203 / 239
201.魔術学園2年生15
しおりを挟む学園に行く前に一度様子を見に行けば、ナルアも起きていたので連れて行くことにした。もちろん抱き上げてだが。リオネルの前で抱き上げられて恥ずかしがっていたがそれよりもナルアの身体が優先だ。まだ辛いだろうからな。
「ウェン、少し出る。」
「了解っす。三人でどこ行くんすか?」
「ああ、少し学園に行く。」
「学園?」
「リオネルの実力を見る為に相手を探しにな。」
「ああ、なるほどっすね。行ってらっしゃい」
「行ってくる」「行ってきます!」「行ってきます」
学園に赴けば、ユニが待っていた。ふむ、気配を隠さずに来たからな。フェルノが命じたのだろう。
「お待ち申し上げておりました。テスラ様、ナルア様…それと…」
「あ、えっと、俺の双子の弟のリオネルです!冒険者なんです!」
「はじめまして、白虎のリオネルです。」
「リオネル様ですね、それでは一度こちらへ。フェルノ様が会いたいようでして…御足労おかけ致しますがお願い致します。」
「まぁ、いいだろう。普段世話になっているからな。すまんが付き合えリオネル」
フェルノには学園でのナルアの様子などを見させているからな。今の所フェルノの配慮もあってナルアは恙無く学園生活を謳歌しているようだ。クラスや担任も考えてくれているようだしな。
「はい。しかしフェルノ様というのは…?」
「ユニ」
「はい、フェルノ様はこの学園の学園長です。私は学園長の執事のユニと申します。お見知りおきを。リオネル様」
「なるほど…ところでユニさん、様付けは辞めてください。」
「ふふっいえ、それは出来兼ねます。」
「?」
「申し訳ありません。ご兄弟で似ていらっしゃると思いまして。ナルア様と同じ反応でしたので…つい」
「そういえばそうだったかも…ふふっユニは良く覚えてるね!」
「はい」
確かに普段の態度なんかは異なる印象を受けるが、根本の部分や感性などは似ているか。矢張り双子なだけあるな。訓練場近くの応接室に通される。そこにはもちろんフェルノが待ち構えていた。
「テスラ様!!お久しぶりです!さぁ、どうぞこちらへ!」
「ああ」
「ユニ、もてなしを」
「かしこまりました。」
「ナルアくんも元気そうだね。始めましての方もいるみたいだし、自己紹介をしましょう。学園長のフェルノです。テスラ様の後輩で、ユニの主人兼パートナーです。どうぞよろしく。」
「はじめまして、僕はナルアの双子の弟のリオネルと申します。冒険者をしていて、ナルアとダンジョンに潜る為にここに来ました。まぁ、テスラさんに認められなければ叶わないかもしれませんが…」
「えぇっ!!俺リオネルとダンジョン行く気まんまんだったよ?!」
「ふふっテスラさんに認めて貰えばいいだけだよ。僕も頑張ってきたつもりだしね」
「ヒュー!格好いいリオネル!流石俺の弟!」
私以外を褒めるナルアを見るのは良い気分はしない。今更ナルアのリオネル好きをどうにか出来るとは思わないが。ユニが茶と菓子を私達の前に出し、フェルノの後ろに控えた。
「さて、本日のご訪問、どうされたので?」
「ああ、リオネルの実力を見たい。いい相手を探しに来たのだ。」
「なるほど…ツェルトさんでも呼びましょうか?」
「え?ツェルトさん今この都市に居るんですか?」
「あ、そっかリオネルは知らないよね。この学園の教師やってるよ。俺も扱かれてる。パワーないから中々大変でさぁ。」
「へぇ、そうなんだ。久しぶりに会いたいな」
「ユニ、確認を」
「かしこまりました。」
ユニが部屋を出て、すぐに戻ってくる。そしてツェルトは予定があり無理だと告げる。
「ふむ、それではユニ、お前が相手をしろ」
「それは構いませんが」
「ユニ頑張れー」
「フェルノ様…軽いですね…。それではリオネル様、私がお相手致しましょう。」
私とナルア、フェルノで観戦する。頑張れー、と無邪気に応援しているかと思えば、試合が始まれば真剣な目で見極めている。ナルアも実は気になっていたのだろうな。
「ユニ、容赦ないね。戦闘狂だし」
「あはは!否定出来ないね。それで、リオネルくんの評価はどうなんです?」
「ユニと拮抗する実力があるならまずまずだ。ダンジョンに行くには問題ないだろう。」
「やったー!じゃあククルとウェネルとテスラさんとリオネルと行けるんだね!!すっごい楽しみ!」
「ああ、私も楽しみだ」
結局、僅差でリオネルが勝利した。というのも、戦闘中ずっと剣術を意識させておいて、不意打ちのように魔法を使ったのだ。知っていればユニが勝っただろうな。
「負けました。もう一戦いかがです?」
「わかりました。お願いします。今のは流石に卑怯でしたからね。」
私達が止めるまで5戦ほどやり合っていた。ユニの3勝2敗。総合的にはユニに軍配が上がったようだな。流石に勝ち越せる程ではないな。
「リオネル、ユニ、お疲れ様!楽しそうだったね!」
「ええ、ありがとうございます」「ありがとナルア」
29
お気に入りに追加
3,266
あなたにおすすめの小説
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。
薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。
アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。
そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!!
え?
僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!?
※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。
色んな国の言葉をMIXさせています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる