虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第3の異世界ー死にたい魔王

第36話 イケメンバトル

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「なにそれ?」
「知らないんですかっ!?」
「うん」

 どんな対決方法なのかさっぱりわからない。

「イケメンバトルとは、イケメン同士が己のイケメン度で勝負を行い、負けたイケメンはその場で自害しなければいけない対決なんですっ!」
「なにそれ怖い」

 すごいアホらしい対決方法なのに、負けたら自害って怖すぎる。

「いや、そんなの受けないよ。ばかばかしいし」
「待ってくださいっ! イケメンがイケメンバトルを申し込まれて断ることは、ものすごく恥ずかしいことなんです。自分のイケメン度が相手より劣ってるって認めるようなものですからね」
「別にいいよ。イケメン度とか興味無いし」

 こんなアホらしいバトルで負けて自害なんてしたほうが恥ずかしい。

「よいではないか。受ければ」
「ツクナ? いやでも……」
「いま調べたんじゃが、あの幹部連中はかなり容姿に優れているらしい。普通に戦えば、負けはないにしても、かなり苦戦をすることになりそうじゃ」
「そ、そうなのか」

 この世界では外見の優れている者が強い。確かに容姿の優れた連中を5人も相手にすると、かなり厳しい戦いを強いられることになるかもしれない。

「どうだイケメンバトルを受けるのか? 受けないのか? 我々はどっちでもいいぞ」
「むう……」

 俺はチラリとデムーロニーへ視線を移すと、彼はこちらを見てゆっくりと頷く。

「わかった受けよう」

 それが最善であると判断した俺は、イケメンバトルという奇妙な戦いを受けることにした。

「よし。では戦いの舞台を用意しようか」
「戦いの舞台?」

 用意? 今から? それともどこかへ移動するのか?

 疑問を浮かべる俺の前で、男は両手を大きく広げる。

「いざ現れよっ! イケメンバトルの舞台よっ!」
「うおっ!?」

 男の身体が光り輝く。
 その眩しさに目を瞑り、光の収まりを感じて瞼を開く。と、

「ここは……?」

 さっきまでいた場所ではない。俺たち4人はいつの間にか崖の上に立っており、眼下には断崖に囲まれた丸い石造りの地面があった。そして、

「あれはなんだ?」

 その丸い地面から少し離れた位置には、階段だけの幅広い物体が浮いていた。それはどこに繋がっているわけでもなく、本当に階段だけの不気味なものだ。

「魔法でどこか別の場所に移動したのか? リュアン?」
「いえ、魔法でそんなことはできないはずですっ。こ、これは……一体っ」
「空間変異じゃな」
「空間変異?」
「ここはさっきまでいた場所と同じじゃ。それなのに周囲の光景が変わってしまったということは、いまいるこの空間が変異してしまったと考えるしかない」
「魔法でそんなことができるのか?」
「そんな魔法は魔王のわたしでも聞いたことが……」
「ならばハイパーサタンとやらが新たに開発した魔法なのかもの」
「ま、魔法の開発なんてできるのっ?」
「魔王のお前でもできないのならば、本来は不可能なのかもの。しかしその不可能を可能にしたならば、ハイパーサタンとやらは、想像以上に強敵かもしれんのう」

 淡々と語るツクナの言葉にリュアンの身体が震える。

 魔法の開発がどれほどすごいことなのかはわからないが、魔法に精通しているであろうリュアンの様子から、ハイパーサタンがいかに手強い相手かということはわかる。

「そのハイパーサタンから魔法を教わったあの連中も相当につわものということか」

 反対側にも同じ崖があり、そこには黒衣の男たちが立っていた。

「ふははははっ! 我ら5人を相手にイケメンバトルを受けるとは、自分のイケメン度に自信を持ち過ぎているようだなっ!」
「そんなつもりはない。けどこっちは2人でそっちは5人だ。対決の方法に数の不利はないんだろうな?」
「もっとも優れたイケメンが勝つ。それがイケメンバトルだ。こちらが1000人いようと2000人いようと、お前たちのどちらかがイケメン度で我ら全員に勝ればいいだけのこと。数の有利不利など些細なことだ」
「うーん……」

 そのイケメン度がよくわからん。
 一体、どうやって勝ち負けを判定するんだろう?
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