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アニエス、甘い夜
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……ぬくい。あれ?私は、うん?確か広場で
座り込んで……あれ?
薄暗い部屋。もう夜?
ベッドに寝かされて、上掛けの上から
グレン様に抱きしめられている。
グレン様また、上掛けの上で寝てる。
こんなこと前にもあったなぁ。
グレン様の手が冷たい。もう、何も掛け
ないで寝てるから体が冷えている。
私はグレン様に上掛けを掛けようと
ジタバタする。グレン様の腕の中から出ら
れない。えーと。
グレン様、風邪引いちゃいますよぅ。
身動ぎする私に起こされたグレン様が目を
覚ます。金色の瞳と目が合う。
「あんな所で寝るなよ。何かと思ったぞ」
あ、やっぱりあのまま寝たのね。私。
グレン様が運んでくれたのかな。
「このところ睡眠不足で……すみません」
「何をしても起きないから運んだ。
プリシラの侍女が着替えさせてくれたぞ。
……寝不足だけか?どこか具合の悪い所は
ないのか?お前、俺に寿命をとられて
いるだろう。体は大丈夫なのか?」
また、それ気にしてる。
いいじゃん。寿命、半分こで。
「それよりも魔力枯渇の影響が……。
まだ体が完全じゃないのに結構魔力を使い
ましたから……疲れました」
グレン様にロイシュタール様に襲われた
時の状況や、金色の鱗の夢の話。
魔力枯渇から復活するのに
兄達の血をもらった話をした。
「血か……近親間の体液による魔力の譲渡。
あの熊達の血は何か効きそうだな?」
「強いお酒みたいでしたよ。……私、口から
ブレスを吐くうえに、人の生き血を啜る
ような魔物になりましたけれどグレン様、
嫌じゃないですか?」
痛!デコピンされる。何するのよ。もう。
「お前が何者であってもと言ったはずだ。
何度も言わすなアホ」
……ああ、プロポーズの言葉ね。
あれ、今考えるとすごいセリフだよね。
「グレン様、冷えますよ。何も掛けないで
寝たら駄目です。風邪引きますよ?」
私はグレン様に上掛けを掛けようとして
固まる。私また……
エロエロスケスケな夜着を着ている。
「ぎょっ!ぎゃああ~ん!!」
今度はピンクのエロエロスケスケな夜着。
なに?なに?何なの~!!
慌てて上掛けにくるまる。
ため息をつくグレン様。
「……プリシラの仕業だ。どうして俺の周り
の女達はこういうのが好きなんだろうな?
マリーナもエリザベートもプリシラも……。
いい加減我慢の限界だ」
……え~と……え~と。我慢の限界とは。
……あれですか?
グレン様は私をお望みですか?
それとも、イタズラを仕掛ける人達にお怒り
だという意味でしょうか?
……どっちだろう?気になる。
うっ、恥ずかしい。
顔が、いや、全身が熱い。暗いからきっと
グレン様には分からないと思うけれど……。
私、今、真っ赤になっているわ。
ちらりとグレン様を見る。
……優しい目の色。ちょっとドキリとする。
いつもギラギラした瞳なのに、時々違うの。
そんな瞳を見ると胸が苦しい。
切なくなるのはなんで?
「いいから寝ろ。壁に寄りかかって座り
込んで眠っているアニエスを見つけた時は
心臓が止まるかと思ったぞ。
あんな寒い所で寝るなよ。
顔色は悪いし、体は冷たいし、何をしても
起きないから……あまり心配をかけるなよ」
上掛けの上からギュっと抱きしめられる。
ごめんなさい。心配かけて。
──でも今はグレン様の方が寒そう。
私は上掛けをグレン様に掛けようと体を
起こすがグレン様に止められる。
ため息をつくグレン様。
「上掛けの中に一緒に入るのは不味い。
さすがにその気になる。
いいから、気にせずに寝ろ」
そう、言って私の頭を撫でるグレン様。
──その気になってくれてもいいのに。
顔が熱い。やだなぁ。
──私の方がその気だ。
離れていた時間が想いを募らせた?
