178 / 239
176.魔術学園1年生11
しおりを挟む「終わったー!!!」
テスト終了!体感的にはなんとかなったと思う。筆記もちゃんと書けたし!開放感すごい!
「お疲れ様でした。ナルア様」
「わっ!ユニ!どうしたの?」
「フェルノ様がお呼びです。お時間よろしいでしょうか?ククルさんとウェネルさんも」
「うん」「フェルノ?…というと学園長か。」「だる…」
「宜しいようでしたら案内させていただきます。」
「うん」「ああ」「はぁ…」
なんで三人で呼ばれたんだろう?心当たりないなぁ…ウェネルは露骨に嫌そうだし。ククルはなんとも思っても無さそう。俺に至っては最早慣れたものだし…。
「ねぇユニ?今回の呼び出しはどんな要件なの?」
「まぁそう大したことではありませんよ。ただ皆さんに会いたいだけでしょうね。」
「へぇ、ククルたちに会いたいから呼ばれたってことね」
「一応建前はありますが、ね。」
フェルノさんは自由だなぁ。だからこそ柔軟な思考で学園運営を出来るんだろうけど。っていうかユニも中々ぶっちゃけるね?色々溜まってるのかもしれない。フェルノさんの下について働くのってすごい大変そうだしなぁ。
曲がり角の向こうから現れたフェルノ学園長。気配で居るってわかってたから、ユニはあえて色々言ったんだろうね。
「ちょっとちょっと、ユニ、駄目でしょ?そんなこと言ったら…」
「そうでしたか?申し訳ありませんフェルノ様」
全く悪びれもせずに軽く謝罪の言葉を言って流すユニ。
「全く…悪いと思ってないでしょ…?まぁこれくらいは可愛いものだし…良いんだけどさ。…さて、三人とも呼び出して悪いね。」
フェルノさんってユニに甘いとこあるよね。付き合ってんのかな?
学園長室に入り、学園長と俺達三人が座る。ユニはテキパキとお茶を淹れに行ってくれた。
「学園長室へようこそ。二人は一応はじめまして、かな?学園長のフェルノだ。よろしく。」
二人は軽く会釈を返して、よろしくお願いしますとだけ言った。
「それで今回はなんですか?」
「ああ、君たち三人は入試でもだけど、今回のテストにおいても高い戦闘能力を示してくれた。私はこの学園を預かるものとして、学園生の質の向上を図りたいと考えていてね。参考までにどんな訓練をしていたのか聞かせてほしいんだ。もちろん話したくないのなら無理にとは言わない。」
「俺はいいですよ。と言っても特別なことはしてないです。ただ単に幼い頃から色々やって来てて、訓練している時間が長いだけですから。」
「ナルア君は頑張り屋さんなんだってね?ツェルト先生から聞いているよ。」
「まぁ地道な努力が一番大事ってことですね。」
「具体的にはどんなことをしていたのかな?」
「えっと…魔力操作を只管やったり、魔力切れまで魔法撃ち続けたり、気配察知できるまで只管死にかけながらボコされたり、それから…」「待った待った…ええと、本当にそんなことを?」
「え?はい!」
自信満々に言いきってくれたが…普通の人は魔力操作をそこまで重要視していなかったし、魔力切れの状態というのは非常に辛いのだ。大人でも耐えられるか…全身の力が抜けて、魔力がなくなったことにより激しい痛みが生じるんだよ?それを幼い頃から…?
確かに…魔力量を増やすには魔力切れまで魔力を使ってしまうのが一番効率的だとはされているが…。
それから…気配察知できるまで死にかけながらボコされた…?
いやいやいや…嘘でしょう…?そんな訓練…訓練と呼んでいい代物なのかはさておき…普通の人は耐えられる筈がない。ナルア君以外が言っていたなら、確実に嘘だろうと一笑に付していたに違いない。
けれど…ナルア君を鍛えていたのは…あのテスラ様とユニが怯える程のウェンだ…。
「あ、あはは…そうか…ええとククル君は何を?」
「俺は剣術と自分の属性にあった魔法を高める訓練だな」
「そうなんだね!やはり魔道士でも動けることは重要だよね。うんうん。今年から近接戦闘取り入れてみたけど、魔道士志望できてる子達は本当に…よわ…いや、どんくさ…弱いからね!」
結局弱いって言っちゃってるし!!いや、まぁ事実だとは思うよ。いくら強力な魔法が使えても、長ったらい詠唱とかしてるし…本当に勝つ気あるのかな?って感じだもん。近接戦闘得意な人なら誰でも倒せると思う。
「それじゃあウェネル君はどうかな?」
「…黙秘する」
「そうか、それじゃあこれで以上だね。ユニが淹れてくれたお茶は美味しいから、このあとは普通に楽しんでくれ。お茶請けにもおすすめのお菓子を用意したよ。」
「フェルノ様、まだ話すことがお有りでしょう?」
「あ、そうだった!ええと、あとでナルア君だけ残ってくれるかな。」
「はい」
程よい甘さのお菓子に舌鼓をうつ。ユニの淹れてくれたお茶との相性バッチリだ。うんうん。美味い!食べ終わって二人が部屋を出る。ユニが案内に付いて行ったので、フェルノさんと二人きりで残される。
「ナルア君、残らせてごめんね?話っていうのは、君の契約している魔物についてなんだ。」
「ノエルの?」
「ああ、ノエル君は魔物としては珍しい種族だからね、魔物の研究者から生態を教えて欲しいって話が来てる。断っても問題ないんだけど、一応話だけでもしてみてくれと頼まれてしまってね。どうかな?」
「ええと…お断りします。この子達の種族は人を害すこともないし…もし研究されて…この子達の種族に何かあったら嫌ですから。」
「そうか、では断りの返事を入れておくよ。今回依頼してきた彼は人格者だし良いんだが、他の欲深い人間もいるから気を付けるようにね。」
「はい、ありがとうございます」
「うん、それじゃあユニが戻るまで、テスラ様の話を聞かせてあげるよ。この間、ツェルト先生から仕入れたんだ!」
魔道士団長時代のテスラさんの話を聞かせてもらいながらユニを待つ。彼が戻ってきたところで、俺もユニに送ってもらって迎えのテスラさんと合流して家に帰る。
29
お気に入りに追加
3,273
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい
戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。
人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください!
チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!!
※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。
番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」
「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。
腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います
たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか?
そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。
ほのぼのまったり進行です。
他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる