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66.小学校編29
しおりを挟む連絡を受けて、家に帰ってきてみれば結界が張られていた。かなり高度な結界だ。これは兄貴の張った結界だな。俺達は普通に入れるみたいだ。気配的には兄貴とナルアがいるだけか…。
結界に入ろうとすると、後ろに2つ気配が現れる。これ気配の消し方…ウェンくんだな。振り返る前に彼が声を掛けてくれる。予想通りのウェンくんだったが、もう一人は…誰だ?
関係ない人を連れてくるとは思えないけど…見たことない子だな。随分可愛らしい感じだけど…さっとウェンくんの後ろに隠れてしまった…。
「テーネさん!トワさん!連絡行ったんすね。事情は聞いてるっすか?」
「いや何も…ただ緊急としか…」
「そうなんすね。じゃあ取り敢えず、家に入って座ってもらって…ええと…ティナはどうするっすかね…?」
「ぁ…ええと……あの…僕も聞いていいのかな?」
「ん、大丈夫っすからね。俺が一緒にいるッスから。」
「うん…」
高めの可愛らしい声の子だ。ウェンくんは後ろを振り返りながら声をかける。ティナくんって言ったか?
「その子は?」
「俺の番の子っす。アルフレドティーナっていうっす。…ただ話すの苦手な子なんす。」
「ご…ごめんなさい!」
「テスラ団長とナルアくんは帰ってるんすね。あとはリオネルくんっすけど、彼はトールさんを迎えに行ったっすから。すぐに戻ると思うっす。あとはトータさんっすかね?」
「俺ならいるぜ!トワ兄から連絡来たからな!」
「トータさんもいるならみんな揃ってるっすね。あとはリオネルくんたちが来たら話すっすね。」
「俺達が準備してるときは問題なさそうだったけど…あのあと何かあったんだね…。怪我はなかったのかな?」
「それは大丈夫だったっす。」
「そうか…それを聞いてすこし…安心したよ…」
取り敢えず一度みんなで落ち着いてソファについた。そして少しだけ待つとリオネルとトールが駆け込んできた。そして事情を知らない者たちがみんな集まったことで、ウェンくんが話し始める。
「あったこと…そのままを話すっす。よく聞いておいてほしいっす。…第三王子…兎の王子が魔力障壁を解こうとしていたナルアくんに向かって攻撃魔法を撃ったっす。それも一つじゃない。何度もっす…」
「っ…そんな…どうして…」
「ナルアに!?」
「俺とリオネルくん…それにテスラ団長もその場にいたっす。でも驚きすぎて…動けなくって…それでイヤーカフに仕込まれていた魔力障壁と反撃魔法が発動したっす…。」
「そう…それで…ナルアは無事だった…でも許せない…あの兎…ナルアのこと傷つけようとした…」
「でも反撃魔法が発動したおかげで、あの兎もダメージを受けているように見えるっすから…それで…あのクソ王は…おそらくあのクソ兎を罰さない…。俺だって許せないっす…」
「兄貴は…?」
「テスラ団長は…相当怒ってたっすけど、ナルアくんを優先したみたいっす。それでずっと一緒にいるっすよ。」
「そっか…部屋入ってもいいかな…?」
「いいっすよ。きっと…」
「僕も行く。ナルアの側にいたい」
「じゃあみんなで行くか…?俺も会いたいし」
「おう」
部屋にいたみんなで、ナルアの部屋に向かうことにした。部屋に入るとナルアは寝ていたけれど。兄貴はこちらに視線を向けたので、部屋に入る前からわかっていたのだろう。兄貴の腕の中に抱かれているナルアは、久々に見る獣型になっていた。
…ストレス…か…。ナルアにとっては相当怖かったんだな…。許せない…。が…ただの一国民でしかない俺に出来ることなど無いに等しいのだろう。リオネルもあとで、宥めてあげないとな。あの子もナルアが目の前で攻撃されたんだ…相当なストレスだっただろう。
「兄貴…ありがとう…ナルアを守ってくれて」
「いや…いい。おそらく私は国を出る…この国には本当に愛想が尽きた。」
「…俺も活動拠点移すぜ…。この国のままだと、強制命令の管轄下になるからな。」
「兄貴もトータもこの国を出るのか…俺達も家族みんなでこの国を離れたいが…」
「俺達は…無理だろうな…。トワ…」
「取り敢えず、ナルアにはより強力な守りを付与したよ。」
「ありがと兄貴」
「ああ、私が国を出たら、ナルアのことを頼む。ウェン、お前はどうする?」
「俺も国を捨てたいところっすけど…テスラ団長の代わりに俺がナルアくんを守るっすよ」
「そうか…助かる。頼んだぞ」
「はいっす!とはいえ、魔法の技術は敵わないっすから、ティナにも守りをいただけないっすか?」
「もちろんだ。他のみんなにも守りを渡していく。それらが使われれば、わかるようになっている。すぐに駆け付けよう。」
「みゃう!!みゃうみゃう!!」
「!ナルア!どうした?」
起きていたらしいナルアが兄貴に抗議するように、ばたばたと暴れている。兄貴と離れるの嫌なんだろうな…。懐いてたからなぁ…。
「にゃうー!!」
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