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89.小学校最高学年編5
しおりを挟む夕方にはリオネルも父も仕事から帰ってきていた。父は、帰ってくるなり家に知らない奴が居るって…まぁつまりテスラさんのこと不審者だって思ったらしくて突然攻撃してきた。
「誰だ!!くそっ!不審者め!」
「…ナルア」
「なっ!ナルア!」
テスラさんの傍らにいた俺のことは目に入っていなかったらしい。素早く引き寄せられ、テスラさんに腕の中に囲われた。テスラさんの腕の中なんて一番安心できる場所だよね。攻撃はテスラさんが軽くあしらってくれた。
誰も怪我とかしなかったから良かったけど。
「父さん…やめて。」
「な…ナルア…?俺は…みんなを守ろうと…どうしてそんなに冷たい目で…」
確認もせずに攻撃してきたので、ついつい冷めた目で見つめてしまう。まぁ父さんが気を張って、俺達の事気にかけてくれてるのも分かってるし、感謝もしてるけど。まさかテスラさんのことわからないなんてなぁ。
「この人、テスラさんだよ。俺のために帰ってきてくれたの。」
「っ!?テスラさん!?」
本当にびっくりしてる…あれ?本気で気づいてなかったんだ…テスラさんって雰囲気とか声とか表情とか分かりやすいと思うんだけどなぁ。
「ああ、久しぶりだな。トワ」
「はい!!お久しぶりです!…けど…これは…どういう?」
「ああ、私が国に入ったとなればまた面倒になるだろう。だから変装だ。」
「これは変装ってレベルじゃ…いえ…ナルアの為にありがとうございます。」
「いや…自分の為でもあるからな。ナルアに会いたかったしな。ちなみに、ナルアはこの姿でもちゃんと私だと気づいたぞ。」
「っ…それは…まさか…いえ、流石ナルアだな。全く分かりませんでした。」
「仕方がないだろうな。気づかれるようでは、変装する意味などないからな。」
「はぁ…そうですね。…ところで、いつまでそうしているので?」
ん?
ああ、テスラさんの腕の中に囲われてることを言ってるのか。別に俺はずっとこのままでも。なーんて、父さんにすっごい目で見られてるから諦めるか。テスラさんの腕の中から出ようとすると、テスラさんが腕に力を込めて引き止める。
「テスラさん?」
「離れるのか?」
「ええと…取り敢えず一旦?」
「嫌だ」
「俺も嫌です」
「じゃあこのままでいいな。」
「はい!えへへ!」
テスラさんに改めて抱きつき直す。えへへ!ぎゅーってテスラさんも抱き返してくれて、つい頬が緩む。絶対俺、人に見せられない緩みきった顔してる。
「駄目だ駄目だ!!離れて!!」
父さんが割り込んできて、無理矢理引き離される。
「えー!?あー!テスラさん!」
「ナルア」
「駄目ですからね!ナルアは家の子です!」
「ふぅ…仕方がない。またあとで。ね?テスラさん!」
「ああ、そうだな」
「もう!!はぁ…まぁいいや。取り敢えず、話聞かせてもらってもいいですか?」
「ああ」
がちゃ
「ただいま…何してるの?こんなとこで」
「まぁ色々あって?おかえりリオネル」
「「おかえり」」
「うん、取り敢えず中入ろうよ。」
「だね!」
俺がΩだったよー、とか色々みんなに報告して、父さんたちにも事情をちゃんと話した。これでみんなに事情伝わったから、一安心だね。
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