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150.魔術学園
しおりを挟む卒業式を終えて、その次の日にはバタバタとしたが、本格的な引っ越しの為に家を出た。日が昇る前だったが、見送りをしてくれた。父や母、リオネルとは泣きそうなのを堪えて、笑顔で別れた。3人も笑顔で見送ってくれた。ウルたち学校の皆はもう今日から王国所属として訓練が始まっているので、昨日のうちに別れを済ませてある。
「父さん、母さん、リオネル!今までお世話になりました!!本当にありがとう!!頑張ってきます!」
「ぅ…ゔう…な"るあ"…」
「頑張ってこい!連絡はしろよ?それからたまには顔見せに来い」
「うん!母さん」
「ナルア…寂しいけど…僕も頑張るよ。お互い頑張ろう。僕も連絡欲しいかな。」
「うん!リオネルのこと応援してる!リオネルなら絶対!いい冒険者になれるよ!」
「ふふっありがとう」
「……うぇ…ふっ……」
「…父さん…もう行くからね」
「っ…あ…あ"あ…がんばっでくるんだぞ……」
「ん、ありがとう」
「うああぁぁぁ…なるあー…」
「おい、泣きすぎ…トワ」
「だっでぇ…ほんとに行っちゃうんだぞ…?」
「子離れしろっての。応援してやろう。な?」
「…ゔん…がんばれ…ナルア」
「ありがとう。みんな大好き!行ってきます!」
「「「行ってらっしゃい!!!」」」
テスラさんとウェンさんとティナさんと竜車に揺られる。優しく撫でてくれるテスラさんに素直に甘えさせてもらうことにして、頭をテスラさんの肩に預ける。俺が寂しがっている事を察してこうしてくれているのだろうから。
「そ、そういえば…ナルアくんは…入学式の代表挨拶するんだよね?」
「あぁ…そうでしたったっけ…?」
「あ、挨拶の内容とか…か、考えなくて大丈夫…?」
「内容…うーん…1回やってるし出来るかなって…?」
「そうだな。ナルアなら問題なくやれるだろう。」
「そ、そっか。ならいいんだ。」
「うん、心配してくれてありがとうティナさん」
「うん!」
そういえば確かにフェルノさんが首席合格者…とか言っていたような…。ティナさんが言ってくれたように、代表挨拶あるかもな。最悪テスラさんと一緒に考えよう。今はテスラさんに撫でられるのに忙しい!!
「ふにゃ…ふにゃあ……きもちぃ…もっとなでて…」
「ん、ここが好きだな、ナルア」
「ん…すき…にゃ…」
「か、かわいい」
「ふっナルアはいつでも可愛いがな。ティナにもこの可愛さがわかるか。」
「は、はい!とっても可愛いです」
あー…最高!!なんてテクニシャン!!流石俺のテスラさんだ!
「ナルア、寝てもいいぞ」
「…うん…おやすみ」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
竜車の揺れの中でも眠れるあたり俺は割とどこでも寝れるらしい。目が覚めると日は登りきっていた。おそらく2時間から3時間程度寝ていたようだ。もうすでに結構な距離を移動している。
「おはよう。疲れは取れたか?」
「うん!おはようございます!寝かせてくれてありがとテスラさん」
「ああ。そろそろご飯の時間だ。腕を振るってくれるか?ナルア」
「もちろん!美味しいもの作るから期待しててね!」
「ああ。ナルアの作るものはいつも格別美味いからな。」
「ほんとですよね!れ、レシピ真似しても同じ味は出来なくて…凄いなぁって」
「そうかな?褒められると照れちゃうよ。」
「ふふっ私も同意見だ。同じようには出来ないものだな。」
「テスラさんまで!?」
「まぁともかく期待している」
「うん!」
竜車の御者をしてくれているウェンさんもお疲れだと思うので、精一杯腕を振るわせてもらおう。皆の好きなものを作らせて貰うからね。いっぱい食べて元気になってもらおう。
頑張って山のような料理を作った筈なんだけど…きちんと全部なくなったね。本当に食欲すごいな…。まぁニッコニコで食べてくれたから作った側としても満足だけどね。
適度な休憩を挟みつつ、サクサクと移動して2度目の魔術学園都市に到着した。今回は入学証明書を提示して街に入った。門番さんに、おめでとうって言ってもらえた。
今回は一時的な滞在という訳ではない。だからこそ住む場所を決めるのは難しいかと思っていたんだけど…テスラさんが学園に通っていたときに住んでいた建物が残されているらしい。この間来たときに確認したそうだ。
というわけで4人でそこに住むことになる。ちゃんと一人一部屋は確保されていて、それでも部屋が余るほどだそう。…テスラさんって学生時代何やってたんだろう…そんな家が持てるなんて普通じゃないと思うんだ…。まぁまだ見ていないからどんなところか分からないけどさ。
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