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102.小学校最高学年編18

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連れてきてもらったのは、森の中にある泉だった。泉の周りには、少し透けている花弁を持つ花が群生していた。青くきらめくとても美しい花畑だった。前世の世界では見たことのない花だ。太陽に照らされてキラキラしてる。

「すっごい綺麗!!」

「だろう、ここに来ないと見られないからな。」

「そうなの?つんで帰ったり出来ないの?」

「ああ、水生花は水場から離すとすぐに枯れてしまうからな。つんだら枯れるぞ。」

「へぇ…ちょっと残念…家族にも見せたかったな。」

「ふふっまたみんなとも来ればいいさ。だが、一人ではまだ危ないだろうから、来るときは私も一緒だからな。」

「うん!素敵な場所教えてくれてありがとう!テスラさん!」

テスラさんが結界を張ってくれたので、魔物に襲われる心配もなく、景色を堪能することができる。持ってきていた敷物を敷いて、テスラさんと二人でゆったりとした時間を過ごす。

最近は魔術学園の試験勉強や、学校の卒業課題で忙しなく動いていたから久しぶりにゆっくり出来て、とても気分転換になる。おもむろにテスラさんの膝に横抱きで乗せられる。

「テスラさん?」

「…いやか?」

「ううん…嫌じゃないよ」

「ならばこのままで居てくれ」

背中を支えられているので、その腕に身体を預ける。包まれるように抱かれてとても落ち着く。朗らかな日差しと相まって眠くなってくる。ゆるゆると撫でられれば、もう起きてはいられなくて瞼が落ちる。


腕の中で眠りについたナルアを見つめる。その顔は整っており少し釣り目のくりくりとした目は閉じられ、綺麗に通った鼻筋と薄めのピンクの唇が愛らしい。真っ白な素肌は、柔らかくフニフニとしている。

しかしその顔には、くっきりと隈が浮かんでいる。最近はずっと勉強や魔法の訓練を頑張っていたからな。寝る時間は確保して欲しいものだが…最悪無理矢理でも寝かせるか。無理をしているようで、心配になる。

息抜きになるかと声をかけてよかったと思う。この子は一人で頑張りすぎてしまうようだからな。無理をしなくてもナルア程の実力なら魔術学園の試験をパスするくらい簡単だろうが、そう言っても信じないからな。

すやすやと眠るナルアを起こさないように、静かに眠っているのを見ていた。すると結界の向こうに気配を感じる。敵意はまったく感じないのでそのまま様子を見ていると、どうやら結界内に入りたがっているらしい。

魔物でもないようだし、入れても問題はないだろう。一部分だけ結界を開けて、入れてやる。入ってきたのは、初めて見たがおそらく聖獣と呼ばれる類のものだ。フクロウの姿を取っているが、その色は綺麗な青と翠がところどころ混ざった色をしている。

魔力濃度が高いことから、相当な魔力量を有しているだろうことが伺える。人の前に姿を表すことなど殆ど無いと言われている。なぜ私達の前に姿を表したのかわからないが…すべてを見透かすような目をしている。

飛び立ったかと思えば、狩人のように音のしない飛行で私の肩に止まった。そしてナルアに顔を寄せる。どうやらナルアに用があったようだな。

『この子は…とても美しい魅力的な魂を持っているな』

「っ!?」

観察を続けていると、頭の中に声が響く。子供のような…それでいて深みのある声だ。原因はといえば目の前の聖獣に他ならないだろう。

『む?なんだ?念話は初めてか?』

「はい、初めてです。僭越ながら聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」

『構わぬ』

「…何故姿を見せたのですか?この国の聖獣は人に姿を見せることは無いと聞いていますが…」

『ふむ、間違いではない…昔、聖獣と人間は共存しておった。しかし人間は欲深く…聖獣を捕らえて利用しようとした。その時から姿を隠すようになったのだ…悲しきことよ…。』

「そうでしたか…」

『姿を見せた理由だったな。それはこの子が特別だからだ。』

「特別…ですか?」

『ああ、そうだ。この子は不思議な魂を持つ。我々にとっても人間にとっても非常に魅力的だ。万物に愛されるであろうな。』

「確かに…ひと目見た時から心惹かれていました。」

『そうであろうな。其方とこの子の魂はぴたりと嵌まるように相性がいい。』

「…それは…運命の番だということでしょうか?」

『人間で言うとそうなるか。ともかく私はこの子に会いに来たのだ。この子の側は澄んでいてとても居心地がいいのだ。』

聖獣にも愛される…そして私の運命の番…。惹かれてやまないわけだな…。



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