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第3の異世界ー死にたい魔王
第38話 始まるイケメンバトル
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身体の大きな男だ。背は自分よりも高いと思う。
「さあ始めようか勇者よっ! この俺とのイケメンバトルをっ!」
男が黒衣を脱ぎ去る。その下から現れたのは……
「ぐははははっ! 俺様こそがハイパーサタン様に仕えるイケメン5人衆の一角、イケメン・ザ・ストロングこと、グレートバーン様だぁっ! ぐははははっ!」
筋骨隆々のでかい男だ。イケメンと言うだけあって容姿は整っており、身体は魔物のオーガよりも大きく、一目でパワーがあるとわかる。
「むぅんっ!」
グレートバーンはさらに着ている衣服を脱ぎ去り、上半身を裸とする。
「ぐははははっ! どうだこの筋肉はっ! あまりの美しさに眩暈がするだろうっ!」
「きゃーっ! 素敵ーっ!」
身体を披露するようなポーズをとるグレートバーンに、観衆の女たちが声を上げる。
「あんなの筋肉の塊なだけで、ぜんぜん良くないですよっ! ねえハバンさんっ?」
「いや、俺に聞かれても……。ツクナはああいうの好きなんじゃないか?」
なんか筋肉とか好きらしいし。
「馬鹿にするな。ツクナが好きなのは芸術品のように美しく鍛え上げられた肉体じゃ。あんなただ筋肉をつけただけの肉体などに興味は無い」
「そ、そうなのか」
以前に部屋で見たポスターの男が美しく鍛え上げられた肉体の持ち主だろうか? 俺にはその男と目の前の男との違いがよくわからなかった。
「さあ勇者よっ! 貴様も脱いで肉体を披露するがいいっ!」
「えっ? ぼ、僕も脱ぐのか?」
「ふっ、貴様も戦いを主とする男だろう。ならば肉体以外なにでイケメン度を現すというのだ?」
「むう……そうだな」
そうなの?
首を傾げる俺の眼下でデムーロニーも衣服を脱いで上半身を裸とする。
デムーロニーもなかなか鍛え上げられた肉体をしているが、相手のほうが何倍も身体はでかい。単純な殴り合いならば分は悪そうだが……。
「どっちが勝つと思う?」
イケメンバトルなどという女性が判定する珍妙な対戦方法では、男の俺に勝敗の予想はできない。
「向こうの男じゃな」
「えっ?」
考えることもなくツクナが答える。
「どうして……」
「見ていればわかる」
「う、うん……」
両雄が相対する舞台に視線を戻す。
はたしてどのように戦い、決着をするのか? 成り行きを見守った。
「ふむ、なかなか良い身体をしているが、俺の相手ではないな」
「な、なに?」
「さあ判定を頼むぜレディたちっ!」
「うん? あれは……」
舞台の上空に看板のようなものが2つ現れる。そこには数字のゼロが並んで表示されており、それぞれの上部に舞台で向かい合う2人の名前が書いてあった。
ゼロだった表示はやがて別の数字に変化していき……。
「む……」
デムーロニー40。グレートバーン60。最終的に数字はそう表示された。
「ふっ、俺の勝ちだな」
「くっ……」
デムーロニーが膝をつく。
「あーっ! 負けちゃいましたよーっ!」
「そ、そうだね」
いや、どういう判定基準なんだ……。
「やはりの」
「どういうことだ? なぜデムーロニーは負けたんだ?」
「2人の男をよく見るのじゃ」
「うん」
デムーロニーとグレートバーンを凝視する。
「2人のイケメン度は同じくらいじゃろ。肉体の美しさも同じくらいじゃ。ならば単純に筋肉の量で判断する者が多いということじゃ」
「な、なるほど」
わからん。
しかしいきなり勇者が負けてしまうとは。これはかなり厳しい。
「ぐははっ! さあ勇者よっ! イケメンバトルで敗北した者の末路はわかっているなっ?」
「……わかっている」
立ち上がるデムーロニー。そして、
「あっ!?」
「うおおおおっ!」
走り出し、丸い地面の端から崖下に飛び降りてしまう。
「えっ? あ……ほ、本当に自害したのか?」
「それがイケメンバトルのルールですから……」
リュアンの暗い声音を聞き、俺はグッと唾を飲み込む。
これがイケメンバトル。
命懸けでやるには、なんて馬鹿らしい対決方法なんだろう。
「あ、で、でも勇者のデムーロニーが死んだら……」
目的が達成できないのでは。
「問題ない。ともかく今は奴らとの戦いに集中すればよい」
「えっ? あ、そ、そうなの?」
まあツクナがそう言うならばと、俺は懸念を胸にしまい込む。
