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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年
第64話 スケベなハバンをツクナが叱る
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ナイトには4つのクラスがあり、クラスサミオンのナイトについては、今さっきゼナイエの言った通りで、以下には3つのクラスがある。
もっとも下がサダ。これはナイトになりたてのルーキーで、任務は師と共にでなければ行うことはできない。ちなみに師の推薦がなければナイトにすらなれない。
サダのひとつ上がサービ。これは師の手を離れ、ひとり立ちをしたクラスだ。単独で任務を行うことが可能だが、その分、命の危険も増し、まだ未熟ゆえもっとも死者の多いクラスでもある。
そしてサービの上で、優秀なナイトに与えられるクラスがサンパーだ。サンパーは弟子を持つことが許され、任務においてはサービ以下のナイトを10人まで使役できる。
サダ、サービ、サンパー、そしてサミオンと、順番に昇格していくのが通常だ。しかし最高師範やサミオンの許しがあれば、ナイトですら無い者にでも上位クラスが与えられる。
今、ゼナイエがツクナにサミオンのクラスを与えたり、ツクナが俺にサンパーのクラスを与えのがそれだ。
俺は事前にヨトゥナやナイトについてツクナから聞いていたので、ナイトでない自分がサンパーのクラスをもらったり、ゼナイエがツクナにサミオンのクラスを与えたのがどれだけ異例かは理解していた。
「ルカの師であるイライゼン・モーヒューは現在、任務で惑星アズガランにはいない」
「いつ戻るのじゃ?」
「グライド」
「あ、はい」
じいさん……グライドが四角い端末を操作する。
「今日の夕方には戻るようです」
「ならば夕方までルカに下の町でも案内してもらおうかの」
「そうするといい。サミオンツクナ、お前にはやってもらいたいことがある。明日になったら我のほうから連絡しよう。それまでは自由を許す」
「うむ。では、お言葉に甘えて自由にさせてもらおうかの」
「う、ううん……」
幼子同士とは思えない重厚な会話だ。
ツクナはともかく、このゼナイエという女の子も年齢に似合わず大人びた子で、俺はなんだか珍しいものでも見るような感覚で2人の会話を眺めていた。
……やがて話は終わり、俺はツクナやルカと共に部屋の外へと出て歩く。
「しかしあんな小さな子が最高師範だったとはな」
絶対にグライドというじいさんのほうが最高師範だと思った。ルカがツクナを自分の師匠だとあっさり信じたのも、ゼナイエという存在があったからなのだろうと、俺は納得する。
「最高師範ゼナイエ・ボーナン様は天才的にズァーグを使いこなすお方な上、まだ6歳という若年でありながらどのナイトよりも深い知識と冷静さを持ったお方なのです」
「へー」
ツクナみたいな天才が他にもいるなんて正直、驚きだ。
「ズァーグは心の強さじゃ。強靭な心でズァーグを使いこなせれば、肉体の成熟は必要ない」
「まあそうだな」
ツクナがズァーグを使えるのも驚くことではない。
「あの子、きっと戦ったらすごく強いんだろうな。それに綺麗な子だった」
俺がそう言うと、前を歩いていたツクナが足を止めて振り返る。
「ハバン」
「ん?」
手招きされて俺が屈むと、
「いたたた……っ」
仮面の下から手を突っ込まれて頬をつねられる。
「ツクナという最高に美しい女が側にいるというのに、他の女を褒めるとは何事じゃ」
「ご、ごめん……」
「まったくハバンは。そうは見えんくせにスケベなんじゃからのう」
「いや、そういう意味で言ったんじゃ……。というか、あんな小さな子にスケベもなにもないだろう」
「むう……」
ツクナが訝し気な目でじっと俺を見上げる。
「では聞くぞ。目の前でリュアンが裸になったらどう思う?」
「暑いのかなって思う」
「ではゼナイエが目の前で裸になったらどう思う?」
「綺麗だなって思う」
「……」
黙ってしまったツクナを前に、どうしたらいいかわからない俺もそのまま口をつぐむ。
「……やっぱりリュアンの言った通りの男かもしれんの。ハバンは」
「?」
リュアンの言ったことってなんだったっけ?
