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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年
第88話 ルカを鍛える2
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「……だいぶ基礎からやらなければならないかもしれないね」
「お願いしますっ!」
はつらつな声を聞いて俺はソードを構え直す。
「さて、君は人間がどのようにズァーグを使うかは知っているかな?」
「あ、はい。それは訓練校で習いましたのでもちろん。えっと、まずは周囲にあるズァーグを取り込んで、それを体内で活性化させて身体能力を高めるのです」
「うん。けれど取り込んだズァーグのすべてを活性化できるわけじゃない。ズァーグを扱うには心の強さが必要だ。取り込んだズァーグのうち、自分の心の強さに見合った分だけを活性化して、それが己の力になる。心に見合わない量のズァーグを活性化すればどうなるか? わかるかい?」
「はい。心が強い力に飲み込まれて理性を失い、戦うだけの怪物になると聞きました」
「そうだ。だから自分の心で扱える量のズァーグを知っておく必要がある。ルカ君は身体に取り込んだズァーグを何%くらいを活性化できるんだ?」
「は、恥ずかしながら5%ほどです」
「ふむ……」
勇気も気骨もある少年だ。彼の心ならばもっと多くのズァーグを活性化できるはず。それがたった5%のみになっているのは、己が持つ強さに自信を持っていないこと。あとは戦う理由をうまく闘争心に置き換えることができていないことだろう。
「じゃあ、まずは10%を目指そうか」
「じゅ、10%ですか? 5%の私がそんなに活性化できるでしょうか?」
「自分の強さに自信を持つんだ。それが心の強さになって、扱えるズァーグも増える」
「自分の強さに自信を……」
「君は君が思っているよりもずっと強い。自信を持つんだ。自分のことを弱いなんて思っている人間に、戦いを勝ち抜くことなんてできないんだから」
「……そうですね。わかりました」
俺の言葉になにか感じるものがあったのか、こちらを見つめるルカの瞳に力が宿ったような気がした。
「うん。それじゃあ俺はズァーグの活性化10%で戦う。君は少しずつズァーグの活性化を増やして、その状態の俺と互角に近い戦いができれば合格だ。いくぞっ」
「えっ? いきなり……うあっ!?」
慌てた様子でソードを横に構えたルカは、ぎりぎりで俺の攻撃を防いだ。
――それから数時間が立つ。
休むことなく訓練を続けた俺はだいぶ疲れていたが、それ以上にルカは疲労をしているようで、顔中が汗まみれで荒い息を吐いて今にも倒れてしまいそうだった。
しかしそれでも彼は弱音を吐かずにソードを振るい続ける。その姿を目にした俺は、彼の心はやはり弱くなど無いとふたたび思う。
「……っと、よし。くれくらいにしよう」
うしろに下がってそう声をかけると、ルカはそのまま四つん這いとなる。
「はあ……はあ……」
「大丈夫?」
「へ、平気です。でもかなり疲れました。ハバンさんは平気なんですか?」
「いや、俺も疲れたよ」
疲労困憊の俺はその場に座り込む。
さすがにやり過ぎた。
正直に言うと、途中でルカが疲れ果てて休憩を求めてくると思っていたのだ。それがまさかこっちから終わりを告げることになるとは。
根性もある少年だと、俺は感心した。
「しかしこれだけやったかいはある」
「そ、そうでしょうか? はあ……はあ……」
「気付いていなかったのか? 終わりごろには俺と君はほぼ互角に戦っていたんだぞ」
「えっ? そ、そうだったんですか? けど言われてみればそうだったかも……。あ、でもそれはハバンさんが手心を加えてくれたからじゃないんですか?」
「それじゃあ君の訓練にならないだろう。俺はちゃんと10%で戦っていたよ。つまり君もズァーグの活性化を10%にできていたということさ」
「こ、こんなに短時間でですか? まさか……」
「言っただろう。君は君が思っているよりずっと強いんだ。俺くらいにズァーグの活性化ができるようになるなんてすぐだよ」
「褒め過ぎですよ。私はそんなに強くは……」
「それがダメなんだ。自分を強くないなんて思っちゃいけない。わかったね?」
「は、はい」
とは言うものの、今までの意識をすぐに変えるというのは難しいか。
訓練を続けていき、少しずつというのが現実的に思えた。
「だいぶ疲れたし、今日はもう終わりにする?」
聞いてはいるが、本当は俺がもう終わりにしたかった。
朝から始めて、もう昼はとっくに過ぎている。空腹だし、昼寝もしたい。
きっとルカは自分以上に疲れているはずだから……。
「いえ、ハバンさんさえ良ければ私はまだやれます」
と、ゆらり立ち上がったルカを前に俺は目を見開いて驚く。
たいした少年だ。
それだけ強くなりたいという思いが強いのだろう。
弟子がやるというのに、師匠が音を上げるわけにはいかないと俺も立ち上がる。
