不良×平凡

おーか

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家族旅行2

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一時間ほど休んだところで秋夜さんも回復したらしく、二人で旅館自慢の露天風呂に行くことにした。昼間だからか人はまばらで入りやすかった。

「秋夜さん、身体流しましょうか?」

「いや、いいよ。俺が洗ってあげる。」

「駄目です」

「なんで?」

「それは…その秋夜さんに触られると…その…とにかく駄目です!」

「ふふっわかった。部屋で入るときは流させてね」

「はい…」

自慢のというだけあって、石畳のかけ流しや、檜の浴槽もあって花が浮かべられていたり、特殊なお湯もあって気分が高まる。

「凄いですね!秋夜さん!」

「だね、でものぼせないようにね」

「はい!」

最初は、檜風呂に浸かることにする。入ってみると程よい温度で気持ちいい。いいお湯だ!短めで上がって、少し身体を冷やしてから次のお湯に向かう。そんなことを繰り返して、全部のお湯を制覇した!

「気持ちよかったですね!」

「うん、良かったね」

旅館の浴衣借りたけど、秋夜さんの浴衣姿似合いすぎてる…。格好いいな!後で写真撮らせてもらお。によによ見ていたら、手を引かれた。部屋に戻るらしい。

あ、結構時間経ってる…。部屋に戻ると、父さんたちも帰ってきて、夕飯は一つの部屋で取ることになっているので父さんたちの部屋に移動する。

母さんたちも浴衣姿だ。いつの間にお風呂入ったんだ?まぁ気にしても仕方ないね。俺と秋夜さんが隣同士で、父さん母さんが隣同士に座る。

中居さんによって運ばれてくるのは、様々な料理でメインはしゃぶしゃぶだ。前菜から全部食べれるかな…。まぁ頑張って食べよう。

うぅ…お腹いっぱいすぎる…食べ過ぎた。秋夜さんに寄りかかって休んでいると、いつの間にか本当に寝てしまっていた…。



「ふふっ寝ちゃったのね香夜」

「みたいですね」

少しの間をおいて、確かめるように母親が話し始める。

「秋夜くんは…香夜のことを好きよね?」

「はい」

「それならいいの、私から言うことはないわ。香夜のことよろしくね。それから私達のことは本当の親だと思って頼ってくれていいから。」

「はい、ありがとうございます。」

母親が終わったかと思えば次は父親が話し始める。まるで結婚挨拶でもしてる気分だ。まぁ香夜の両親からしたらあまり差はないのかもしれない。

「香夜のことを幸せにする覚悟はあるか?」

「はい、あります」

「本当だな?」

「もちろんです。俺はこの子がいないと駄目ですから。」

「っ!そうか!なら君に任せよう。」

「ありがとうございます」

「ああ、香夜とまた家に遊びにおいで。歓迎する」

「はい、ありがとうございます」

「夏休み中は何か予定があるのか?」

「いえ、俺は香夜といられればそれでいいので」

「そうか…君はそんなに香夜のことが好きなんだなぁ。最初君を香夜が連れてきたときは驚いたよ。あまりにもかっこよかったし。香夜はまぁ贔屓目なしで見たら普通だと思うし…騙されているんじゃないかって疑ったよ」

「誰がなんと言おうが香夜は世界一かわいいです」

「…そうか、まぁ良かったよ。愛されているようで」

「そうね、まぁ何かあったら力になるわ」

「はい、ありがとうございます」

それから少し話して、香夜も寝ていたので、自分たちの部屋に戻らせてもらった。


_______________

「あれは溺愛されてるわね」

「そうだね…」

「香夜も、いい相手見つけてきたわね。一安心だわ」

「ああ、信じられないくらい美形を捕まえたものだよ…」

「でも浮気の心配もないくらい溺愛してくれているのだからいいじゃない」

「そうだけど、なんだか逆に心配だよ」

「あなたって変なところ小心者よね」

「まぁね…でも香夜はもう彼から逃げられないんじゃないか?」

「いいのよ、それで」

「そうかな?」

「ええ、本人たちが幸せなんだもの。」

「それもそうか…」

_______________


んぁ…暖かい。秋夜さん…

「香夜おきたの?」

「ん…しゅ…やさん…」

「おはよ」

「おはよ、あれ?なんでここにいるの?」

「香夜寝ちゃったんだよ」

「あ…」

「ふふっ可愛かった」

「もう…」

「香夜のご両親はいい人たちだね」

「何か話したんですか?」

「少しね」

「そうですか…」

部屋のお風呂に入って、有言どおり身体を流され、ちょっとエッチなこともしたけれど、最後まですることはなく、眠りについた。

お土産などを一応買って、自分用ももちろん確保した。
翌朝何故か秋夜さんと両親の仲が良くなっていた。まぁ仲良くしてくれる分には構わないんだけど…。でも俺の幼いときのエピソードとか勘弁してほしい。車の中で話されるそれに、無心になって耐えた。

駅まで送ってもらって、別れるときに、写真を送るとか聞こえたけどきっと気のせい…。

「楽しかったですね!」

「ん、楽しかったね」

「でも、秋夜さん俺の両親と何話してたんですか?」

「んーナイショ」

「教えてくださいよ!!」

「ふふっナイショ」

結局教えてもらえなかったけど、笑ってたから悪い話ではなかったんだろう…。ともかく秋夜さんと両親を会わせてみてよかった。これからも秋夜さんとは長い付き合いになるだろうから。





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