誰からも愛される聖獣に転生したのに、推しにだけ嫌われています

羽里うめこ

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触って

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 はじめて味わった精液は、思っていたよりも不味くなかった。なんなら、むしろ甘くておいしかった気がする。マナの味なのか、それとも天族の精液がもともとこういう味なのか、聖獣の魂が味覚を変えているのかは謎だが、ふつうに飲めてしまった。

(不味いよりはよかった……のか?)

「ちゃんと飲めた?」
「はい」

 フェリックスの問いに頷くと、「いいこだね♡」と頭をよしよしされた。褒められると単純にうれしい。

「リト様、お水だよ」

 ヴィンセントが水の入ったグラスを差し出してくれたので、礼を言って受け取った。冷たくておいしい。

「はじめてなのにえらかったね。しばらくは俺がサポートに入るから、練習がんばろ」
「うん、ありがとう」
「リト様ならすぐ喉でもイけるようになるよ、めっちゃ素質あるっぽいもん」
 
 それは喜んでいいのか謎だが、精液を経口摂取できるようになればマナの吸収量もぐっと増えるはずだ。この調子でがんばろう、とリトは前向きに気合いを入れた。

「それじゃあ、お返しにリトもイかせてあげよう」
「えっ」

 ヴィンセントの手によってきっちりベルトを締め直されたフェリックスが、リトの腕を掴んで膝の上に抱き上げた。リトの手の中の空のグラスを、ヴィンセントが受け取ってテーブルに置く。

「おっ、おれは大丈夫……」
「ほんとに? 乳首ツンってなってるよ」
「あっ♡」

 シャツ越しにそこを指先で弾かれて、びくっと身体が跳ねてしまった。

「殿下」
「このくらいセーフでしょ?」
「ちゃんと同意を得てください」

 フェリックスはリトに向き直ると、そのうるわしい美貌に懇願するような表情をのせた。

「だめ? 挿れたりしないし、気持ちよくしてあげるだけだよ」

 白くうつくしい指先が、シャツの下の乳輪をなぞるようにくすぐってくる。数週間前、そこを意識させられたまま放り出されて、焦れた自らの身体に翻弄されたつらい記憶を、リトはまだはっきりと覚えている。
 ――もう、あんな思いはしたくない。

「触って、って言ってごらん」
「ん……っ♡」

 フェリックスの指の背が、布地を押し上げている乳頭をいたずらにかすめていった。耳元に触れた甘いささやき声に、からだがふるえる。
 リトはとうとう、火照った吐息と共にふるえる声で言ってしまった。

「さわって……♡」




 ソファに腰を下ろしたフェリックスに背後から抱えられる格好になったリトは、お目付け役であるヴィンセントが見守るまえで、フェリックスの手によってひとつずつシャツのボタンを外されていった。

(見られちゃう……おれの、開発済みのえっちな乳首……)

 恥ずかしくて顔が熱いし、引かれてしまうかもしれないと思うと緊張して心臓が痛い。

 シャツがはだけて、胸元が露わになった。無遠慮に注がれるふたりぶんの視線に、リトは思わずぎゅっと目を閉じた。

「ねえリト……? ここ、どうしてこんなにえっちなことになってるの?」
「ひぅ……っ♡」

 簡単につまめるほど大きく育ってしまった乳頭を指の腹でさすりながら、フェリックスが訊いてくる。純粋に不思議そうにされているのがかえって恥ずかしかった。

「じ、自分で……っ、した……」
「自分で? こんなふうにぷっくり大きくなるまで、自分でしちゃったの?」
「んあっ♡ あ、あんん♡」

 両胸の乳首を同時にきゅうっとつままれて、返事のかわりにいやらしい声が出てしまった。泣きそうなくらい恥ずかしいのに、はしたなく興奮してしまう。

「君って……はじめてのセックスは好きな人とがいい、なんて理由で純潔を守っておきながら、ぼくがマナを注いであげてるあいだ、自分でこんなふうにしちゃったここをいつもツンとさせてたんだ」

 フェリックスの形のいい唇が、羞恥で赤くなったリトの左耳へ触れた。

「たまらなくえっちで、かわいいね……♡」
「……っ♡ ぁ、っ♡」

 吐息混じりにささやかれながら乳首をかりかりとされて、びくんっとからだが跳ねた。甘い絶頂にふるえて仰け反る首筋へ、フェリックスが吸い付いて舐め上げてくる。

「ふふ、甘イキしちゃった? もっと気持ちよくしてあげようね♡」

 リトが胸を喘がせているあいだに、フェリックスの両手にボトムのボタンを外されていた。ゆっくりとファスナーをおろされていく音が耳について、いたたまれない気持ちになる。

「……ああ、もう濡れてる。かわいい……♡」

 下着の中でゆるく勃ち上がって濡れていたそれが、フェリックスのうつくしい手で外へ引きずり出された。

(は、恥ずかしい……っ)

 昼間の明るい日差しが差し込む客間で、客人と友人の目前に恥部を晒してしまっている。

(恥ずかしい、のに、見られて硬くなっちゃう……なんで……っ♡)

 視線に晒されているだけで頭をもたげていく自身に戸惑って、リトはじわりと涙を滲ませた。

「大きくなってきた。素直でかわいいね♡」
「あ♡ あっ、あ♡」

 指の腹でやさしく裏筋をすりすりされて、直接的な刺激に下肢が跳ねた。ノアに慰めてもらうことは時々あるが、やはりまだ他人に触れられることには慣れていない。

「ぼくは乳首をかわいがってあげるから、ここはヴィニーによしよししてもらおうね」
「また勝手に決める……」

 ヴィンセントは呆れた様子でそう言ったが、特に渋る様子もなく素直にリトの足元に跪いた。

「先っぽ、きれいなピンク色だね」
「ひゃっ?!」

 己の性器に息が吹きかかるほどの距離にある友人の顔を、リトは驚いて見下ろした。
 整った顔立ちが、にこりとほほ笑む。

「お手本、実践でしてあげる」

 ヴィンセントは言って、その唇をゆっくりと開いた。




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