訃報を聞いたときの不安から?
夢で仰向けで血まみれで倒れていたのを
見た時のショックから?
無事な姿を見た時の安堵から?
──青竜に触れられた肌をグレン様に
………上書きして欲しい。
………何よりもグレン様に触れたい。
馬屋でのキス。あんなに深い口付けだった
のに、物足りないと思ってしまった。
──グレン様が足りない。
え~と。こういう時に誘惑するのは、
どうしたらいいのでしょう?
エロスキルが低いからなぁ。私。
う~ん?足かな?足。
上掛けを剥いで両足を晒す。
ピンクのエロエロスケスケな夜着はやっぱり
丈が短い。上掛けを剥いだだけで足が
丸見えだ。
心臓がバクバクする。
人生、初誘惑。
魔王様は釣れるでしょうか?
ドキドキ。
あ、駄目。恥ずかしくてグレン様の顔が
見られない。どんな表情?
呆れてる?……怖い。
ドキドキ。
フッと太ももにグレン様の息が当たる。
そのまま太ももに口付けられる。
あ、またそんな所にキスマークをつける~!
グレン様の手が私の足を撫でる。
あ、……魔王様が釣れた?
恐る恐る顔をあげるとグレン様と目が合う。
見た事を後悔する。
物凄くギラギラした捕食者の顔。
舌舐りする。肉食獣がそこにいた。
押し倒される私。
自分で誘惑しておいて何だけど、怖い。
ギュっと目を瞑る。
「怖かったり、嫌な事があったら言えよ?」
耳元で低く甘く囁かれる。
ズルい。顔は肉食獣なのに、声が優しい。
──陥落。
初めての夜は砦の一室で。
ピンクのエロエロスケスケな夜着を着て。
私から誘惑した。
それはそれは、甘い夜になった。
座り込んで……あれ?
薄暗い部屋。もう夜?
ベッドに寝かされて、上掛けの上から
グレン様に抱きしめられている。
グレン様また、上掛けの上で寝てる。
こんなこと前にもあったなぁ。
グレン様の手が冷たい。もう、何も掛け
ないで寝てるから体が冷えている。
私はグレン様に上掛けを掛けようと
ジタバタする。グレン様の腕の中から出ら
れない。えーと。
グレン様、風邪引いちゃいますよぅ。
身動ぎする私に起こされたグレン様が目を
覚ます。金色の瞳と目が合う。
「あんな所で寝るなよ。何かと思ったぞ」
あ、やっぱりあのまま寝たのね。私。
グレン様が運んでくれたのかな。
「このところ睡眠不足で……すみません」
「何をしても起きないから運んだ。
プリシラの侍女が着替えさせてくれたぞ。
……寝不足だけか?どこか具合の悪い所は
ないのか?お前、俺に寿命をとられて
いるだろう。体は大丈夫なのか?」
また、それ気にしてる。
いいじゃん。寿命、半分こで。
「それよりも魔力枯渇の影響が……。
まだ体が完全じゃないのに結構魔力を使い
ましたから……疲れました」
グレン様にロイシュタール様に襲われた
時の状況や、金色の鱗の夢の話。
魔力枯渇から復活するのに
兄達の血をもらった話をした。
「血か……近親間の体液による魔力の譲渡。
あの熊達の血は何か効きそうだな?」
「強いお酒みたいでしたよ。……私、口から
ブレスを吐くうえに、人の生き血を啜る
ような魔物になりましたけれどグレン様、
嫌じゃないですか?」
痛!デコピンされる。何するのよ。もう。
「お前が何者であってもと言ったはずだ。
何度も言わすなアホ」
……ああ、プロポーズの言葉ね。
あれ、今考えるとすごいセリフだよね。
「グレン様、冷えますよ。何も掛けないで
寝たら駄目です。風邪引きますよ?」
私はグレン様に上掛けを掛けようとして
固まる。私また……
エロエロスケスケな夜着を着ている。
「ぎょっ!ぎゃああ~ん!!」
今度はピンクのエロエロスケスケな夜着。
なに?なに?何なの~!!