「ふふふ……早速、勇者が敗北か。これは我らの勝利が決まったようなものだな」
対面の崖上で黒衣の男がせせら笑う。
「さあ始めようか勇者よっ! この俺とのイケメンバトルをっ!」
男が黒衣を脱ぎ去る。その下から現れたのは……
「ぐははははっ! 俺様こそがハイパーサタン様に仕えるイケメン5人衆の一角、イケメン・ザ・ストロングこと、グレートバーン様だぁっ! ぐははははっ!」
筋骨隆々のでかい男だ。イケメンと言うだけあって容姿は整っており、身体は魔物のオーガよりも大きく、一目でパワーがあるとわかる。
「むぅんっ!」
グレートバーンはさらに着ている衣服を脱ぎ去り、上半身を裸とする。
「ぐははははっ! どうだこの筋肉はっ! あまりの美しさに眩暈がするだろうっ!」
「きゃーっ! 素敵ーっ!」
身体を披露するようなポーズをとるグレートバーンに、観衆の女たちが声を上げる。
「あんなの筋肉の塊なだけで、ぜんぜん良くないですよっ! ねえハバンさんっ?」
「いや、俺に聞かれても……。ツクナはああいうの好きなんじゃないか?」
なんか筋肉とか好きらしいし。
「馬鹿にするな。ツクナが好きなのは芸術品のように美しく鍛え上げられた肉体じゃ。あんなただ筋肉をつけただけの肉体などに興味は無い」
「そ、そうなのか」
以前に部屋で見たポスターの男が美しく鍛え上げられた肉体の持ち主だろうか? 俺にはその男と目の前の男との違いがよくわからなかった。
「さあ勇者よっ! 貴様も脱いで肉体を披露するがいいっ!」
「えっ? ぼ、僕も脱ぐのか?」
「ふっ、貴様も戦いを主とする男だろう。ならば肉体以外なにでイケメン度を現すというのだ?」
「むう……そうだな」
そうなの?
首を傾げる俺の眼下でデムーロニーも衣服を脱いで上半身を裸とする。
デムーロニーもなかなか鍛え上げられた肉体をしているが、相手のほうが何倍も身体はでかい。単純な殴り合いならば分は悪そうだが……。
「どっちが勝つと思う?」
イケメンバトルなどという女性が判定する珍妙な対戦方法では、男の俺に勝敗の予想はできない。
「向こうの男じゃな」
「えっ?」
考えることもなくツクナが答える。
「どうして……」
「見ていればわかる」
「う、うん……」
両雄が相対する舞台に視線を戻す。
はたしてどのように戦い、決着をするのか? 成り行きを見守った。
「ふむ、なかなか良い身体をしているが、俺の相手ではないな」
「な、なに?」
「さあ判定を頼むぜレディたちっ!」
「うん? あれは……」
舞台の上空に看板のようなものが2つ現れる。そこには数字のゼロが並んで表示されており、それぞれの上部に舞台で向かい合う2人の名前が書いてあった。
ゼロだった表示はやがて別の数字に変化していき……。
「む……」
デムーロニー40。グレートバーン60。最終的に数字はそう表示された。
「ふっ、俺の勝ちだな」
「くっ……」
デムーロニーが膝をつく。
「あーっ! 負けちゃいましたよーっ!」
「そ、そうだね」
いや、どういう判定基準なんだ……。
「やはりの」
「どういうことだ? なぜデムーロニーは負けたんだ?」
「2人の男をよく見るのじゃ」
「うん」
デムーロニーとグレートバーンを凝視する。
「2人のイケメン度は同じくらいじゃろ。肉体の美しさも同じくらいじゃ。ならば単純に筋肉の量で判断する者が多いということじゃ」
「な、なるほど」
わからん。
しかしいきなり勇者が負けてしまうとは。これはかなり厳しい。
「ぐははっ! さあ勇者よっ! イケメンバトルで敗北した者の末路はわかっているなっ?」
「……わかっている」
立ち上がるデムーロニー。そして、
「あっ!?」
「うおおおおっ!」
走り出し、丸い地面の端から崖下に飛び降りてしまう。
「えっ? あ……ほ、本当に自害したのか?」
「それがイケメンバトルのルールですから……」
リュアンの暗い声音を聞き、俺はグッと唾を飲み込む。
これがイケメンバトル。
命懸けでやるには、なんて馬鹿らしい対決方法なんだろう。
「あ、で、でも勇者のデムーロニーが死んだら……」
目的が達成できないのでは。
「問題ない。ともかく今は奴らとの戦いに集中すればよい」
「えっ? あ、そ、そうなの?」
まあツクナがそう言うならばと、俺は懸念を胸にしまい込む。
「ふふふ……早速、勇者が敗北か。これは我らの勝利が決まったようなものだな」
対面の崖上で黒衣の男がせせら笑う。
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