聞いたような気がするも、俺はすっかり忘れていた。
もっとも下がサダ。これはナイトになりたてのルーキーで、任務は師と共にでなければ行うことはできない。ちなみに師の推薦がなければナイトにすらなれない。
サダのひとつ上がサービ。これは師の手を離れ、ひとり立ちをしたクラスだ。単独で任務を行うことが可能だが、その分、命の危険も増し、まだ未熟ゆえもっとも死者の多いクラスでもある。
そしてサービの上で、優秀なナイトに与えられるクラスがサンパーだ。サンパーは弟子を持つことが許され、任務においてはサービ以下のナイトを10人まで使役できる。
サダ、サービ、サンパー、そしてサミオンと、順番に昇格していくのが通常だ。しかし最高師範やサミオンの許しがあれば、ナイトですら無い者にでも上位クラスが与えられる。
今、ゼナイエがツクナにサミオンのクラスを与えたり、ツクナが俺にサンパーのクラスを与えのがそれだ。
俺は事前にヨトゥナやナイトについてツクナから聞いていたので、ナイトでない自分がサンパーのクラスをもらったり、ゼナイエがツクナにサミオンのクラスを与えたのがどれだけ異例かは理解していた。
「ルカの師であるイライゼン・モーヒューは現在、任務で惑星アズガランにはいない」
「いつ戻るのじゃ?」
「グライド」
「あ、はい」
じいさん……グライドが四角い端末を操作する。
「今日の夕方には戻るようです」
「ならば夕方までルカに下の町でも案内してもらおうかの」
「そうするといい。サミオンツクナ、お前にはやってもらいたいことがある。明日になったら我のほうから連絡しよう。それまでは自由を許す」
「うむ。では、お言葉に甘えて自由にさせてもらおうかの」
「う、ううん……」
幼子同士とは思えない重厚な会話だ。
ツクナはともかく、このゼナイエという女の子も年齢に似合わず大人びた子で、俺はなんだか珍しいものでも見るような感覚で2人の会話を眺めていた。
……やがて話は終わり、俺はツクナやルカと共に部屋の外へと出て歩く。
「しかしあんな小さな子が最高師範だったとはな」
絶対にグライドというじいさんのほうが最高師範だと思った。ルカがツクナを自分の師匠だとあっさり信じたのも、ゼナイエという存在があったからなのだろうと、俺は納得する。
「最高師範ゼナイエ・ボーナン様は天才的にズァーグを使いこなすお方な上、まだ6歳という若年でありながらどのナイトよりも深い知識と冷静さを持ったお方なのです」
「へー」
ツクナみたいな天才が他にもいるなんて正直、驚きだ。
「ズァーグは心の強さじゃ。強靭な心でズァーグを使いこなせれば、肉体の成熟は必要ない」
「まあそうだな」
ツクナがズァーグを使えるのも驚くことではない。
「あの子、きっと戦ったらすごく強いんだろうな。それに綺麗な子だった」
俺がそう言うと、前を歩いていたツクナが足を止めて振り返る。
「ハバン」
「ん?」
手招きされて俺が屈むと、
「いたたた……っ」
仮面の下から手を突っ込まれて頬をつねられる。
「ツクナという最高に美しい女が側にいるというのに、他の女を褒めるとは何事じゃ」
「ご、ごめん……」
「まったくハバンは。そうは見えんくせにスケベなんじゃからのう」
「いや、そういう意味で言ったんじゃ……。というか、あんな小さな子にスケベもなにもないだろう」
「むう……」
ツクナが訝し気な目でじっと俺を見上げる。
「では聞くぞ。目の前でリュアンが裸になったらどう思う?」
「暑いのかなって思う」
「ではゼナイエが目の前で裸になったらどう思う?」
「綺麗だなって思う」
「……」
黙ってしまったツクナを前に、どうしたらいいかわからない俺もそのまま口をつぐむ。
「……やっぱりリュアンの言った通りの男かもしれんの。ハバンは」
「?」
リュアンの言ったことってなんだったっけ?
聞いたような気がするも、俺はすっかり忘れていた。
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