「わかった。それじゃあ今度はレーザーの防ぎ方を教えてあげようかな」
「お願いしますっ!」
「うん」
疲れを感じさせない元気な声を聞いて、俺はソードを握り直して訓練を続けた。
「お願いしますっ!」
はつらつな声を聞いて俺はソードを構え直す。
「さて、君は人間がどのようにズァーグを使うかは知っているかな?」
「あ、はい。それは訓練校で習いましたのでもちろん。えっと、まずは周囲にあるズァーグを取り込んで、それを体内で活性化させて身体能力を高めるのです」
「うん。けれど取り込んだズァーグのすべてを活性化できるわけじゃない。ズァーグを扱うには心の強さが必要だ。取り込んだズァーグのうち、自分の心の強さに見合った分だけを活性化して、それが己の力になる。心に見合わない量のズァーグを活性化すればどうなるか? わかるかい?」
「はい。心が強い力に飲み込まれて理性を失い、戦うだけの怪物になると聞きました」
「そうだ。だから自分の心で扱える量のズァーグを知っておく必要がある。ルカ君は身体に取り込んだズァーグを何%くらいを活性化できるんだ?」
「は、恥ずかしながら5%ほどです」
「ふむ……」
勇気も気骨もある少年だ。彼の心ならばもっと多くのズァーグを活性化できるはず。それがたった5%のみになっているのは、己が持つ強さに自信を持っていないこと。あとは戦う理由をうまく闘争心に置き換えることができていないことだろう。
「じゃあ、まずは10%を目指そうか」
「じゅ、10%ですか? 5%の私がそんなに活性化できるでしょうか?」
「自分の強さに自信を持つんだ。それが心の強さになって、扱えるズァーグも増える」
「自分の強さに自信を……」
「君は君が思っているよりもずっと強い。自信を持つんだ。自分のことを弱いなんて思っている人間に、戦いを勝ち抜くことなんてできないんだから」
「……そうですね。わかりました」
俺の言葉になにか感じるものがあったのか、こちらを見つめるルカの瞳に力が宿ったような気がした。
「うん。それじゃあ俺はズァーグの活性化10%で戦う。君は少しずつズァーグの活性化を増やして、その状態の俺と互角に近い戦いができれば合格だ。いくぞっ」
「えっ? いきなり……うあっ!?」
慌てた様子でソードを横に構えたルカは、ぎりぎりで俺の攻撃を防いだ。
――それから数時間が立つ。
休むことなく訓練を続けた俺はだいぶ疲れていたが、それ以上にルカは疲労をしているようで、顔中が汗まみれで荒い息を吐いて今にも倒れてしまいそうだった。
しかしそれでも彼は弱音を吐かずにソードを振るい続ける。その姿を目にした俺は、彼の心はやはり弱くなど無いとふたたび思う。
「……っと、よし。くれくらいにしよう」
うしろに下がってそう声をかけると、ルカはそのまま四つん這いとなる。
「はあ……はあ……」
「大丈夫?」
「へ、平気です。でもかなり疲れました。ハバンさんは平気なんですか?」
「いや、俺も疲れたよ」
疲労困憊の俺はその場に座り込む。
さすがにやり過ぎた。
正直に言うと、途中でルカが疲れ果てて休憩を求めてくると思っていたのだ。それがまさかこっちから終わりを告げることになるとは。
根性もある少年だと、俺は感心した。
「しかしこれだけやったかいはある」
「そ、そうでしょうか? はあ……はあ……」
「気付いていなかったのか? 終わりごろには俺と君はほぼ互角に戦っていたんだぞ」
「えっ? そ、そうだったんですか? けど言われてみればそうだったかも……。あ、でもそれはハバンさんが手心を加えてくれたからじゃないんですか?」
「それじゃあ君の訓練にならないだろう。俺はちゃんと10%で戦っていたよ。つまり君もズァーグの活性化を10%にできていたということさ」
「こ、こんなに短時間でですか? まさか……」
「言っただろう。君は君が思っているよりずっと強いんだ。俺くらいにズァーグの活性化ができるようになるなんてすぐだよ」
「褒め過ぎですよ。私はそんなに強くは……」
「それがダメなんだ。自分を強くないなんて思っちゃいけない。わかったね?」
「は、はい」
とは言うものの、今までの意識をすぐに変えるというのは難しいか。
訓練を続けていき、少しずつというのが現実的に思えた。
「だいぶ疲れたし、今日はもう終わりにする?」
聞いてはいるが、本当は俺がもう終わりにしたかった。
朝から始めて、もう昼はとっくに過ぎている。空腹だし、昼寝もしたい。
きっとルカは自分以上に疲れているはずだから……。
「いえ、ハバンさんさえ良ければ私はまだやれます」
と、ゆらり立ち上がったルカを前に俺は目を見開いて驚く。
たいした少年だ。
それだけ強くなりたいという思いが強いのだろう。
弟子がやるというのに、師匠が音を上げるわけにはいかないと俺も立ち上がる。
「わかった。それじゃあ今度はレーザーの防ぎ方を教えてあげようかな」
「お願いしますっ!」
「うん」
疲れを感じさせない元気な声を聞いて、俺はソードを握り直して訓練を続けた。
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