5 / 239
4.幼児期
しおりを挟む名付けの儀式が終わって、家に帰る。リオネルよろしくなー、なんて鳴いて見るけどやはりみーみーとしか聞こえん…。ともかく名前を貰えて良かったぜ。呼ぶのにも不便だったしな。
その後も平穏な日々だったが、少し変わったことがある。段々と俺達兄弟の世話の必要もなくなってきて、父は朝出かけていくようになったのだ。仕事に復帰したのだろう。どんな仕事をしているのかはわからないけど、決まった時間に働いているようだ。
父は強そうな感じだし、もしかしてこの時代感的に騎士とかか?なーんてそんなわけないか。でもなぁ父はリオネルを見るに白虎っぽいからな…。俺も強そうなやつが良かったな。まぁ俺が猫になりたいって思ってたから仕方ないのかもしれない。
最近の俺達のブームはボール遊びだ。母のところに持っていくと投げてくれるのだ。これは犬の遊び方な気もするが、まぁ楽しいので気にしない。それにしても、母は強肩のようで、かなり遠くまでボールをぶん投げられる。その長さが確保できるあたり家はかなり広いほうだろう。両親は金持ちなんだろうか?
お?俺はまだ遊びたいがどうやらリオネルは、もう甘えたい気分らしい。母の足元に擦りついている。リオネルは甘えん坊なんだよなぁ。いや、俺が前世の記憶があるから甘えようと思わなすぎるだけか。
「みー!」
「おう!リオネル、お昼寝でもするか?ナルアも」
「みーみー!」
首を振って否定の意を伝えてみたものの、首根っこを掴まれて母の腕の中に確保された。そして、その後部屋の中に連れ込まれて、ベッドでお昼寝コースだ。まぁ、もう少し遊びたかったけど仕方ないね。おとなしくみんなでお昼寝しますかね…。
ベッドもフカフカで心地良いし、この世界の季節感がどうなってるかわからないけど、春先くらいの程よい暖かさで寝るにはいいんだよね。それに子供の身体だからか、よく眠れるんだよ、これが。
意識を手放して次に目覚めたときには、夕方近くになっていた。おやつの時間だって起こされたし。おやつは、クッキーっぽいあまいやつで美味しかった。それからまたリオネルと部屋の中で遊んでいた。母は夕食の準備に向かった。
父が帰ってくるときには、母と一緒に出迎えている。別に出迎えるのはいいんだけど、出迎えたときに抱き上げられてキスされそうになるんだよな。毎回毎回、勘弁していただきたい。身体は幼気な猫でも中身は前世で生きた記憶を持つ大人な俺だし。
ラブラブの母とだけにしてくれ…いや、リオネルは別にいいか。気にしてなさそうだから。とにかく毎回拒否してるんだから諦めてくれ…。
「ナルア!ただいまー!ちゅー」
「みー!!」
「可愛いなーナルア!」
「ほら、ご飯出来てるし行くぞ」
「ああ」
どうやら俺が母似だから父も執拗にキスしようとしているみたいだけど…。こんなに嫌がってるのに…。いくらイケメンでも無理だし。
85
お気に入りに追加
3,309
あなたにおすすめの小説


【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人リトと、攻略対象の凛々しい少年ジゼの、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です(笑)
本編完結しました!
『伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします』のノィユとヴィル
『悪役令息の従者に転職しました』の透夜とロロァとよい子の隠密団の皆が遊びに来る、舞踏会編はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
舞踏会編からお読みいただけるよう、本編のあらすじをご用意しました!
おまけのお話の下、舞踏会編のうえに、登場人物一覧と一緒にあります。
ジゼの父ゲォルグ×家令長セバのお話を連載中です。もしよかったらどうぞです!
第12回BL大賞10位で奨励賞をいただきました。選んでくださった編集部の方、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです。
心から、ありがとうございます!
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

お飾り王婿ライフを満喫しようとしたら、溺愛ルートに入りました?
深凪雪花
BL
前世の記憶を取り戻した侯爵令息エディ・テルフォードは、それをきっかけにベータからオメガに変異してしまう。
そしてデヴォニア国王アーノルドの正婿として後宮入りするが、お飾り王婿でいればそれでいいと言われる。
というわけで、お飾り王婿ライフを満喫していたら……あれ? なんか溺愛ルートに入ってしまいました?
※★は性描写ありです
※2023.08.17.加筆修正しました

嫌われ変異番の俺が幸せになるまで
深凪雪花
BL
候爵令息フィルリート・ザエノスは、王太子から婚約破棄されたことをきっかけに前世(お花屋で働いていた椿山香介)としての記憶を思い出す。そしてそれが原因なのか、義兄ユージスの『運命の番』に変異してしまった。
即結婚することになるが、記憶を取り戻す前のフィルリートはユージスのことを散々見下していたため、ユージスからの好感度はマイナススタート。冷たくされるが、子どもが欲しいだけのフィルリートは気にせず自由気ままに過ごす。
しかし人格の代わったフィルリートをユージスは次第に溺愛するようになり……?
※★は性描写ありです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる