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63.小学校編26
しおりを挟む訓練が本格的に開始して、王様、第一王子、第三王子、ヨルクが見ている中で、実技を披露する。今回は魔法防御の基本である魔法障壁を張って、魔法攻撃を堪えるものと、複合属性の雷を使うところを見せればいいらしい。
リオネルは俺と同じく魔法障壁、それから魔法を纏わせた剣技を披露するらしい。ウェンさんが相手をしてくれるんだって。そうじゃないと俺達の実力が伝わらないのでそうしてくれるらしい。王族に実力を示すことは後ろ盾を得ることにも繋がるので良いことなんだってさ。
「まずはナルアとリオネルの実力をお見せします。ナルア、リオネル、ウェン以外は端に寄れ」
「「「「はい!」」」」
「それじゃあ二人とも頼むっすよ!」
「はい!」「……」
黙っているリオネルの尻尾がぎゅっと俺の尻尾に絡みついてくる。普段は絡ませてきても緩く絡ませるだけだから、こんなことは初めてかも。どうかしたのかな?硬い表情をしている。
「リオネル?」
「…ナルア…緊張する…」
「大丈夫!リオネル!俺も一緒だし!」
「うん、ありがとナルア」
「そんなに気負わなくていいっすよ。いつも通りのことをしてくれればいいっすから」
「うん!」「…はい」
「じゃあ始めるっすよ。最初の魔法障壁への攻撃魔法は俺が使うッスから。」
「はい!」「はい」
訓練場の外部の見学用の椅子に座って王族の人たちはこちらを見ている。一旦魔道士団員たちも訓練場の端によって、真ん中に空間ができた。そこに俺とリオネルが立ち、魔法障壁を展開する。そして、少し離れたところから、ウェンさんが軽く魔法を撃ち込んでくる。
連続でどんどん飛んでくる魔法に障壁が壊れそうになるものの、魔力を送って補修して堪える。ダメージを受けた部分に適切に魔力を流すことが重要になる。
「ふむ、これはすごいな!あの子達はヨルクと同い年であったか?」
「ええ、そうです。父上。弾幕に対して魔力障壁を割られずに耐え続けるには、かなりの魔力操作の技術が必要になります。それから魔力障壁の弱点が出来ないように、均一に魔力障壁の厚さを整えなくてはなりません。もしくはダメージを受けるところの魔力を厚くしているのか…二人とも綺麗な魔力障壁を維持している…大人顔負けの技術ですよ。」
「ふーん…あのチビたち凄いんだ…?ムカつくなぁ…テスラはテスラであのクソ猫には抱っことかしてあげてたし…!僕のテスラなのに…」
「…お前は…まだそんなことを言っているのか…エルミ…。」
「うるさいよ兄貴には僕の気持ちなんかわかんないでしょ!!」
「おい、そのへんにしておけ。」
「だいたい父上がエルミを甘やかすからこんな問題のある性格に育ったのでしょう…もしエルミがこのままなら…テスラ魔導師団長はこの国を出るかもしれない…そうなればこの国はどれほどの損失を被るか…お考えにならないのですか…。」
「テスラには立場も金も与えておる。…この国を出る理由などないだろう。」
「…なにもわかっていないんですね。はぁ…」
「兄貴はいつもそう。僕のことを悪く言ってさ!!そんなに僕のことが嫌いならそういえばいいのに。陰湿だよね!ホント嫌になる。父上に愛されてないからってさ!僻み?やめてよね!それにテスラのことだってさ、テスラは僕のことが好きなんだもん。この国出るわけ無いじゃん。」
…凄いヒートアップしてて、第一王子に対して、くどくどと文句を垂れ流す第三王子。テスラさんのことも言われてるみたいだ。んーまともなこと言ってるのは第一王子なんだけどなぁ。
王様が第三王子のことを肯定している以上、どうしても強く出ることはなかなか難しい。第一王子も大変だなぁ…。家族は選べないもんねぇ。苦労人っぽい第一王子殿下は正しいことを言っているはずなのに…。
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