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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年
第99話 通信機からの声
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「えっ?」
見上げた先には、背中に青い翼を生やしたツクナが浮かんでいた。
「ど、どうなってるんだ?」
「ズァーグで翼を作っただけじゃ。空を飛ぶ戦闘機を相手にするなら必要じゃろう」
「じゃあ町のほうへ行くのか?」
「ツクナはそうする。ハバンはメインホールのほうへ向かうのじゃ」
「えっ? いやけど、メインホールにはヴァルキラスの剣の誰かがいるんだろう? ツクナが一緒に来てくれないと不安だな」
「そう不安になることもないじゃろう。ハバンはそのひとりを倒しておるんじゃからの」
「それはまあ……そうだけど」
確かにヴァルキラスの剣のひとりであるデズター・デルガモットはそれほど強い相手ではなかった。あの程度ならば、護衛のサミオンたちに任せておけばいいとも思う。
「それともハバンがズァーグで翼を作って向こうへ行くかの?」
「俺にそれは作れないよ。わかった。メインホールのほうへ行こう」
先に行ったルカのことも気になる。
「ツクナ、あぶないことはするなよ」
「誰に言っておる。ツクナのほうは心配無用じゃ。それよりもハバン、お前こそあぶないことはせんようにの。危険を感じたら無理はせず逃げてもよい。前にも言ったが、ツクナにとってこれは遊びなんじゃ。遊びで危険を冒す必要など無い。お互いにの」
「う、うん」
そう返事はするも、いざとなったときにはたして逃げてしまえるものかは自信が無かった。
「では気を付けての」
「ああ」
飛び去って行くツクナを見送った俺は、周囲の状況を窺う。
緊急事態発生により、イベントは中止と放送が聞こえる。イベントスタッフは来場者の避難誘導に奔走しており、見回りのナイトもそれを手伝っているようだった。
ピーピー
「うん?」
そういえばここへ来る前にグライドから通信機というものを受け取っていたのだが、それがピーピーと音を鳴らしていた。
「これどうやって使うんだろう?」
腕にはめているそれの一番大きな赤いボタンを押してみる。
『……わ、我々は……』
「お、声が聞こえるぞ」
これも放送ってやつなのだろうか。
「けどなんの放送……」
「これはサミオン、フリッカ・フーラフーラの声だな」
「サミオン、フリッカ・フーラフーラって?」
横で同じように通信機からの声を聞いていたペイナーに問う。
「首脳らの護衛についているサミオンのひとりさ。ヨトゥナでは5本の指に入る優秀なベテランナイトだよ」
「ふーん」
そのサミオンのつらそうな声が通信機から途切れ途切れに聞こえてくる。
「は、敗北……した。護衛は……失敗。会場内のナイ……トは、撤退……を……がはっ……」
そこから声は聞こえなくなった。
見上げた先には、背中に青い翼を生やしたツクナが浮かんでいた。
「ど、どうなってるんだ?」
「ズァーグで翼を作っただけじゃ。空を飛ぶ戦闘機を相手にするなら必要じゃろう」
「じゃあ町のほうへ行くのか?」
「ツクナはそうする。ハバンはメインホールのほうへ向かうのじゃ」
「えっ? いやけど、メインホールにはヴァルキラスの剣の誰かがいるんだろう? ツクナが一緒に来てくれないと不安だな」
「そう不安になることもないじゃろう。ハバンはそのひとりを倒しておるんじゃからの」
「それはまあ……そうだけど」
確かにヴァルキラスの剣のひとりであるデズター・デルガモットはそれほど強い相手ではなかった。あの程度ならば、護衛のサミオンたちに任せておけばいいとも思う。
「それともハバンがズァーグで翼を作って向こうへ行くかの?」
「俺にそれは作れないよ。わかった。メインホールのほうへ行こう」
先に行ったルカのことも気になる。
「ツクナ、あぶないことはするなよ」
「誰に言っておる。ツクナのほうは心配無用じゃ。それよりもハバン、お前こそあぶないことはせんようにの。危険を感じたら無理はせず逃げてもよい。前にも言ったが、ツクナにとってこれは遊びなんじゃ。遊びで危険を冒す必要など無い。お互いにの」
「う、うん」
そう返事はするも、いざとなったときにはたして逃げてしまえるものかは自信が無かった。
「では気を付けての」
「ああ」
飛び去って行くツクナを見送った俺は、周囲の状況を窺う。
緊急事態発生により、イベントは中止と放送が聞こえる。イベントスタッフは来場者の避難誘導に奔走しており、見回りのナイトもそれを手伝っているようだった。
ピーピー
「うん?」
そういえばここへ来る前にグライドから通信機というものを受け取っていたのだが、それがピーピーと音を鳴らしていた。
「これどうやって使うんだろう?」
腕にはめているそれの一番大きな赤いボタンを押してみる。
『……わ、我々は……』
「お、声が聞こえるぞ」
これも放送ってやつなのだろうか。
「けどなんの放送……」
「これはサミオン、フリッカ・フーラフーラの声だな」
「サミオン、フリッカ・フーラフーラって?」
横で同じように通信機からの声を聞いていたペイナーに問う。
「首脳らの護衛についているサミオンのひとりさ。ヨトゥナでは5本の指に入る優秀なベテランナイトだよ」
「ふーん」
そのサミオンのつらそうな声が通信機から途切れ途切れに聞こえてくる。
「は、敗北……した。護衛は……失敗。会場内のナイ……トは、撤退……を……がはっ……」
そこから声は聞こえなくなった。
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