場所を
ぐるぐる回っている。それに水飛沫がやたら
上がる。エリザが風邪をひくだろう!
だから俺と乗れば良かったんだ。
俺の方が絶体上手いのに」
……うざい。
そう言うセリフはご自分でボートを漕い
でから言って下さい。
ボートから降りてみんなでお昼をいただく。
敷物を広げクッションを置いて寛ぐ。
ローテーブルの上には豪華なお料理が並ぶ。
明るい陽射しの中でワイワイ食べる。
黒竜は甘い物を嬉々として頬張る。
本当に甘党だ黒竜。それも焼き菓子が
好きなんだよね。
こんなに沢山のお料理があるのになぜか
ずっとお菓子を食べ続ける。
クッキーをボリボリ食べる竜。
青竜はワインをがぶ飲みして満足そう。
こっちは酒好きか。
大酒飲みの竜。
同じ竜でも好みが大分違う。
面白いなぁ。
アルトリア風の料理とキルバンの料理が
半々ぐらい。
キルバンの料理はわりと香辛料が強めだ。
これはこれで美味しい。
私は海老の擂り身を油で揚げた料理が気に
いった。サクサクした衣がついていて甘辛い
ソースをつけて食べる。
これ美味しい。
「みんなでお出かけか。うん。うれしい。
馬も久しぶりで楽しかったわ!
ロイ、ありがとう。あなたが選んでくれた
馬はとてもいい子だわ」
姫様がご機嫌だ。
今までどこにも行けず王女宮で
過ごしてきたから……本当に良かった。
「うん。穏やかな気性のいい馬だよね。
あの子は君の愛馬だったマロンの子なんだ。
産まれた時にアルバートに譲ってもらった」
「え?嘘!本当に?似てるなとは思ったけど
マロンの子供なんだ。
マロンの子供がショコラ……ふふ。
美味しそうな名前……」
姫様が涙ぐむ。ロイシュタール様はそっと
姫様を抱き寄せた。
そんな二人を私達は微笑みながら見ていた。
──うん。この二人は大丈夫。
姫様にはロイシュタール様が付いていて
下さる。
アーサー様も帝国との戦が終わるまでは
キルバンで保護されている。
それにまだアルマさんもキルバンにいる。
身重のために侍女としては暇を出された
けれど、話し相手として姫様のお側にいる。
私とアイリスさんは互いに頷き合った。
安心して離れられる。
翌日、私とアイリスさんは姫様と
アルマさんに別れを告げて
青竜の『穴』を使いアルトリアへと戻った。
いつまでも抱き合う女四人に黒竜が
日が暮れると苦笑していた。
青竜はアルフォンス様が戻るまでキルバンに
残り姫様を守ってくれるそう。
──竜の護衛。正直ありがたい。
黒竜はアルトリアの王都郊外の森まで私達と
一緒に戻った。
けれど、しばらく王都に用があるからと
ここで別れる。
「アイリスは気を失わないな?アニエスは
すぐ気絶するのにな」
黒竜が馬鹿にしたように笑う。
そう、アイリスさんは『穴』を通っても
気絶しませんでした。
私は例によって気絶したのにね。
「いえ結構な圧迫感がありましたね。私も
王女宮が転移した時は気を失いましたよ」
アイリスさんが笑う。
二度目から気を失わないなんて優秀。
うっ、次こそ気を失うものか。
アルマさんからマクドネル卿への手紙は
黒竜から王宮に届けてもらう事にした。
竜の郵便屋さん。
なんだか黒竜には色々お世話になったなぁ。
「黒竜、色々ありがとうね」
「いいさ。お前は俺の血の契約者だ。
気にするな。俺も王都での用がすんだら
辺境へ戻る。それまで達者でな」
「うん。黒竜も元気でね」
黒竜は私の頭をグリグリ撫でると去って
行った。ここからは私とアイリスさんの
女二人だけだ。
北辺境へと繋がる『穴』まで歩いて来た。
黒竜の『穴』だ。
私とアイリスさんは手を繋ぐ。
「行きましょうか。アイリスさん」
「ええ。アニエス、行くわよ」
女二人で手を繋いで『穴』に飛び込む。
暗転した。
私の意識はそこで途絶えた。
雲一つない快晴。
目の前には大きな湖。
透き通るようにきれいな水。小魚が泳いで
いるのが見える。
キルバンはアルトリアより暖かい。
初冬の寒さのアルトリアから、春から初夏の
陽気のキルバンへ。
やっぱり、寒いより暖かい方が体が楽だ。
北辺境で生まれ育ったくせに軟弱だよね私。
「何でアーサーと乗るんだ……」
ロイシュタール様がうざい。
今日は姫様がアーサー様との約束を
守るためにピクニックに来た。
十二年ぶりに果たされる約束。
一緒にお馬でピクニック。
