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29.幼児期26
しおりを挟む赤い皮の焼き魚とご飯が美味しそうだ。早速口に運ぶ。骨は少なめのようで食べやすかった。塩の味があっている魚だ。うまぁ!鯛とかに近い味だ!
「ウェン、ナルアの分なんでそんなに少ねぇんだ?もっと食え!大きくなれねぇぞ?ナルア」
「俺は注文通りに持ってきたッス」
「これでお腹いっぱいです!」
「マジなのか?そんなんじゃ足りねぇだろ!草食種の奴らだって小食だけどその3倍は食うぞ?」
「…でもお腹いっぱいです!」
「そうか…口に合わないとかじゃねぇんだな?」
「ああ、家でも同じくらいしか食べない。」
「俺こんなに食べないと心配になるッス…注文通りに頼んできたッスけど追加で持ってきたいくらいッス。」
「なら俺の分取ってきてくれ。なんでもいいからよ!もう食い終わってんだろ?ウェン」
「もー…なんで俺のことこき使おうとするんすかね…行ってくるっス」
「デザートを頼む。ナルアはデザートなら食べるからな。」
「はいッス!」
ウェンさんにもツェルトさんにも、遠慮せずにもっと食べろって言われてしまった。どうやら俺の食べる量は草食種よりも少ないらしい。皆が食べ過ぎなだけで、俺としては前世の1人前と同じくらいは食べているつもりだ。
「デザートッス!肉ッス」
「ありがと!ウェンさん!」
「おう、ありがとよ」
デザートも美味しかった。一通りの食事を終えたけど、心配気な視線を感じる。まぁ同じくらいの大きさのリオネルが隣でもりもり食べてるから、比べて心配されるのもわかるけどな。相変わらず、リオネルにあーんされて、一口チキンも食べた。テスラさんが言ってたように柔らかめの肉で美味かった。
「なるあ!ん!」
「ありがとリオネル…美味いよ!」
「うん!」
「ナルア、私のも一口どうだ?」
「うん、ありがとテスラさん。小さめのやつ貰っても?」
「ああ、食べなさい。」
「…もぐもぐ…美味しいです!」
「お?食わせりゃ食うんじゃねぇか!これも食っとけ!」
「いえ…もう…限界です…」
「そうかー…残念だぜ…この肉美味いのによぉ。今日とってきたドラゴン肉だぞー?」
「りおねる、食べたい!!」
「おおっ!いいぞ!食え食え!」
「もぐもぐ…ありあとー!…」
口いっぱいに肉が詰まったまま話すから、ありがとう言えてない…でもそんなところも可愛いぜ!!リオネル!微笑ましい。
つい手が勝手にリオネルの頭を撫で撫でしていた。こちらを見たリオネルは満面の笑みだ。そんなに肉が美味いのか?良かったなぁ!
「美味しいかー?リオネル」
「うん!なるあも食べる?」
「いや、今は本当にお腹いっぱい。また今度機会があれば、な。」
「うん!りおねるドラゴンとってくる!」
「そりゃあなかなか高い目標だな!いいじゃねぇか!兄弟にドラゴン肉食わせてやりたいから倒すなんてよぉ!面白いじゃねぇか!」
「リオネル、危ないことはしちゃ駄目!いいか?駄目だぞ!」
「んー…だいじょうぶ!りおねる、つよくなる!あぶなくない!」
「むうぅ…行くなら俺も一緒に行くから!絶対な!」
「うん!」
「そのときは私も行こう」
「お願いします!テスラさん」
「ああ。ナルアのことを護るのは私だからな。」
「りおねるがまもる!!こなくていい!!」
「フハハハ!!面白いじゃねぇか、ちびっ子。テスラに張り合ってんのか!つーかテスラにこんなに大人気ない一面があったとはなぁ?」
「…うるさい…だから嫌だったんだ。お前と昼食なんて」
「王子に報告したら面白ぇと思わねぇか?」
「勘弁してくれ…言い寄られている身にもなれ…もう十分参っている…」
「ははは!テスラはモテ男だもんな!」
「そういうお前だって婚約者がいるだろう」
「おうよ!自慢の婚約者だぜ!」
「強いからなんて理由で相手を選ぶのはお前くらいだ。」
「お?褒めてんのか?」
「はぁ…」
仲良しだなぁ!というか、テスラさん王子様に言い寄られてるの?マジかぁ。確かに顔すごいキレイだし、優しいもんな。
「テスラさんモテモテ!テスラさん優しいしかっこいいもん!」
「ふふっナルア、私は別にモテてなどいない。」
「っ!!お前!!笑えたのか!?」
「失礼なやつだな。ツェルト。私だって笑うことくらいある。」
そう言ったがリオネルと俺以外のこちらに注目していた周りの人たちの顔も驚愕している。テスラさんの笑顔綺麗だもんね!というか、テスラさん笑わないと思われてんの?
「テスラさん、普通に笑うよ?ツェルトさん」
「そうか、家族の前では笑うのな。王城の中では無表情で有名なんだぜ?」
「んー?テスラさんそうなの?」
「まぁ感情を出すことはあまりないな。」
「そっかぁ…でもね!テスラさんの笑顔とっても綺麗だから、いっぱい笑ったほうがいいと思う!」
「ふふっナルアがそう言ってくれるのは嬉しいが、感情を出すのは苦手なんだ。」
「テスラ団長、ナルアくんの前では笑うんすね!」
「まぁ、ナルアは可愛いからな。」
「リオネルも可愛いよ?」
「ああそうだな。二人とも可愛いな。」
「ホント、仲良いっすね。」
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