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114.魔術学園都市6
しおりを挟む早めについたので、観光とかにあてていたけど、ついに魔術学園の入学試験が開始される。ついつい気が急いて、早起きしてもうすでに試験会場である魔術学園の前に立っている。試験の開始は9時だが今は7時だ。まだニ時間ある。受付は始まっているので、さっさと受付を済ませてしまおう。
ちなみに、魔術学園の受験資格については、魔術学園関係者または魔術学園卒業生の推薦によるものとする、と定められている。俺はテスラさんに推薦してもらった。ちなみに受験生以外は立ち入れないので、今日は一人だ。
初めて立ち入る学園にウキウキしつつ、受付に向かって歩く。朝早いだけあって、まだ人はまばらだ。でも俺のようにそわそわとしているので皆案外こんなもんだよな、と少し安心する。テスラさんもウェンさんもティナさんもナルアなら大丈夫としか言わないんだもん…。ホントかなって思っちゃうよね。
「受付はこちらです。…ナルア様ですね?」
「え?…あ、はい」
「こちらへどうぞ」
「??えっと…受付はあっちですよね?」
「ええ、…それではナルア様はあちらへお願いします。」
「……」
受付の案内をしていた人が俺だけを別の所に連れて行こうとする…。怖いんだけど…。無視させてもらうことにして、受付へ歩く。さっきの人が回り込んで、別の方向を手で示す。無視する…また回り込まれれる…無視する。
そんなことを繰り返していたが、ついに耐えられなくなる。
「なんなんですか!?」
「テスラ様のご推薦でしたので、丁重にと命じられております。」
「テスラさん…?」
「ええ、私の主人はテスラ様を崇拝…いえ尊敬なさっておいでです。」
「ええと…お気遣いは不要です、とお伝えください。」
「それで納得するような主人ではありません故…」
「わ、わかりました…」
テスラさん…
よくわからないまま、執事っぽいシュッとしたお兄さんについていく。案内された先では、応接室にお菓子やお茶なんかが準備されていた。特にやることもなく、お茶に手を付ける。
「…こんなことになるならウェンさんに推薦頼めば良かったなぁ…」
「いま、なんと?」
「え?ウェンさんに推薦頼めばよかった…?」
「それは、テスラ様の従者のウェン様ですか?」
「従者?かどうかはわかりませんけど…」
「狐獣人ではありませんか?」
「そうです」
「そうですか!」
ええ…なんで顔が青ざめてるんだ?よくわからない…。
「……あの、今更ですけど、猫獣人のナルアです。」
「これは失礼致しました。兎獣人で、学園長フェルノ様の執事をしております。ユニと申します。お気軽にユニとお呼びくださいませ。」
「はぁ…その…ユニさんは「ユニとお呼びください」……ユニはテスラさんと知り合いなんですか?」
「実際にお会いしたことはございませんが、主人によくよく聞かせていただいております。」
テスラさんは魔術学園の学園長に崇拝されてるってことか。なるほどね、街での反応も分かるってものだな。だからテスラ様か。というかユニの圧がすごい。ユニってたぶん相当強いんだと思う。
「なるほど…テスラさんは何をしたんでしょう?」
「テスラ様は、この学園始まって以来の天才でした。学年トップで入学なさり、そしてあっという間にこの学園の生徒達を圧倒してみせたのです。それは素晴らしい魔法の腕前をお持ちだと聞き及んでおります。」
「なるほど…確かにテスラさんはとっても凄くて!なんでも出来るんじゃないかって思うくらい凄いんです!あと、優しいし格好いいんです!」
「そうですか!それは是非一度お手合わせ願いたいものですね。」
ギラリと光る瞳…ひぇ…。ユニは戦うのが好きなのかもしれない。この話はここら辺にしておこう。ユニと話すのは良いけど、ユニは立ったままだし、落ち着かない。おそらくまだ試験開始まで1時間半はある。
「ええと…それで、俺はどうすれば?」
「まだ時間があります、学園内を案内致しましょうか?」
「いいんですか?じゃあお願いします。」
学園内には人の姿がなく、とても静かだ。西洋のお城のような作りで、とても荘厳な雰囲気がある。
「すごいですね!」
「ふふっこの学園は総力を上げて作られておりますからね。建築には魔道士ヘルメスも関わっていると伝わっているのですよ」
「へぇ歴史のある建物なんですね!」
「ええ!そうなのです。詳しくお知りになりたければ、この図書館に保管されている本に書かれておりますので。」
ちょうど図書館にたどり着いた。すごいタイミングだ。図書館は流石に鍵が閉められていて入ることができなかった。
「そうなんですね。教えてくれてありがとうございます。ユニ」
「敬語も不要ですよ?」
「でも…」
「不要ですよ?ふふっ」
「…わかったよユニ」
「ええ、それで良いのです、ナルア様」
「…ナルア様…様はやめない?俺…そんなに偉いものじゃないし」
「どうでしょう?ふふっナルア様は将来性もお有りになるでしょう?」
「えっと…まだ学園に受かってもないんだけど…」
「そうですね。」
一通り学園を見て歩くと、いい感じに時間を潰すことができた。というわけでようやく、第一の試験である筆記試験の会場に向かう。もちろんユニの案内付きで…。周りの視線が痛いです…。
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