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210.魔術学園2年生24
しおりを挟む今日も元気に登校してきて早々ミミス先生に呼び出された。暇な時に3人揃ってこい、とのこと。心当たりはある…。多分アレだよね、徘徊ボスの話。徘徊ボスなどのダンジョンの異常事態時は普通なら即退避と教えられている。
そこを俺達は堂々倒しに行ってるから、お叱りを受けるのかもしれない…。うぅ…調子に乗り過ぎたか…。でもテスラさんもリオネルも居たら心強いし絶対に大丈夫って確信があったからな。ノエルも居たから最悪逃げるのも楽勝だし。
という言い訳は沢山思い付くけど、ちゃんと怒られたのならちゃんと反省して謝るのが一番だよね。
「おはよーククル」
「おはようナルア。ミミス先生に聞いたか?」
「うん…やっぱり怒られるのかなぁ…」
「どうだろうな。そんな様子には見えなかったが…」
ククルと話しているとぬるっとウェネルも合流してきた。普段の気だるげな様子よりも更に嫌そうな顔をしている。
「呼び出し…だるい…」
「そういうこと言わないの!ウェネル、おはよう」
「そうだぞウェネル。おはよう」
「はよ…いつ行くの?早めに終わらせたいんだけど」
「んー、じゃあ昼にでも行く?」
「俺はそれで構わないが」
「じゃあそれで」
もはや恒例となりつつあるお呼び出しに応えて、三人でミミス先生の元を訪れていた。覚悟を決めて部屋に入ったんだけど、どうやら怒られる感じの雰囲気じゃない。
「来たか。座れ。」
「「「はい」」」
「お前たち、徘徊ボスを倒したらしいな。」
「はい…」「すみません…」「…」
責めるような言い方ではないが、ミミス先生の口から出たのは案の定といった話題だった。
「…何をそう暗い顔をしている?礼状が来ているぞ、ギルドマスターからな。冒険者の命も救ったと報告を受けている。よくやった」
「「「……」」」
……褒められた…?ぽかんとしていると、先生から若干呆れているような表情でちらりと俺に目線が向く。ギルドから礼状…?よくやった…?
「なんの反応もなしかお前たち。褒め甲斐のない…まぁいい、一応聞いておくが危険はなかったんだな?」
「はい!」
よかったー!!怒られる用事じゃなかった!ふふっ
逆に褒められちゃうなんて、人助けはするものだね。あのときの肉食獣パーティーが報告したのだろうか?
「ふっ急に元気になったな。」
「だって怒られるんだって思ってました」
「ん?あぁ、徘徊ボスに向かっていったことについてか。しかし付き添う冒険者が危険でないと判断したならそれでいいんだ。あれはあくまで安全に探索するためのルールだからな。しかし…お前達という前例が出来た事で、学園生達が自分の実力を勘違いして無謀に向かっていく者が増えたら困るのでな、言いふらす事の無い様に。」
「「「はい」」」
「いい返事だ。あと、ギルドに行ったら受付に言って徘徊ボスの討伐特別報酬を受け取るように。話は以上だ。」
「「「はい」」」
来たときの憂鬱な気分は吹っ飛んで、ルンルンで部屋を出た。
「えへへ!褒められたー!」
「やけに嬉しそうだなナルアは」
「ね、アホ面…」
「んふふ、だってだってミミス先生に褒められるのって嬉しいんだもん!ってかウェネル、アホ面って酷いよ!ウェネルももっと笑お?ほらー」
俺のゆるゆるの顔をアホ面などと称してくれたお返しに、ウェネルの頬を引き上げるように軽く引っ張ってやる。基本的に仏頂面だからね。
「…ひっぱん…にゃ…」
「あはは!可愛い!にゃって!」
「はははっ仲がいいな」
俺達が笑うとパシリと手を払われた。
「くそっ…笑ってないでとめろよククル」
「ふふっ笑っているお前を見てみたいと思ってな。悪いが助けなかった」
「はぁ…頬を引っ張っても笑顔にはならないでしょ…だる…さぼろうかな…」
「駄目だよー、次の授業行くよーウェネル。」
「そうだぞ、行くぞウェネル」
「はいはい…」
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