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46.小学校編10
しおりを挟む今回の模擬戦を見てのアドバイスを後でケイン先生がくれるらしい。まだまだ上がいるんだから技術向上に努めよう。自分やウェンさんでは気付けない悪い点だってあるだろうし。他の人のアドバイスを貰えるのは有り難い。
午前は身体測定と模擬戦で終わりだったので、お昼をみんなと食べに行こうとしていると、近づいてくる影。うぅん…無視したい…。だめかな?
だって今はみんなと楽しくご飯食べたかったよ…。やっぱり王子様か…また文句言われるんだろうなぁ。
そろそろリオネルの堪忍袋の緒が切れそうだし、今は勘弁してほしいんだけど…リオネル、無言で俺の隣に立ってるけど、すっごい睨みつけてるし、むすっとしてるから。尻尾で宥めてみるも、流石に駄目みたいだ。
まぁ俺が性根を叩き直してやろうと思っているから、絡んでくれてもいいんだけどさ。俺は良くても周りの人は駄目みたいだからなぁ。リオネルを怒らせるのは俺も本意ではない。だって仮にも王子様だ。それでリオネルの立場が悪くなったりしたら嫌だし。
「…お前…ズルしてるんだろ?」
「……」
「ヨルク様!いい加減にしてください!」
「だってそうじゃないとおかしいだろ?!猫が虎に勝つなんて!!そんなこと認められるか!」
エルさんは窘めてくれるけれど、それでも収まらない様子だ。エルさんグッジョブ!ありがとう…王子様の側にいるのが、彼を止めてくれる常識人で安心したよ。本当に…。
「…そんなに言うなら、俺と模擬戦…やってみる?」
「ああ!いいだろう!!叩きのめしてやるからな!」
「ケイン先生、いいですか?」
「…ああ、特例で認めよう。ただし、負けた方はペナルティだ。」
「俺はそれでも構いません。」
「俺もだ!必ず俺が勝つからな!」
「生徒は速やかに訓練場を出るなり、端によるなりしろ。」
先生の声に従って、みんな訓練場を出ていくかと思えば、案外みんな残って観戦していくようだ。クラスの半数くらいだ。みんな意外と興味あるんだな。
「それでは武器を取って……準備はいいか?」
「はい」「はい!」
「それではーー始め!」
身体と同じくらいの大剣を選んだ王子様は、開始の合図と同時に飛び掛って来る。けれど、そんな見え見えで、武器に振り回されている攻撃を食らうわけもなく…。最小限で避けて、そのまま魔法を展開する。今回はファイアーボールだ。それを王子様の背後に展開して、様子を見る。
背後の攻撃を大剣で防ごうとすれば、俺に対して無防備になるし、俺の方を意識したままであればおそらくファイアーボールで勝敗は決するだろう。
前者を選択したらしい王子様は大剣を振り回して、背後を向き剣で魔法を防いだ。その際できた大きな隙をついて、首元に短剣を突きつける。
「そこまで!」
「…俺の勝ちだね。じゃあペナルティ頑張ってね。」
「…なんで…なんで…俺が負けるんだよ!!…うぅ…うわぁーーーん!!」
ええ!?号泣し始めたんだけど…俺が苛めたみたいじゃん…ただ絡まれたからお灸をすえてやっただけなのに。…周りを見回してみても、流石に王子様への同情の視線はなかった…良かったぁ…。
「ナルア、もう行っていいぞ。あとは俺が後始末しておく。」
「ありがとうございます!ケイン先生!」
「ああ」
「みんなお待たせ!待っててくれてありがとう!」
「ううん!リリス全然待ってないよ!模擬戦もすぐに勝敗ついたし!」
「だな、気にしなくていい」
「そうだよ。あれで反省してエルの負担も減るといいけど…」
「ふふっナルアのお陰で少しスッキリした!」
「リオネルが怒って殴りかかったりしないか心配だったから良かったよ。」
「それは…だってナルアのことを悪く言うから…我慢できなくなりそうだったもん」
「うん、怒ってくれてありがとう。リオネル」
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