幼いアーサー様と馬で遠乗りピクニック。
楽しみだった日は、悪夢の日になった。
オズワルドのせいで果たせなくなった約束。
妊婦のアルマさんと付き添いの私は馬車。
なぜか黒竜も同じ馬車に乗り込んでいる。
『お、本当だ。キルバンの王様の馬車は
乗り心地が最高だ。うん。中も豪華だ』
そう言って満足そうに馬車の中を
色々触りまくる黒竜。
あ~以前青竜がキルバンの王様の馬車は
乗り心地が良いと言っていたから、
黒竜……乗ってみたかったんだね。
馬車が大好きな竜……やっぱり黒竜変な奴。
他の人達は馬で移動。青竜は馬だ。
乗馬する竜。
なんで当たり前のように竜が二人とも
ピクニックに参加しているのでしょうか。
──謎だわ。
男装に慣れきった姫様はドレスではない
乗馬服にご満悦だ。
この湖へのピクニックは、王宮から
そう遠くない場所で景色が良いからと
ロイシュタール様が姫様とアーサー様の
ために計画して下さった。
私とアイリスさんは明日、キルバンを離れ
辺境へと向かう。
私達との思い出作りにもいいだろうとの
事だった。
うん。ここまでは素晴らしい。
でも、湖に到着したらボートに乗りたいと
姫様が言い出した。二人乗りのボート。
アーサー様とロイシュタール様のどちらが
姫様とボートに乗るか揉める。
それはみっともなく揉めた。
アーサー様はまだ十代。まだいい。
ロイシュタール様は三十路だ。
大人げないわ。
もう、ロイシュタール様。心が狭いな。
義弟に譲ってあげなさいよ。お義兄様?
結局姫様が『アーサーと乗る!』と
一言で片付けた。
恨みがましい顔でロイシュタール様が
楽しそうにボートに乗る二人を眺める。
──うざい。
湖に浮かぶボートに姫様と満面の笑顔の
アーサー様が乗っている。
オールを手に無邪気に笑うアーサー様。
こんな表情もされるのですね。
仲の良い姉と弟。果たされた約束。
お二人とも良かったですね。
……ところでなんで私がボートを漕いで
いるのでしょうか。
姫様から離れたくないロイシュタール様。
別のボートで姫様達のすぐ近くにいる。
うざい。
しかもボートの漕ぎ手は私だ。
まあ、彼は国王陛下だから身分的に私が
漕ぐのは当たり前ですけれど。
それが分かっていてわざわざ女性に漕が
せるのは、どうなのよ。
しかも他のお付きの家臣や護衛と乗れば
いいのに、女の子と乗りたいと私を指名した
のはロイシュタール様だ。
嫌がらせでしょうか。ふん。やっぱり嫌い。
「清々しいほど嫌われたな。あははは!」
おや、顔にでてました?
失礼、失礼。
ロイシュタール様が私の顔を見て笑う。
「いや、権力を持った今、人に嫌われる事
が新鮮でね!今さら取り繕う必要のない
人間がいるのもいいものだね。
しかもそれがグレンのお嫁さんだ。うける!
いや、君はそのままで変わらずにいてくれ。
面白いから!あはははは!!」
……やだよ。この人絶体に病んでる。
姫様、趣味悪いよぅ。
まあ、でも姫様第一で絶体に大事にして
くれるだろうからいいけれどね。
姫様が幸せなら私は言う事はない。
彼は十二年かかって王女宮を自分の国に
転移させちゃうぐらい執念深い。
案外、これぐらい振り切れた奴の方が
安心してまかせられるかも、姫様は、
何せオズワルドみたいな粘着系のどクズに
狙われているから。
私とアイリスさんは姫様のお側を離れる。
この王様に託したのだから。
私はため息をつくとロイシュタール様に
頭を下げる。
「姫様をよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いされました。
今までありがとう。正直、彼女が変わらず、
こんなに健やかなままでいてくれたのは
君達のお陰だと思う。
それにグレン。あいつを頼むよ。
なんでかな?昔からあれが俺は可愛くてね。
ようやくあいつに添い遂げてくれる相手が
出来た。それがこんなに面白い娘だなんて
ふふ。人生何があるか分からないもんだね」
グレン様が可愛いか。
本当に面白い感性をしてますねこの王様。
魔王様が可愛いか。うん。それは良い。
好感度を少し上方修正する。
「それにしてもアーサーの奴。ボートを漕ぐ
のが下手じゃないか?さっきから同じ場所を
ぐるぐる回っている。それに水飛沫がやたら
上がる。エリザが風邪をひくだろう!
