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副総長×平凡 後日談
しおりを挟む受け入れられていったと思ったが、GRACE幹部の面々はそうはいかなかった。我の強そうな凰李さん含め、キャラの濃いメンツばかりだからな。一筋縄ではいかない。
凰李さんの幼馴染らしい鳴海もつれて溜まり場へ向かう。俺は必要ないんだけど秋夜さんが呼ばれてるらしく、もうすでに何度も無視してたらしい。直接金髪チャラ男の咲人さんが呼びに来た。
「秋夜ー?駄目でしょ、GRACEの集会すっぽかしたら!みんな怒って…はないけど…待ってるから行くよ!あとノアちゃんもね。」
「…秋夜さん?俺聞いてないです…」
「行かなくていい。」
「僕も行かない。」
こういう時だけ息ぴったりな二人だな。普段はいがみ合ってるのに。
「駄目だよー、だからオレ直々に呼びに来てるんだから!お気に入りちゃんも駄目だと思うよね?」
「香夜に話しかけんな…」
「秋夜さん…」
「もー!それにそれに、今日は望月も来てんだから」
「…秋夜さん行きましょう。」
「香夜がそう言うなら。」
望月愛人さんは俺の恩人である。あと秋夜さんがまだ喧嘩の約束?を果たしていない。それに痺れを切らして向こうから来てくれたのだろう。
溜まり場に入った途端、驚愕の視線がこちらに向く。何を見て驚いて…あ、秋夜さんか…。人にベタベタする人でもないし、笑ったりもしないらしいからな。
いち早くもとに戻ったのは、すでに見たことのあった凰李さんで、奥のソファに座るように促してきた。
「久しぶりだな、秋夜!お前、そんなに懐いちまって…まぁ…前の仏頂面よりマシか?」
「……」
秋夜さんまたもや無視…。
「秋夜さん、無視はだめです。」
「あぁ…わかった…凰李黙ってろ。話しかけんな。」
んん?何がわかったんだろう…無視はだめだから、そもそも話しかけるな…とそういうこと?
そんなことを考える俺をよそに、秋夜さんが先にソファに座って、その上に俺を座らせる。
慣れすぎて普通に座ったが、他の人からはまたもや驚愕の視線いただきました…。人前で少し恥ずかしくなるが、秋夜さんが嬉しそうな笑顔してるし、いいか…それに実は俺もこの体勢が好きだったりする。
前には望月さんと凰李さん、その隣に鳴海が座った。咲人さんは連れて来たのでお役御免とばかりに出て行った。
「やっぱり、すっぽかされかけてたなー、まぁ…幸せそうだし、いいんだけどよ。でも、喧嘩の約束は果たしてもらうぜ!今からでいいだろ?」
「…仕方ない…わかった。香夜、ちょっと待ってて」
「今喧嘩するんですか?なら俺も行きます。喧嘩してるとこ見たことないし、見てみたいです!」
「んー…わかったいいよ。…望月、悪いけど一切手加減出来なくなった。」
「おう!望むところだ!」
外に出て喧嘩するのだという二人についていこうとすると、少し楽しそうな顔の凰李さんと、面倒くさいと言わんばかりの鳴海も立ち上がる。二人も来るらしい。
道中聞いてみると、秋夜さんは格が違うレベルに強いのだとか。この間俺が攫われかけた時のrionを潰した喧嘩もすごかったらしい。あっという間に2、30人を一人で倒したと鳴海が教えてくれた。
でも、喧嘩好きらしい望月さんもきっと強いよな。秋夜さん怪我しないといいけど。そんな俺の考えは、無駄だとわかったのはそのすぐ後だった。
なぜなら秋夜さんと望月さんの喧嘩は、素人目に見てもすぐに分かる、それほどに一方的だったから。
望月さんが殴りかかったり、蹴りを繰り出すのを、秋夜さんがあしらって避けて、殴り返す。
そんなことが数回繰り返されて、諦めたように望月さんが降参を申し出た。
「秋夜さん!怪我とかしてないですか?」
「へーき、見てたでしょ?」
「はい、でも一応手見せてください!あと、カッコ良かったです…。」
そう言って手を取ろうとすると、抱き締められてしまった。むむっ手見えないな…。とりあえず俺も抱き返しとこう。良い匂いして落ち着く。
「かぐちゃん!部屋戻るよ!そんな冷酷腹黒と抱き合ってないの!」
