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152.魔術学園3
しおりを挟む入学式当日、俺は今日もテスラさんの作った服を身につける。そしてウェンさんとポッケの中のティナさん、テスラさんとともに家を出る。学園内に入ると、すぐにユニがお出迎えしてくれて、案内されるがままについていく。
「おはようございます。ナルア様、テスラ様…それからウェン先輩」
「おはようユニ」
「久しぶりっすねユニ。久々に稽古つけてやるっすか?」
「ヒッ……いえ…遠慮しておきます。…こちらへどうぞ」
ついていった先には、フェルノさんが待っていた。どうやら応接室らしい。俺はここに居てもいいのか…?普通はクラスの人達とクラスで過ごすよね。
「おはようございます。ナルア君、テスラ様、ウェン」
「おはようございます」
「おはよう」
「おはようっす」
「ユニ案内ありがとう」
「俺ここに居ていいんですかね…?」
「ああ、ここにお呼びしたのは訳がありまして…ナルア君をそのまま教室に案内すると、面倒事が起こりそうでしてね。残念ながらΩに対する差別的な思想を持つ者も多いのですよ、この学園には。」
「あぁ、街でも言われたことある。首輪付きだって」
心当たりがあるなぁ。街で何癖つけられたのもそうだけど、試験の時もユニがいなかったら確実に絡まれてたと思う。嘲るような視線を感じたし。ククルは何故か最初から普通の態度だったけど、おそらく彼が特殊なのだろう。
「まぁそういうわけでして…Ωというだけで見下してくる輩がいると考えられます。ですので入学式の代表挨拶の際、余興として何かしませんか?」
「えっと…例えば魔法使ったりですか?」
「そうです。実力を見せ付けられればそれでいいのですが。」
「…わかりました。俺が舐められて、テスラさんの評価が落ちるのも嫌だし。全力でやります!」
「ありがとうございます。それでは挨拶のあと、そのようにアナウンスさせていただきます。」
「俺、どうやって会場行くんですか?」
「私達と一緒に入場していただき、席につきましょう。私達の側に席を用意しましたから。」
「ありがとうございます」
とはいったものの、そんなに特別扱いされていて大丈夫かなぁ…。余計なやっかみを生む気もする。どのみち絡まれるなら一緒なのか?まぁ最悪気配消して生活すれば問題ないと思う。ウェンさんに気配の消し方教えてもらっておいて良かった。本当に助かってる。
「そろそろお時間ですね。行きましょう」
ユニが先導してくれて、それについて歩く。きらびやかに飾り付けられた会場の中に入る。まだ皆は入ってきていないようだ。静かな空間に靴音だけが響く。暫く待っていると入場が始まり、学園生活への期待に満ちた顔で入学生が入ってくる。
入学式が始まり、フェルノさんの挨拶や祝の言葉なんかを聞く。そして俺の出番がやってきた。堂々と登壇し、入学生としてこれから頑張りたい、と言った内容を畏まって話した。様々な視線を向けられる。嘲り、怒り、それから憧れ。同じΩの生徒だろうか。
「ここで代表挨拶を努めてくれた、首席のナルア君に魔法を披露していただきます。」
ちらりとテスラさんに目を向けると、みんなの頭上に結界を張ってくれた。流石テスラさん!俺のことわかってる!
「実力で黙らせろ、ナルア」
使える魔法の中から、どんなのが分かりやすく実力を分からせることができるか迷った。結局、自然の力は偉大だ!ということで、ミニ天体ショーを見せることに決めた。
水魔法、風魔法、火魔法を駆使して、雨雲を作り出す。そして雨が降り注ぎ、結界に雨粒が当たる音で皆が一斉に上を見上げる。そこに雷魔法を追加して、頭上は嵐のような様相を呈している。次は雪を降らせてやる。氷魔法によって雪を作り出す。最終的に、ダイヤモンドダストのようにキラキラと散らして終えた。
「「「「「「「「うおおおぉぉ!!!」」」」」」」」
一礼して降壇する。盛り上がったようで良かったと思う。席に戻るとテスラさんが微笑んでくれた。なかなかいいパフォーマンスが出来たみたいで良かった。
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