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143.卒業旅行4

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一旦三人組で街を練り歩く。リリスは、アクセサリーに興味があるようで、道端の露店に並べられているガラス製のトップが付けられたネックレスを熱心に見ている。

「リリス、これ綺麗だね。」

「うん!一個くらい買っちゃおうかな?」

「良いと思う!リリスに似合うと思うし!ね?ウル?」

「…そ、そうだな…。これとか似合うんじゃねぇの?」

だんまりを決め込んでいたウルを話に巻き込んでみると、ちゃんと目は付けていたみたいで、自身の色を含んだガラス玉のネックレスを勧めた。偉いぞ!

「私もそう思ってた!これ可愛いよね!」

「…気に入ったなら俺が買ってやるよ。」

「いいよ、自分で買えるもん」

…リリス…お主中々やりおる…。プレゼントには失敗したものの、自身の色を身に着けさせることには成功したらしい。少しだけ嬉しそうなウルを見て、良かったなぁと思う。ウルは本気でリリスを思っている割に進展ないからなぁ。

よし!ここらへんで抜けるとするか。少し後ろを歩くテスラさんに目配せする。バッチリ目が合う。しっかりと俺を見ていてくれている。ウルにも目配せする。三度目でやっと気付いてくれたので、軽く手を振って、さり気なく気配を消した。

「ねぇ、これもいいと思わない?…あれ?ナルア?」

「…居ねぇな。」

振り返ると先程まで確かにそこにいたナルアは消えていた。流石だな。俺はわざと逸れると言われていたので知っていたが、それでもこうも完璧に気配を断たれると驚嘆だな。

「探さないと!」

「アイツなら大丈夫だろ。とりあえず店見てようぜ。」

慌てた様子で探しに行こうとするリリス。まぁ…こうなるよな。

「でも…」

「…心配か?」

「うん…」

「あいつはわざと逸れたんだよ。」

「え?」

「気を利かせてくれたらしい。俺達を二人きりにしてくれたんだ。」

「…そっか。なら楽しもう!ウル!あっち行ってみよ!」

言わなきゃ進まねぇだろうし、さっさと暴露する。俺がリリスに思いを寄せていることなんて、リリス本人も知っている。だからこそのこの反応だ。あまりにもあっさりしているとは思うが、こういう反応をされるだろう事も分かっていた。なんと言ったって幼馴染だしな。一緒にいた年月で積み重ねてきたものがある。

「…リリス、気をつけろよ」

「うん!あー!見て!あの子が着てる服可愛い!」

「そうだな。」

「あの服好き?」

「まぁ…良いと思う…けどよ…」

リリスの指差す方向には、普段では見たことのない不思議な服装をしている者達がいた。腕のところには、布が垂れ下がっており、胴体には布を巻き付け、紐で縛っている。華やかな色使いで、美しい衣装だ。

「あ、あそこで着れるみたい!ウルも着よ?」

「おう…」

貸衣装屋で1日の貸出代金を払い、リリスとお互いに選び合って店の者に着せ付けてもらった。

「えへへー!似合ってる?」

「おう。似合ってるぜ。」

「ウルも格好いいよ!じゃあ行こ!」

「…リリス、逸れるだろ、あんまり先に行くな。」

「んー?じゃあ手繋ぐ?」

「…いいのか?」

「…いいよ?」

「ん」



暫く二人を見守っていたけど、浴衣に着替えて、仲睦まじく手を繋いで歩いている。上手く行っているようでなによりだな!

「コイルさん、俺達も行こう!」

「ああ、もういいのか?」

「うん、大丈夫そう。だから見守るのはもう終わり!俺達もデートしよ!」
 
「そうだな。楽しもう」

「うん!」







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