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シーツの海に揺蕩う (R18)

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「妹さんが居るなんて知らなかったから……。勘違いをして恥ずかしいからあまり言わないで」

 そう言いながら、沙羅は安堵の息をつく。
 会えないと思っていた慶太の顔を見た瞬間、好きだという気持ちが溢れて、一緒に居たいとしか考えられなくなっていた。
 加速した恋心は、周りを見えなくさせる。
 もしも、慶太が誰かと婚約をしていたとしても、見て見ぬふりをして慶太と居る事を選んでしまったかも知れない。
 不倫で嫌な思いをしたのに、間違いだとわかっているのに、慶太を好きな気持ちは止められずに、暴走してまっただろう。

 沙羅は、自分の中からそんな感情が湧き出た事に複雑な気持ちさせられた。
 遊びであろうが、本気であろうが、不倫や不貞は人を傷つける行為だ。
 サレ側の痛みを知る以上、スル側にはなりたくない。

「沙羅、うつむいていないで俺のことを見て……。まだ、心配事があるの?」

「ううん、慶太に婚約者が居なくて良かったなぁって、安心していたの」


 そう言って、微笑む沙羅の後頭部へ慶太の大きな手がまわり、頭を固定される。
 そして、綺麗な切れ長の瞳が真っすぐに見つめた。

「そう、こう見えても俺、一途だから沙羅は安心していていいよ」

「ふふっ、慶太みたいに素敵な人に想われて、私、幸せね」

 ふたりの距離が近づき、チュッとキスを落とされる。

「だから、いまは余計な事は考えないで、俺のことだけ考えて」

「慶太……」

 瞼を閉じると、再び唇が重なる。はむような短いキスを繰り返し、徐々に深いキスへと向かう。

 怖いほど、幸せすぎてジンと心が痺れてるような感覚に囚われる。

甘く蕩けるようなキスを何度も繰り返し、息が上がり始める。
 沙羅はカットソーを大胆にたくし上げ、キャミソールに包まれた肢体が露になった。
 もどかし気にキャミソールをはぐと、ダウンライトの光の下で、沙羅のなめらかな素肌は艶めかしく見える。
 スッと細めた慶太の瞳は艶を帯び、大人の色気を放つ。

「沙羅、好きだよ」

 慶太に耳元で囁かれ、それをくすぐったく感じた沙羅は身をよじりながら、照れたようにつぶやく。

「……ばか」

 沙羅の細い首筋をなぞるように慶太の舌が這い、体の奥からゆっくりと官能が引き出されていく。

「あっ……」

 胸元にチュッと強く吸い付かれ、沙羅の体がピクリと跳ねる。
 上目づかいで慶太に婀娜あだっぽく見つめられ、ひどく恥ずかしい。
 やがて、唇が離れると、所有痕が赤い花のように残されていた。 
 それを見た慶太が満足気に微笑む。

「ん、綺麗だ」

 所有痕を残された沙羅は火照った顔を背ける。でも、心の中では嬉しく思っていた。
 好きになればなるほど、胸が切なく痛む。
 慶太を信じると決めたけれど、慶太のような素敵な人に自分が釣り合うのか自信が持てない。
 けれど、情熱的に愛されていると、自分でもいいんだと思えてくる。

 恋は綺麗な感情ばかりでなく、自分のダメな面や嫌な面とも向き合う事になる。誰かを好きになる事でこんなに不安定になるなんて、怖いとも思った。
 もっと精神的に強くなって、慶太に与えてもらうばかりでなく、慶太を支えて行けるようになりたい。
 
 沙羅は、慶太に手を伸ばす。

「慶太、好き」

 広い背中に手をまわし、ギュッと抱きしめる。
 合わさる素肌から、温かな体温を感じた。


 波打つシーツに揺蕩いながら、縋るように布を掴んだ。
 大きな手に胸を揉みしだかれ、激しく息が弾む。
 口から漏れる声は甘く切なく響く。肌には薄っすらと汗が浮き上がり、艶やかな生々しさで慶太を誘う。
 
「沙羅……」

 汗に濡れた肌の上を慶太の指先がゆっくりと伝い降りていく。
 胸から鳩尾へ、お臍の脇を通り、足の付け根へと移動した。
 たまらない感覚に沙羅の腰はヒクりと震える。

「っん……あっ」

 薄い茂みのその奥にある花芽を捉えると、愛おし気に撫でられる。淡い快感が全身をかけ巡り、短い声が上がる。
 腰が疼いてたまらず、はぁはぁと乱れた息を吐き出した。

「気持ちいい?」

「……ばか」 

 意地悪な問い掛けに憎まれ口で返す。
 すると、お仕置きとばかりに胸の先端を甘噛みされる。
 その刺激に沙羅の体は大げさなほど反応してしまう。

「ふぁっ……ぃやっ」

「ん、気持ちよさそうだけど……どこがイヤ?」

 胸の先端を舌先で濡らしている慶太が顔を上げた。自然と上目づかいになり、色っぽい。
 慶太が触れた部分のすべてが気持ちいい。けれど、そんな事を口にできるはずもなく沙羅は、首をイヤイヤと横に振る。
 普段は優しいくせに、こういう時の慶太は意地悪な気がした。

「沙羅、気持ち良くなって……」

 そう言って、ピンッと指先で花芽がはじかれる。
 反射的に腰が跳ね、「あっ、」と鼻に掛かった声が漏れた。
 そして、濡れそぼった場所へ節のある指が入り込み、与えられた快感で粟肌がたつ。
 
「けい…た……」

 沙羅は、ねだるように慶太の名前を呼んだ。
 何度も内側の敏感な部分を撫でられ、頭がぼうっと痺れてくる。
 でも、もっと慶太が欲しくなり、じれったくなってしまう。

「やっ……。もっと……」

 喘ぎ声は、嫌がっているのか、欲しがっているのか、甘くかすれて喜んでいるようにしか聞こえない。
 
 
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