不良×平凡

おーか

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副総長×平凡 副総長目線

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 俺はこの不良校を仕切ってるグループの副総長を無理矢理押し付けられた。その代わりに、学校でのサボり場所として中庭の、園芸部が昔作ったらしい温室を得た。 ここで大体寝てる。俺は不眠気味なことが多い。その為、この場所は寝るために使うことが多い。

だから温室周りでは静かにする様にと、不良どもに言いつけているし、一般生徒はそもそも騒ぐやつもいない。 正確には最近はいなかったはず…しかし放課後、寝ていると、バタバタとした足音と怒鳴る声が聞こえてくる。

うるせぇ。今ちょうど寝てたとこだったのに…苛立ちが募る。温室から出て、騒いだやつを捕まえることに決めた。 

「オイ!止まれ」 

追い掛け回されているのは、イマイチ印象に残るタイプでもない平凡な奴。追いかけていたのは、赤髪と青髪の不良。 一般生徒には手ぇ出すなって指導してんだけどな?何やってんだコイツら…よく見ると座りこんだ平凡は肩で息してるし、茜と藍は髪から服までびしょ濡れだし…。 

状況よくわかんねぇけど、苛立ちそのままに威圧するように言葉を発する。 

「ここは俺の場所ってわかってて騒いでんのか?」

 茜と藍たちは、青い顔で俺の方にガバリと頭を下げる。 「佐久間さん!スミマセン!俺ら夢中で追いかけててここに立ち入ってたの気づいてなかったっす!」と、弁解する。 

まぁこいつら、びしょ濡れだしなんかあったんだろ…。寝起きの低血圧から少し回復したのもあって、少し苛立ちが収まる。 

「まあいい。今回は見逃してやる。そんなことより、なにしてんだ?」 

「あー、とソイツに水ぶっかけられて…逃げやがったんで追っかけてました。」 

茜が簡潔に答える。水ぶっかけたりするようには見えねぇけど、実はすげぇ根性ある平凡なのか?こいつ。少しそいつに興味を抱く。 

「お前、わざとか?」 

座り込んだままの平凡に視線を向け、聞いてみる。平凡くんは息が整わないようだったが、口を開いた。 

「い、い、え……はぁ、…はぁ…掃除用に、、水をバケツに入れてまして…何故か廊下に…椅子が…躓いて転んで…それで…」  

 嘘は言ってねぇ、か。普段から真面目に掃除してる良い子ちゃんなんだろうな。不良どもには授業は受けさせてるが、掃除とか行事ごとは放ったらかしだからな。そこまで強制するとストレスで言う事聞かなくなるからな。 

「そうか…んで?なんで逃げた?」 

「こ、怖くて……絶対殴られると思って……逃げなきゃって、パニックになってしまって…本当にごめんなさい!!」 

「まあ、そうだろうな…一般の奴らからしたら怖いわな。んで、謝んの?」  

「あ、ハイ…あの……謝りもせずに逃げたりしてごめんなさい!!お二人に水をかけてしまったのに……俺が悪かったです…本当にごめんなさい」  

 素直に謝んのか…偉い偉い。 

「お、おう…まあ俺らも頭に血が登ってたしな…」 

「謝ってくれんならそれでいい。」 

茜も藍も、なかなか災難だったみてぇだな。不良ではあるが、心根はいい奴らだからな。そんなに心狭い奴らじゃねぇしな。今回の報復とかもしねぇだろ。取り敢えず解決したか?

 平凡くんのあたまをちゃんと謝れていい子じゃんと、頭を撫で回す。髪の毛サラサラだわ。この子。 割と近距離すっげぇ見られてる。 

「なに?俺の色が珍しいか?」 

「あ、いえ、いや、珍しいと思います!」 

「まあそれでよく見られるから慣れてるけどな」 

「そうじゃなくて、雰囲気が…違くて吃驚して…」

 俺の色や容姿ではなく、俺の機嫌や態度の差に驚いていたらしい。珍しいタイプだな。ちゃんと俺の内面をみようとしてる。 

「フハハ…お前おもしろ…あー…寝起きでな…」

 和やかに話す俺達をしばし黙って見ていた茜と藍に振り返って言う。 

「お前らびしょ濡れだし、チームの溜まり場のシャワー入ってけ。俺が連絡入れといてやる。確か、茜(あかね)と藍(あおい)だろ。」 

「は、はい!!嬉しいっす覚えててくれたんっすね!!有難うございます!!」 

「お前ら、髪色と一緒でわかりやすいからなー」

 「ありがとうございます!この髪色にしといて良かったです。」 

「でも、俺らみたいな下っ端がいいんすか…?」 

「まあ、いんじゃね?俺がいいって言ってんだから」 

ま、確かに溜まり場のベッドとかシャワーとか幹部しか使わないみたいな風潮あるけどな。総長の凰李(おうり)に電話しときゃ大丈夫だろ。 

「ありがとうございます!荷物取ってきて寄らせて貰います!」 

「世話んなります。ありがとうございます!」 

「おう、風邪引かないうちにさっさと行け」 

「「ハイ、失礼します!」」 

二人揃ってお辞儀をして早々に立ち去って行った。 二人を見送った後、 「まあ、あいつらもやられっぱなしだと、メンツも立たないからさ、追っかけたのは許してやってよ。」 と擁護しておいた。不良として舐められたまんまにすると、後々馬鹿にされるからな。 ずっと座りっぱなしだった平凡くんに手を差し伸べて引き起こす。  

「…色々、ご迷惑おかけしました。仲裁ありがとうございました!失礼します」 

立ち去ろうとする平凡くんの腕を掴んで引き止める。疑問を全面に顔に出してこちらを見つめてくる。 

「なー…まだ終わってないんだけど?」

 「えー…と……なんでしょう?」 

「オレさ、佐久間秋夜(さくま しゅうや)っていうんだけど」 

「俺は如月香夜(きさらぎ かぐや)です。」 

かぐや、ね。俺をちゃんとみてくれるこの子を逃してやるわけにはいかない。俺の側に置く事をすでに決めていた。 

「香夜って呼ぶわ。俺も秋夜でいい」

 「えーと、呼ばれるのはいいんですが。名前をお呼びするのは、ちょっと……恐れ多いといいますか…」

 ふーん?素直に従うかと思ったけど…。断るんだ…?何が理由かわかんねぇけど、呼ばない選択肢はお前にはないよ?香夜。 

「ちゃんと他の奴ら躾けとくから大丈夫」

 「は、はぁ…わかりました…秋夜さん」 

「ん、ありがと。オレこれでもここらのチームの副総長なんだよ。んで、中庭はオレの寝るための場所として確保してる。今日も寝てたんだけど、その邪魔をされたわけ。」 

「は、はぁ…邪魔をして申し訳ありません…。」 

「ん、だからオレを起こした責任取ってくれるよね?」 

ニコッと笑いながら香夜に言う。もちろん逃さない。性格も悪くなさそうだし。 

「……はい。なにすれば?」 

「んー、このあと寝るから一緒来てよ」   

「えっと、俺なんかいても邪魔なだけですよね?それより水をぶち撒けた廊下掃除しに行っても?」 

「邪魔じゃないから。まぁ、いいや。絶対連れてくし。じゃあ掃除しにいこっか」

 はい、と返事をした香夜の腕をがっちり掴んでおく。逃さないと香夜にも伝わるように。まぁ、真面目な子みたいだし、逃げる気もなさそうだったけど…。 



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