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175.魔術学園1年生10
しおりを挟む学園に通っていると、あっという間にテスト期間に差し掛かっていた。実技と筆記に別れたテストで、実技は最悪なんとでも出来るとしても、筆記については初めて習う事も多いから難しい。
ということで、休日に学園の図書館でククルとウェネルとテスト勉強をしている訳だ。が、ウェネルは要領がいいのか、頭が良いのか、もう殆ど完璧みたいだ。ククルはククルで記憶力がいいからなんとでもなるとのこと…。
「二人とも…見捨てるの…?」
「お前首席だったろ…?だるいし帰る。」
「俺も帰らせてもらう。まぁ、番にでも頼るんだな。」
「ふぇ…わかったよ…二人ともまた明日」
「…じゃーな」「ああ、また明日」
二人は別れの挨拶をするとさっさと去っていってしまった。はぁぁ…ぼっちじゃん…。でもやるだけやんないとね。真面目に頑張ろー…
「きゅ!」
「ん?ノエル?」
(番呼んでくる?)
「ううん、大丈夫だよ。ありがと」
ノエルは俺と契約を結んでまだ2ヶ月くらいだけど、凄く成長している。俺に伝わってくる意思もきちんと言葉として伝わって来るようになった。それに大きさ的にも子猫サイズから大型犬くらいまで成長したし。
よく俺のことを気遣ってくれる良い子なのだ。ついつい甘やかしてしまっている自覚はある。けど可愛いんだもんなー。
「ノエル、魔力いる?」
(うん!)
片手で本をめくりつつ、もう片方の手でノエルをモフりつつ魔力をあげる。俺の魔力はノエル曰く、甘くて美味しいのだそうだ。
(ありがと!)
「どういたしまして」
俺が勉強に集中し始めると、それを汲み取って影の中に戻って良い子に待っていてくれる。必死にテスト範囲のことを頭に詰め込んでいく。根を詰めすぎてもいけないし、そろそろ帰るかなー。
「ふぁぁ…疲れたぁ」
「お疲れっす」
「えっ?ウェンさん!いつから居たの?」
「10分くらい前っすかね。お迎えに上がったっすよ」
「ありがと。っていうか全然気付かなかったんだけど…」
「そんだけ集中して勉強してたってことっすね」
「うん」
ウェンさんと一緒に帰り、テスラさんが研究している隣で勉強の続きを再開した。結構詰め込めたと思うし、テストはなんとかなりそうだ。
「ナルア、終わったのか?」
「うん…取り敢えず終わりにする」
「そうか。なら一緒に風呂に入るか?」
「うん」
見守ってくれていたテスラさんに甘やかされつつ、お風呂に入って、ずっと座りっぱなしで凝り固まった体も解れた。寝る直前に教科書機もう一度目を通してからベッドに入った。
「ナルア、無理はするな。」
「うん、でもせっかく学んでるんだから頑張りたいんだ。」
「そうか、頑張っているナルアを甘やかすのは私の特権だからな。もっと甘えてくれ」
「うん!えへへ。おやすみ」
「ああ、おやすみ」
額に柔らかい感触…ちゅーされた?んふふ…しあわせ…
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