虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年

第101話 レプニールの恐ろしい力

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「ナ、ナインレフ先生っ!」

 隣でルカが叫ぶ。

「彼女になにをした?」
「知ったところでどうしようもない。しかし教えてやる理由も無い」

 と、レプニールは言うが、

「あの女、レプニール・リーリックランは活性化した自分のズァーグを相手の体内に送り込んで操ることができるのです」

 ルカはテンライトがなにをされたか知っているようだった。

「じゃあ俺たちも……」
「いえ、操られるのは自らで活性化したズァーグを体内に持たない人たちです。通常でそれなりのズァーグを体内で活性化しているナイトが操られることはありません」
「元に戻す方法は?」
「操られている人が自らでズァーグを活性化させれば、レプニールのズァーグを外へ出すことができますが……」

 操られている人が自らでズァーグを活性化。
 しかしそうさせるにはどうしたらいいのか……。

「ふふ……そうか。お前ならばあたしの力にくわしいはずだな」
「?」

 それはどういう意味なのか?
 隣のルカを見下ろすも、レプニールの言葉に対して彼はなにも言わない。

「……操られている人の心へ力を与えるような言葉をかければ、ズァーグの活性化を促せるかもしれません」
「心へ力を与える言葉か」

 一体なにを言えばテンライトの心に力を与えられるのか?
 すぐには思いつけない。

「レプニール。お前は彼女を盾にしてサミオンたちを殺したということか。なるほど。ヨトゥナを相手に戦うには効率的な方法だ」

 ヨトゥナは守護のナイトだ。守るべき者を盾にされると辛い戦いを強いられるのは必然となる。

「お前の答えは少し違う」
「なに?」
「あたしが盾にしたのはこの女だけじゃない」
「えっ……」

 会場内にいる人たちの目が一斉に俺へ向く。

「ま、まさか……」
「まずは首脳どもを操ってやったよ。戸惑ってなにもできないサミオンをどもを殺したのちに首脳どもを殺し、怯えて逃げ出そうとしたそいつら全員もあたしの支配下に置いてやった」
「むう……」

 余裕の笑みを浮かべるレプニールを前に俺も殺されたサミオンたちと同様に戸惑う。

 操られた人たちは戦闘員ではない。だから強くはないだろう。
 しかし彼らを傷つけることなどできるはずはない。

 じりじりと迫って来る周囲の者たち。やがて、

「む……おっ!?」

 ものすごい速さで飛び掛かって来る。
 それは普通の人間が出せるような速さではなかった。

「っと……く」

 四方八方から飛び掛かって来る人間たちの攻撃をなんとかかわす。

 なんだ?

 目にズァーグを集中させると、攻撃してくる人たちの身体が赤いズァーグに覆われているのが見える。恐らくあれが操られている原因だろうが……。

「ハ、ハバンさんっ。このままでは……」
「わかっているよ」

 ルカとともに攻撃を避けつつ答える。
 このままでは埒が明かない。

 一旦、逃げるか? だが奴の目的は俺を殺すことだ。向こうにいるテンライトを殺すと言われれば逃げることはできないか。

「皆、心を強く持てっ! 敵に屈してはならないっ!」

 そう大声で呼び掛けてみるも、しかし皆からの攻撃は止まらない。

「や、やはりダメかっ」
「こいつらの心はナイトの最高位であるサミオンどもをあっさりと殺されたことで怯え切っている。その心に勇気を奮い立たせるなんて不可能だろうよ」
「ぐう……っ」

 怯えた心に勇気を。そうすることで心に強い力を持てるだろうが……。

「俺の呼び掛けでは無理か」

 ルカでも結果は変わらないだろう。
 ならばどうすると考えるも、方法は浮かばない。

「さて、逃げ惑う姿にも飽きたな」

 と、レプニールの持つ赤いレヴァンソードがテンライトの首元に当てられる。

「……っ」
「この意味はわかるな?」

 避ける足を止めた俺はため息を吐いてレプニールへ視線を向けた。

「さあ……死ね。ハバン・ニー・ローマンド」

 操られた人たちが俺の周囲を囲む。

「ハ、ハバンさんっ!」

 ルカが叫んだとき、駆ける足音とともに誰かがこの場へと走り込んで来る。
 視線をそちらへ向けると、見えたのは戸惑いの表情をしたペイナーであった。
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