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217.2回目の学園祭5
しおりを挟む去年訪れた魔術学園都市の学園祭。強国と言われるサンディーテ国の第三王子である俺、コウウとしては兄たちに押し付けられて付き合いで渋々参加する程度の…移動するにも遠いしで面倒な催しでしかなかったはずだった。彼に目を奪われるまでは…。
サンディーテは大陸の端に位置する国土面積は大陸随一を誇る国である。
しかしながら国土の殆どは何もない砂漠が占めている。その為面積にしては人口はそう多くないが、過酷な環境が故か、屈強な兵士が多い。だから学園の卒業生などに頼らなくとも、国力としては問題ない水準を保つことが出来ていた。脳筋ばかりなのは問題だけどねぇ。
オレは鷹の獣人として誇り高いαとして生きてきたが、あれ程のΩにお目にかかったのは初めての経験だ。王子として散々優秀だというΩを紹介されてきたのに。
伴に連れてきた従者に早速彼のことを調べさせた。番を既に得ている、という情報には些かがっかりさせられたが…それでも側に置きたいと思わせる魅力がある。強さも然ることながら、戦闘慣れしていることを感じさせる冷静さ、魔法の正確性。全てにおいて逸材と言っていい。
今年、アプローチしてみようと思ってるけど、彼にとって欲しいもの、交渉材料に出来そうなこと、なんなんだろうなぁ?調べてくれたけどガード固くて彼の好みとか全然分かんなかったし。密偵送っても成果なし。おかしいよねぇ。国でも優秀な奴らに行かせてるのにさぁ。
1年あったのに情報ゼロ、びっくりだね。
「はぁ…欲しいなぁ彼。どうしたらウチの国来てくれると思う?ノックス」
「諦めるのが無難だと思うけどな…。絶対に手ぇ出したらヤバイ。」
「うーん…やっぱりそう思う?でもさぁ…ナルアくん、すっごい強いし、良い子だし!よくない?」
「まぁ、分かるがな。竜人抑えて1位らしいしな。ただ、手を出したら尽く潰される、って噂、本当の事らしいぞ。」
「えぇ?でもでもぉ…諦めきれないよねぇ」
「はぁ…俺は知らないからな。」
「とか言いつつ、付き合ってくれるじゃん?ノックスは」
「お前が、王子で俺はお前の護衛だからな。仕方なくだ」
「ふーん?あはは!眉間にシワよりすぎ!」
「誰のせいだと…まぁいい。出発するぞ」
「ん、そうだね。楽しみだなぁ。魔術学園都市!」
「去年とはえらい違いだな…全く…あんまりはしゃぐなよ。」
「はぁい」
幼い頃から騎士を目指していたノックスは、見習いとして城に上がっていて、幼い頃から俺の側にいた。だから色々分かってくれてるし、俺としても素で接する事のできる数少ない友人だ。
今年は楽しくなりそうだなぁ、学園祭。頑張って口説き落とそうと思うけど、まぁ無理で元々、だよねぇ。気軽に行こう。最悪、彼の魔法見れるだけでも楽しいし!
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