「ふっ…負け惜しみかよ…」
「くっそ…ムカつくぅー!!!禿げろ!」
また始まったや、喧嘩。まぁ…きっとそんなに仲は悪くないんだろう。
「その辺にしとけよー、おい望月大丈夫かー?秋夜の拳重いだろ。」
「おう…負けたわ。期待よりもずっと強かったわ。いてぇー、けど楽しかった」
「ドMじゃん、きも」
「こら鳴海!駄目だよ!俺の恩人に!」
「ん、ごめんかぐちゃん!」
「ノア、望月運ぶの手伝え。」
「えー、はいはい」
鳴海って以外と力持ちなんだな。望月さんって背高いのに。溜まり場に戻って、軽い手当をすると、望月さんは満足気に帰っていった。
それに便乗して、秋夜さんも俺を連れて帰ろうとする。もちろんしっかりと見ていた、凰李さんに捕まる。
「こらこらまだ駄目だぞ!秋夜、集会来ないから情報共有な。すぐ終わるから。rionお前が潰したからな。」
「…仕方ないか…香夜もう少し付き合って」
「うん。」
___________________
______________
__________
俺にはよくわからない話だったけれど、とにかく報告が終わって帰ることになった。
手を繋いで短い帰り道を歩く。
「秋夜さん、夕飯、焼きそばでいいですか?」
「もちろん、香夜のご飯何でも美味しいし。」
「ありがとうございます、ちょっとだけ買い物行きたいです。スープとか一緒に作ろうかなって」
「ん、行こっか。あっちのスーパーでいい?」
「はい!」
買い物もして、ご飯も食べて片付けも終わった。その後のゴロゴロタイムソファに俺が座ると、秋夜さんが膝に頭を乗せてくる。甘えるようにすり寄ってくるので、サラサラの髪をなでなでする。
「んー、気持ちいいから…もっとなでて。」
「はい、でもそろそろお風呂入らないと」
「一緒にお風呂はいろ?」
「…はい」
付き合うようになってから、よく一緒にお風呂に入るようになった。少し恥ずかしいけど、離れなくて済むし、洗ってもらうのも気持ちいいので、一緒に入るお風呂の時間は好きなのだ。
お風呂あがり、もはや習慣になった髪の乾かし合いをして、またソファでごろごろする。今度は俺が秋夜さんの膝に頭を乗せる。大きな手でワシャワシャと撫でられる。心地よくなりながら、テレビを見ていると、自分の上に影が落ちる。
秋夜さんに顎を掴まれてキスを落とされる。
あぁ…格好いいな…けど、今日こそは避けなくては!
初めてした日からもう毎晩毎晩、襲われているのである。俺としては穏やかに二人で添い寝するのも好きで、その時間がなくなってしまったのが少し寂しい。だからそれを取り戻すべく、しない日を作りたかった。
「チュッ…秋夜さん…今日は駄目です。しませんからね!」
「なんで?香夜は俺のこと嫌いになったの?」
くっ…そんな悲しげな顔して!ずるい!
流されそうになった自分の気持ちを奮い立たせるようにフルフルと頭を振って、駄目だと言い聞かす。
「大好きです。でもしないんです!」
「どうして?…やっぱり俺のこと嫌なんでしょ?」
むうぅ…ここは正直な気持ちを話してみよう。
「あの…ね?俺秋夜さんと添い寝するのも好きで、だからそれがなくなったの寂しくて…。だから」
「可愛い。明日はしない。…けど、可愛すぎて今日は我慢できそうにない。」
「…はい…」
俺とて秋夜さんとするのも好きなのだ。結局決意も虚しく、流されてしてしまった。
自分の決意の弱さにはほとほと呆れる。けれど、それほどに俺は秋夜さんに弱過ぎる。あんなに可愛い顔で、寂しそうにされたらそれは負けてしまうというもの。
秋夜さんは、俺が秋夜さんの顔に弱いのわかっててやってるからな…。何時になっても勝てそうにない。勝ちたいわけでもないからいいんだけれど。
結局、週一日だけ添い寝日を作ることになった。それ以外の日はもちろん愛されている。それが幸せだと思う俺もなかなか秋夜さんが好きすぎるよな笑
こんな感じで俺達の日常は、平和で時々刺激的だけれどとても幸せだ。
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