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129.小学校最高学年後編4
しおりを挟むフェルノさんは取り敢えずまだ帰らないらしいので、来てくれる友達を優先させてもらうことにした。テスラさんに運搬を頼んだお土産たちを出してもらって、中庭に向かう。家の中では邪魔になるから外で準備した。お土産には布を掛けて、見えないようにしておく。お菓子なんかも用意して、みんなを出迎える準備をしたところで、ちょうどみんながやって来た。
「「「お邪魔しまーす!/する」」」
「いらっしゃい!」
「中庭に行ってて。僕が飲み物入れてくるから。」
「ありがと!リオネル。じゃあロウくんも一緒に行こー!」
「うん!」
中庭でテーブルを囲んで、一旦お茶を飲んでゆっくりと夏休みの間のことをみんなで話した。ロウくんは、魔導具づくりを頑張っていたらしく、それ以外はリオネルといたみたいだ。リオネルは、冒険者になるべく修行の毎日を送り、ウルも剣の修行をしていたらしい。メルは回復魔法を使って、奉仕活動を兼ねた修行。リリスはウルと一緒に体術や魔法を鍛えていたらしい。みんな充実した休みを送れていたみたいだね。
「みんなのことも聞けたし、このあたりでお楽しみのお土産プレゼントターイム!!!」
「「「イェーイ!!」」」
メル、リリス、ロウくんはノリノリで来てくれた!イェーイ!
リオネルには呆れた目で見られたものの、気にしないもんね…。尻尾がしゅんと下がっているのは気のせいだし…。うん。
気持ちが尻尾や耳に現れてしまうのをコントロールするのって難しいんだよね。獣人になってからはポーカーフェイスとか意味ないもん。本能的なものだからこそ、気持ちのままに動いてしまう。
勿論今のも全部見られているわけで、しゅんとした俺にリオネルが気まずそうな顔をする。
「ごめんナルア、続けて?」
「うん…」
「がんばれナルア」
「ウル、ありがと」
「「「ふぁいとー!!」」」
「よし!じゃあ気を取り直して、まずはエルとウルの分から!ジャジャーン!」
バッと布を取り去る。そしてその下から現れたのは、魔術学園都市で入手してきた魔力の通しやすい素材で作られた短剣だ。魔物の素材だって魔力を通したこの短剣なら、簡単に解体出来てしまうという代物だ。装飾はシンプルで、刃をしまうケースは魔物の革、確かオークのだったかな?で出来ている。
「この短剣は、魔力を通して使うんだよ!めちゃくちゃ切れ味いいから使うときは気をつけてね!はい、取り敢えずやってみて!」
「おう、魔力をどのくらいだ?」
「んーと纏わせるくらい!」
試し切りしてもらうために、木材を取り出す。割と太めな木だったけど、ウルの持った短剣がスルリと通る。
「うお!すげぇな…ありがとな」
「どういたしまして!んじゃあ次はリリス!これだー!!」
「わぁぁ!!可愛い!」
「それは足を守ってくれるし、見た目もリリスに似合うと思って選んできたよ!リリスはここで試すのは難しいから、訓練場とかで使ってみてね!」
「うん!ありがと!大事に使うね!」
リリスへのプレゼントは、レガースみたいなもので、花柄のあしらわれた美しいものだった。リリスも気に入ってくれたみたいで良かったぁ。センスないとか言われたら泣ける。
「次はメル!」
「やったー!なにかなー?」
「ジャジャーン!魔術書です!回復魔法に関する最新の所見だよ!」
「ありがと!!ナルア!これ読んでさらに回復魔法を高められるように頑張るよ!」
「喜んでくれて良かった!よし!じゃあ次はロウくん!」
呼ぶとにこにこで前に出てくれるロウくん…可愛いねぇ。弟の大事な人だから当然だけどね!
「はい!」
「いくよ!」
「うん!」
「ロウくんにはこれだー!」
「……え?これなぁに?」
…うん、何かわからないようなものだってのはわかるよ。見た目的にはただの蝶々を模った玩具にしか見えないし。ただ、俺が見た限りこの魔導具に使われている魔法陣の精度はとても高い。
「んーと、魔導具だよ!魔術学園都市で売られているやつを買ってみました!何か参考になるかなーって」
「魔導具なの!?触ってみてもいい?」
「うん、どうぞ」
「…わぁ!飛ぶんだ!すごい…空中制御もきっちりされてる…ありがと!ナルアくん!取り敢えずこれ研究してみる!」
「うん、頑張ってね!最後はリオネル!お待たせしました!」
「ん、待たされました、いいんだけどね。」
「リオネルのはこれ!!鎧です!軽くて動いやすいのをチョイスしたから使い勝手いいと思う!」
「鎧、着けてみる。」
「うん!」
鎧を着けたリオネルは、いつもより男らしくてイケメンに見える。いいね!男前だ!流石は俺の弟!
「うん、問題なく動ける。ありがとナルア」
「どういたしまして!」
みんなの笑顔が見られて良かったぁ。渡すまでちょっとドキドキしてたから、ひと安心した。贈り物っていいよね。好きな人たちの幸せそうな顔見たら自分も幸せになれる。
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