慌てて上掛けにくるまる。
ため息をつくグレン様。
「……プリシラの仕業だ。どうして俺の周り
の女達はこういうのが好きなんだろうな?
マリーナもエリザベートもプリシラも……。
いい加減我慢の限界だ」
……え~と……え~と。我慢の限界とは。
……あれですか?
グレン様は私をお望みですか?
それとも、イタズラを仕掛ける人達にお怒り
だという意味でしょうか?
……どっちだろう?気になる。
うっ、恥ずかしい。
顔が、いや、全身が熱い。暗いからきっと
グレン様には分からないと思うけれど……。
私、今、真っ赤になっているわ。
ちらりとグレン様を見る。
……優しい目の色。ちょっとドキリとする。
いつもギラギラした瞳なのに、時々違うの。
そんな瞳を見ると胸が苦しい。
切なくなるのはなんで?
「いいから寝ろ。壁に寄りかかって座り
込んで眠っているアニエスを見つけた時は
心臓が止まるかと思ったぞ。
あんな寒い所で寝るなよ。
顔色は悪いし、体は冷たいし、何をしても
起きないから……あまり心配をかけるなよ」
上掛けの上からギュっと抱きしめられる。
ごめんなさい。心配かけて。
──でも今はグレン様の方が寒そう。
私は上掛けをグレン様に掛けようと体を
起こすがグレン様に止められる。
ため息をつくグレン様。
「上掛けの中に一緒に入るのは不味い。
さすがにその気になる。
いいから、気にせずに寝ろ」
そう、言って私の頭を撫でるグレン様。
──その気になってくれてもいいのに。
顔が熱い。やだなぁ。
──私の方がその気だ。
離れていた時間が想いを募らせた?
訃報を聞いたときの不安から?
夢で仰向けで血まみれで倒れていたのを
見た時のショックから?
無事な姿を見た時の安堵から?
──青竜に触れられた肌をグレン様に
………上書きして欲しい。
………何よりもグレン様に触れたい。
馬屋でのキス。あんなに深い口付けだった
のに、物足りないと思ってしまった。
──グレン様が足りない。
え~と。こういう時に誘惑するのは、
どうしたらいいのでしょう?
エロスキルが低いからなぁ。私。
う~ん?足かな?足。
上掛けを剥いで両足を晒す。
ピンクのエロエロスケスケな夜着はやっぱり
丈が短い。上掛けを剥いだだけで足が
丸見えだ。
心臓がバクバクする。
人生、初誘惑。
魔王様は釣れるでしょうか?
ドキドキ。
あ、駄目。恥ずかしくてグレン様の顔が
見られない。どんな表情?
呆れてる?……怖い。
ドキドキ。
フッと太ももにグレン様の息が当たる。
そのまま太ももに口付けられる。
あ、またそんな所にキスマークをつける~!
グレン様の手が私の足を撫でる。
あ、……魔王様が釣れた?
恐る恐る顔をあげるとグレン様と目が合う。
見た事を後悔する。
物凄くギラギラした捕食者の顔。
舌舐りする。肉食獣がそこにいた。
押し倒される私。
自分で誘惑しておいて何だけど、怖い。
ギュっと目を瞑る。
「怖かったり、嫌な事があったら言えよ?」
耳元で低く甘く囁かれる。
ズルい。顔は肉食獣なのに、声が優しい。
──陥落。
初めての夜は砦の一室で。
ピンクのエロエロスケスケな夜着を着て。
私から誘惑した。
それはそれは、甘い夜になった。
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