虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年

第62話 最高師範ゼナイエ・ボーナン

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「なにこれ? ど、どうなってるんだ?」
「ズァーグでの力で開けたんじゃろう。驚くことではない」
「そうなのか? 俺、そんな使い方は習ってないけど……」
「ハバンが習ったのは剣術に必要なズァーグの使い方だけじゃからな。こういう綿密さが必要なズァーグの使い方は覚えるのに時間がかかるから習わせていない」
「あ、そうなんだ」

 自分が思っていたよりも、ズァーグとは多様な使い方ができるもののようだ。

「さあどうぞ」

 ルカに促されて俺とツクナは部屋の中へと入る。

 中にはずらりとたくさんのイスがあり、そこには2人の人間が座っていた。
 ひとりは立派な白い髭をたくわえた老練という言葉が似合いそうなじいさんで、もうひとりは……。

 子供?

 そこにいたのは長い金髪を左右に結んだ小さな女の子だ。年齢はツクナより下かもしれない。

 その女の子はひじ掛けに頬杖をつき、気の強そうな目でじっとこちらを見つめていた。

 隣に座っているじいさんの孫かなにかかな?

 無難にそう思った。

「来たか。話は聞いている。こちらへ来たまえ」

 老練なじいさんに言われて2人の座るイスの前まで歩く。

「彼らがサミオンツクナ殿とその弟子のハバン殿か?」
「はい。こちらのハバンさんはヴァルキラスの剣のひとりであるデズター・デルガモットを倒し、帝国の侵略をを受けていたデルマ王国を窮地から救いました」
「ほお」

 じいさんの目が俺をじっと見つめる。

「変わった格好をしているな」
「ええまあ。ツクナ……いえ、師匠の指示なので」
「顔を晒せない事情でもあるのかね?」
「そういうわけでは……」
「ではなにか理由が?」
「うーん……」

 なんと答えたらいいものか? 目立つからという理由でこんなものを着せられていると、そう答えて納得してもらえるとは思えないが。

「どうした? 言えぬのか?」
「いえ……」
「弟子はとても目立つ外見をしている。ゆえにこのような格好をさせておるだけじゃ」
「目立つとは?」
「お前が気にすることではない」
「む……」

 ツクナの言葉にじいさんは眉をひそめる。

「お、おいツクナ。最高師範さんにそういう言い方は失礼じゃないか?」

 慌てて俺はフォローをするが、

「違う」
「えっ?」

 違うと言われて首を傾げる。 
 言葉の意味がわからなかった。

「ゼナイエ様、やはりこの2人は信用なりませんのでは?」
「ゼナイエ様? えっ?」

 じいさんが隣の女の子をゼナイエ様と呼んだことに俺は困惑する。

 ゼナイエ……。ゼナイエ・ボーナン。
 それは確か最高師範の名前では……? まさか……。

「ふん」

 ひじ掛けに頬杖をつきながら女の子は鼻を鳴らした。
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