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しおりを挟むコクヨウがいない間にコツコツと作り進めていた指輪がそろそろ完成が見えてきた…気がする。今日もコクヨウだけで騎士団の指導に行ってくれてる間に結構進めることができた。
んー、でも止め時が分からなくなるな…。手を掛けようと思えばいくらでもやる事が出てくるし、なんなら作り直そうかなと思うくらいだ。初めて作ったものだから矢張り出来があまり良くないし。でもなぁ、これを渡してやった方が多分コクヨウは喜ぶんだよな。
指輪作りに熱中しているといつの間にかコクヨウが帰ってきていた。今日の指導で騎士団はそれなりに形になったらしい。矢張り流石コクヨウだな。仕事が早い!
騎士団の指導の傍らまた肉を取って来てくれたらしく、今日も今日とて飯が美味い。こんなに尽くされているのに、俺は何も返してやれてないよなぁ。
一人になれるタイミングって意外と少ないから、コクヨウへの指輪、まだ掛かりそうだし。
「なぁコクヨウ、お前何か欲しい物とかねぇの?」
「ん?んー、一番欲しいものはもう貰ったよ。でもタカミがくれるなら何でも嬉しいよ。それこそ道端の石ころでもね。」
「まじか…」
「うん」
石ころでもってのは流石に冗談だと思うが…いや、冗談だよな?コクヨウなら本気で言っていてもおかしくないと思ってしまう辺り、コクヨウの愛って重いよな。まぁ俺も負けないくらい愛しているつもりだ。生涯の伴侶だからな。
指輪は俺の独占欲の現れだ。コクヨウのモテっぷりは凄いからな。見た目にも分かる証を付けさせて、少しでも牽制できればいい。
「あー…まぁ…石ころよりは良いものやれる筈…もうちょい待ってろ。」
「え?何くれるの?!めちゃくちゃ楽しみなんだけど!」
「いや、そんなに良いもんじゃねぇよ。ただ…気持ちだけは込めて作ってるからよ。見てくれ悪くても許せよ。」
「うん!うん!大好きタカミ!愛してる!」
あー、失敗したか?めちゃくちゃ期待してるじゃねぇか。尻尾も揺れてご機嫌だし。更に笑顔振りまきやがって。可愛いじゃねぇか。そのうえ、抱きついて俺の顔にチュッチュッしやがって…。こんなことされると照れる。
若干乱暴な手付きになったがコクヨウを撫でて宥めて、風呂場に逃げてきた。顔が暑い。絶対ぇ赤くなってる。
「あーあ。逃げられちゃった。でも…さっきの指輪、僕のだったんだ。ふふっ嬉しいな。」
この間言ってたタカミの伴侶の証だよね。あーもう、すっごいニヤける。頬が上がりっぱなしだ。幸せだなぁ。照れてるタカミ可愛かった…。騎士団の指導も終わったんだし、デートしたい。タカミは僕の番だって見せ付けたい!けど、誰にも見せたくない。
相反した感情がせめぎ合う。でもデート絶対楽しいよね。最近はあんまり遊べてなかったし…。うん、お風呂から出てきたら誘おう。
「風呂上がった、お前も入ってこい。」
「うん。あのね、明日、デートしたいな?」
「デート?」
「うん、街に遊びに行こ!」
「おう、楽しそうだな。」
「うん!」
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