だから俺と乗れば良かったんだ。
俺の方が絶体上手いのに」
……うざい。
そう言うセリフはご自分でボートを漕い
でから言って下さい。
ボートから降りてみんなでお昼をいただく。
敷物を広げクッションを置いて寛ぐ。
ローテーブルの上には豪華なお料理が並ぶ。
明るい陽射しの中でワイワイ食べる。
黒竜は甘い物を嬉々として頬張る。
本当に甘党だ黒竜。それも焼き菓子が
好きなんだよね。
こんなに沢山のお料理があるのになぜか
ずっとお菓子を食べ続ける。
クッキーをボリボリ食べる竜。
青竜はワインをがぶ飲みして満足そう。
こっちは酒好きか。
大酒飲みの竜。
同じ竜でも好みが大分違う。
面白いなぁ。
アルトリア風の料理とキルバンの料理が
半々ぐらい。
キルバンの料理はわりと香辛料が強めだ。
これはこれで美味しい。
私は海老の擂り身を油で揚げた料理が気に
いった。サクサクした衣がついていて甘辛い
ソースをつけて食べる。
これ美味しい。
「みんなでお出かけか。うん。うれしい。
馬も久しぶりで楽しかったわ!
ロイ、ありがとう。あなたが選んでくれた
馬はとてもいい子だわ」
姫様がご機嫌だ。
今までどこにも行けず王女宮で
過ごしてきたから……本当に良かった。
「うん。穏やかな気性のいい馬だよね。
あの子は君の愛馬だったマロンの子なんだ。
産まれた時にアルバートに譲ってもらった」
「え?嘘!本当に?似てるなとは思ったけど
マロンの子供なんだ。
マロンの子供がショコラ……ふふ。
美味しそうな名前……」
姫様が涙ぐむ。ロイシュタール様はそっと
姫様を抱き寄せた。
そんな二人を私達は微笑みながら見ていた。
──うん。この二人は大丈夫。
姫様にはロイシュタール様が付いていて
下さる。
アーサー様も帝国との戦が終わるまでは
キルバンで保護されている。
それにまだアルマさんもキルバンにいる。
身重のために侍女としては暇を出された
けれど、話し相手として姫様のお側にいる。
私とアイリスさんは互いに頷き合った。
安心して離れられる。
翌日、私とアイリスさんは姫様と
アルマさんに別れを告げて
青竜の『穴』を使いアルトリアへと戻った。
いつまでも抱き合う女四人に黒竜が
日が暮れると苦笑していた。
青竜はアルフォンス様が戻るまでキルバンに
残り姫様を守ってくれるそう。
──竜の護衛。正直ありがたい。
黒竜はアルトリアの王都郊外の森まで私達と
一緒に戻った。
けれど、しばらく王都に用があるからと
ここで別れる。
「アイリスは気を失わないな?アニエスは
すぐ気絶するのにな」
黒竜が馬鹿にしたように笑う。
そう、アイリスさんは『穴』を通っても
気絶しませんでした。
私は例によって気絶したのにね。
「いえ結構な圧迫感がありましたね。私も
王女宮が転移した時は気を失いましたよ」
アイリスさんが笑う。
二度目から気を失わないなんて優秀。
うっ、次こそ気を失うものか。
アルマさんからマクドネル卿への手紙は
黒竜から王宮に届けてもらう事にした。
竜の郵便屋さん。
なんだか黒竜には色々お世話になったなぁ。
「黒竜、色々ありがとうね」
「いいさ。お前は俺の血の契約者だ。
気にするな。俺も王都での用がすんだら
辺境へ戻る。それまで達者でな」
「うん。黒竜も元気でね」
黒竜は私の頭をグリグリ撫でると去って
行った。ここからは私とアイリスさんの
女二人だけだ。
北辺境へと繋がる『穴』まで歩いて来た。
黒竜の『穴』だ。
私とアイリスさんは手を繋ぐ。
「行きましょうか。アイリスさん」
「ええ。アニエス、行くわよ」
女二人で手を繋いで『穴』に飛び込む。
暗転した。
私の意識はそこで途絶えた。
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