転生したら猫獣人になってました

103.小学校最高学年編19

「んん…？なに？」

「起こしてしまったか？」

「うん…？」

『起きたのだな。心の綺麗な子よ。』

何か話し声が聞こえて、目を開ける。目の前にあるのは…真っ青な…くちばし？なんだこの状況は？！混乱したものの、テスラさんが隣にいることで少し落ち着きを取り戻す。

「……えええっ！？！？だれ…？誰が喋ったの？」

頭の中に響く声。一瞬そのまま受け入れそうになったけど、やっぱり普通じゃないよ！！

『私だ。目の前のフクロウだ。』

「テスラさん…フクロウさんは獣人なの？」

「いや、聖獣だ。」

「聖獣って…魔力量が多くて、知能のある動物だって言われてる…？」

テスラさんの肩にとまっている、フクロウの全体像を見るべく、少し距離を取る。そしてよくよく見てみれば、ワシミミズクのような見た目をしていた。丸くてもふもふとしたフォルムが愛らしい。柔らかそうな羽が魅力的だ。

「ああ、私も初めて会った。」

「……本当に本物…？」

「本物…だろうな。」

『本物だ』

「………なんでいるの？森でエルフと暮らしてるんじゃないの？」

『ふむ、そういう者もおると聞いておるが、基本的には森で静かに暮らしておるよ。』

「…なるほど？」

『それで、名前を教えてくれないかね？』

「ナルアです。黒猫の獣人です。」

「テスラと申します。ジャガーの獣人です。」

『ナルアとテスラだな。私には名はない故、容赦してくれると嬉しい。』

「はい。でも名前がないなんて…ちょっと寂しい…」

『名があれば、何かしら縛られてしまうからな。あえて名は持たぬのだ。悲劇を繰り返さぬように』

「なるほど…そういう理由があるんだ…」

「名のあるのもは術で縛りやすいからな。」

「……ところで…撫でても？」

『うむ、良いぞ。』

許可も得られたので、柔らかな羽毛に手のひらを埋める。

「ふわっふわ！！可愛い！！」

「ふふっ良かったな」

『うむ、撫でられるのも悪くない。もう少し強めに撫でてもいいぞ？』

「うん」

首周りも胴体の毛も厚みがあって、手を埋めればとても温かい。撫でるとまんまるの目が細められている。気持ちいいのかな。可愛い。爪とかくちばしは鋭くかっこいい。存分に撫でさせてもらえ……なかった。

「ナルア…もういいだろう…」

「え？…あ、うん」

テスラさんに止められたのだ。見上げてみれば、珍しく少し拗ねたような顔をしていた。そして手を取られて握られる。ふふっもしかして、俺がフクロウさんを撫でてるのに嫉妬した…とか？

「テスラさん？」

「なんだ？」

「後で撫でさせてくれますか？」

「…ああ」

「ふふっテスラさん可愛い」

「っ！…勘弁してくれ…私だって自分がこんなに子供っぽいと思っていなかった…」

「んふふ！俺、ちょっと嬉しかったよ」

「そうか…」

「うん」

『ふむ、仲が良いようで何よりだ。ところでもう日が暮れる。帰らなくてもいいのか？』

「わ！思ったより日が傾いてる！帰らないと！テスラさん帰ろ！フクロウさん色々ありがとう！」

「ああ、帰ろうか。」

『うむ、また会おう』

「うん！また撫でさせてね！」

『うむ！』