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211.魔術学園2年生25
しおりを挟む今年もやって来ました、テストの季節!
俺は相も変わらず、必死で頭に叩き込んでいる。余裕そうな二人を尻目に、教科書に目を滑らせる。よし!魔法陣は大丈夫そうだな!
次は契約魔法…制約の言葉にも種類が沢山あって、同じ内容で契約を結んでもらうのだとしても、どんなふうに契約に持っていくかで異なったりする。
例えば、魔物に食べ物をあげて手懐けて契約するのなら、友好的な内容になるし、戦ってこちらが上だとわからせて契約をするのなら、上下関係的な内容が含まれたりする。だからといって、契約の内容は同じなのだ…。
だったら1種類でいいだろう!!と本気で思う。でも成功率が変わるんだってさ…。難しいよね…。
「頑張れよナルア」
「うん…っていうか今回は本気でやるんだよウェネル!!」
「嫌だ」
「駄目!」
「面倒くさい…」
「もー!ククルも言ってやってよ!」
うんうん、唸りながら勉強する俺。何故か余裕そうなウェネル。上位を目指す気は今回も無いのだろう。静かに勉強しているククルにも、発破をかけるように頼んだのだが…
「いいんじゃないか?自分のペースでやれば」
「ふっククルは俺の味方…」
「もう!そうやってククルがウェネルを甘やかすから!」
この通りで、全くもって駄目だ。暖簾に腕押し…
いや、この世界に暖簾なんてないんだけどさ?暖簾って確かに押してもなんとも言えない感じだよね?手応え無いしさ。するするって滑っていっちゃう感じでさ。でもなんかその感じが好きで、ひらひらしている暖簾にパンチしたりするの好きだったなぁ…子供の頃。
はぁ…現実逃避的な思考から抜け出して、なんとかウェネルにやる気を出させる方法を探したい。けど、俺も追い詰められている。ククルに丸投げしたい。けどククルもウェネルはそのままでいいと思っている。
あー…どうしてくれようか…
「あー、そうだ、ティアウェルも学園祭見に来るんだよ。格好いいところ俺とククルだけが見せつけちゃおうかな!」
「っ…俺もやる」
「うんうん、頑張ろうねー」
「ふふっ存外単純だな。ウェネルも」
ティアウェルを可愛がっていたことを思い出して、話題に上げてみればウェネルの態度は一変した。ティアウェル、可愛いもんね!格好いいって思われたいよねぇ。わかる!
何はともあれ、やる気を出してくれたのならそれでいい!ティアウェルで釣ったような感じだし、ウェンさんに怒られそうだけど…。それも甘んじて受け入れますとも…。
寝ても起きても勉強漬けの日々を送ること2週間。テストの前日。もうやるだけやったと、開き直ってテスラさんをモフっていた。俺よりも大きなジャガーのキラリと光る金の目が格好いい。
「テスラさん…格好いい。好き」
「ぐるるるる」
「んふふ、ありがとう。テスラさん。我慢させてごめんなさい。あと少し待ってて下さいね。」
「ぐるる」
最近は勉強しているのを邪魔しないように、スキンシップも少なめだったし、触れ合うのは眠るときくらい。テスラさんが俺に触るのを我慢してくれていたのは知っている。普段ならべったりくっついている俺達だ。
撫で撫でしながらくっついていると、暖かくて心地よく眠ってしまっていた。
寝てしまったナルアに優しく布団をかけて、そっと抱きしめる。
「ナルア、テスラが終わったら覚悟しておけ。おやすみ愛しい子」
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