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47.小学校編11

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ナルアたちが立ち去ったあとの訓練場には、泣きわめくヨルクとケイン先生とエルが残っていた。エルは泣きわめくヨルクを宥めることもせずただ見ていた。今回のことは完全にヨルクが悪いと理解しているからだ。なんならヨルクの鼻っ柱をへし折ってくれたナルアに感謝さえしていた。


「おい、いい加減にしろ。俺はお前を甘やかすためにいる訳じゃねぇんだぞ。」

冷たくも聞こえる声でケイン先生がヨルクに声をかける。ヨルクは泣き始めてから人が捌けて誰もいなくなるまで泣き続けていた。それだけ悔しい、惨めな気持ちが強かったのだろう。

「うぅ…ぐす…」

「ヨルク様…はぁ…反省してください。それからもっと鍛錬を積まれることですね。」

「エルの言うとおりだ。このままじゃお前、ナルアの足元にも及ばないどころかこのクラスにいられなくなるぞ。努力しなけりゃ簡単に追い越されるんだからな。」

「…ひっく……えぐっ…」

「泣いても何も変わらない。お前は弱いし、負けたんだよ。やる気があるなら俺が基礎は教えてやる。やる気があるなら返事しろ」

ケイン先生の突き放すようで、温かい言葉に、涙を拭ったヨルクは顔を上げる。そして意を決したように返事をした。

「…はいっ…」

「…やるんだな?厳しく行くから覚悟しとけ」

「…はい!…」

「いい返事だ。もし怠けたり努力している者を馬鹿にするような言動をすれば俺はお前を見限る。覚えておけ」

「はい」

「頑張ってください。ヨルク様。」

やると言ったものの、やはり一人での鍛錬は嫌だったらしいヨルクが、弱々しい声でいつも側にいてくれるエルに誘いをかける。

「エルは…一緒に…やってくれないのか…?」

「私には私の鍛錬がありますので。指導してくださる先生もいますから。」

「…そうか…わかった…一人でも頑張るぞ!」

「ええ、頑張って下さい。応援していますから。」

「おう!」

「取り敢えずお前ら急いで飯食ってこい。まぁ多少なら遅れても許すからちゃんと食ってこいよ」

「はい!」
「はい、ありがとうございますケイン先生」

「おう」

ヨルクとエルが立ち去っていくのを見送って、やっと一息つく。今年の入学生は優秀な奴らが多い反面、なかなか手がかかりそうだな。

「ケイン、お疲れ。初日から私闘なんて大変だね」

「ミア…見てたのか。」

「うん、見てたよ。ケインもご飯まだでしょ!お弁当作ったし、早く食べに行くよ!」

「ああ」

「それにしてもあの子すごいね。」

「勝った方のことか?」

「そうそう!一瞬で弱みをついて決めちゃってさ!」

「魔導士団長とその懐刀のウェンに教わっているらしい。」

「……本気で言ってるの?」

「本人がそう言ったし、魔道士団長の甥っ子だ。あり得る話だろ。」

「それはまた…凄い子ね。」

「ちなみに双子だ。」

「…もう一人は…普通の子なの?」

「いや、そっちは剣神に教わっているらしい。」

「ええと…それはまた凄いわね…」

「ああ…俺では指導者として不足だろうな…まぁ、やれるだけやるさ。」

「そうね…私も力になるわ」

「ありがとなミア」

「うん、取り敢えずご飯食べて元気出して!!」

「ああ、そうだな」







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